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2018年09月12日

コード・ブルーを看護師が観て面白いのは何でなの?鑑賞会をやってみた!【外科医の解説付き】ネタバレあり

劇場版「コード・ブルー」のパンフレットの前で写真にうつるかんごるーの写真。

 

ある日…。

看護師として働く5人がとある一室に集まりました。

「コード・ブルー」が大好きな人、観たことがない人で集まり、一緒に鑑賞して語り合うため…!

 

大人気の本作。なぜ看護師から観ても面白いのでしょう?その理由に迫ります!

【外科医・けいゆう先生の解説付き】

文/白石弓夏(看護師・ライター)

 

 

参加者紹介

参加者かげさんの写真

看護師のかげさん@877_727

中堅看護師、救急・ICU勤務。イラストレーターとしても活動。

コード・ブルーを観ながら「自分がこの現場にいたらどう動くか」と想像するのが好き。

 

参加者ぷーたろーさんの写真

ぷーたろーさん 

看護師3年目、透析療法部勤務。

コード・ブルーのDVDを全部揃え、何度もリピート。
 

参加者わんこさんの写真

わんこさん

看護師1年目、小児と成人の混合病棟勤務。

コード・ブルーは観たことがなく「山下智久が出ているドラマ」くらいの認識。

 

参加者ゆいさんの写真

ゆいさん 

看護師1年目、救急・ICU勤務。

ドラマは3つのSEASONをそれぞれ3回ずつくらい観ている。フライトナースの冴島に憧れがある。

 

参加者しらいしの写真

ライター・しらいし@yumika_shi

看護師11年目、小児科・整形外科を中心に経験。

ドラマの1st SEASON放映時、看護師1年目だったため「キャストと共に成長してきた」と勝手に思い込んでいる。

 

参加者編集Sの写真

編集S

看護roo!編集者。

コード・ブルーが好きすぎて、劇場版では開始2分で号泣。

 

【スペシャルゲスト】

解説者けいゆう先生の写真

外科医・武矢けいゆう先生

医療情報をわかりやすく解説するブログが人気。

劇場版コード・ブルーの公式イベントにも登壇するなど活躍中。

 

けいゆう先生には解説という形で参加してもらいました!

 

 

ドラマ「コード・ブルー」3rd SEASON 最終回を鑑賞!

看護師さんたちとコード・ブルーの作品を鑑賞するかんごるーの写真

 

まずはドラマの3rd SEASON、最終回を鑑賞しました。

気づいたことや疑問は赤いチンベルを押して発表!

 

 

お約束のツッコミから始まる!

開始早々、「フライトドクター陣は、いつもスクラブやフライトスーツのみの軽装備ですよね」と気になってしまう私(しらいし)。

 

「実際にはもっと重装備なのでは?」「いつも現場の安全確認が甘すぎる!」と、他の方々からもツッコミが入ります。

 

本来ならばヘルメット着用なのではないか。

でも俳優さんたちの顔が大事だから仕方ないですよね。

など、お約束のツッコミでひとしきり盛り上がりました。

 

瓦礫の中までは入っていかないのではないか、という意見が出たとき「創部に土や瓦礫が入った場合、その後の処置ではどうするんですか?」と編集Sがすかさず質問。

 

救急・ICUで働くかげさんが解説してくれました。

「生理食塩水で洗い流すと思いますけど、現場に持っていける量には限りがありますからね。救急外来に戻ってからは、シャワー室があるので、そこで汚れを落としてから初療室へ行きます。破傷風等、感染のリスクもあるので、トキソイドを投与するなどの処置も考えられますね」

 

 

普段は目にできない医療機器・器具が使われていて面白い

ドラマ「コード・ブルー」をじっくり鑑賞する参加者さんたちの写真

 

輸液を急速投与するための「Level 1®」という医療機器や、「トーマス チューブホルダー」という挿管チューブの固定器具には、救急・ICUで働くかげさんやゆいさんが敏感に反応!

 

「うちではまだ使ってないんですけど、他の病院はどうなんですか?」という情報交換もありました。

 

救急・ICU以外の診療科では見たことがない器具が登場するのも、コード・ブルーの醍醐味。

今回は、透析・小児・整形外科など、多様な診療科からナースが集まったので、自分にない知識や経験を語り合えるのも楽しいです。

 

 

災害現場ならではのドラマチックなシチュエーション

「コード・ブルー」の内容について意見を出しあう看護師さんたちの写真

 

「心停止している患者さんに胸骨圧迫しながら、家族に状況を説明する場面ってありうるの?」と、またまた疑問が湧く私(しらいし)。

 

「普通は、こんなに取り乱した家族の前で、生死に関わる問いかけをするようなことはないですよ」と救急・ICUで働くかげさんやゆいさん。

 

「でも、災害現場には家族をケアする医療者も、落ち着いて話せる場所もない。だからこの場面ではこれがベストな選択なのだと思います」と2人の意見は一致していました。

 

そのほかにも「クラッシュ症候群を見越して先に除細動器を装着する冴島はすごい」など、かげさんがフライトナース冴島の動きに興味津々!

 

Ⓒ2018「劇場版コード・ブルー –ドクターヘリ緊急救命-」製作委員会

 

冴島看護師の優秀さについて、けいゆう先生にも解説してもらいました。

 

【解説コメント】

けいゆう先生の写真

「コード・ブルー」の作品中で私たち医療者が注目すべきポイントは、冴島看護師の優秀さが非常にリアルだということでしょう。

演出する側が「どうすればリアルな優秀さを描けるか」ということを十分理解している、ということが見ていてよくわかります。

 

たとえば、これまで度々見られた、冴島が医師に器具を渡すシーン。

冴島はいつも、藍沢らが必要な器具を要求するのとほぼ同時のタイミングで器具をさっと渡します。

ここのタイムラグをゼロにするには、術野を見て「次に必要な器具は何か?」を事前に予測しておく必要があります。

器具名を言われてから探すのでは、手術のリズムが崩れ、術者にストレスを与えてしまいます。

 

この点は、3rd SEASON第6話で、新人看護師雪村と冴島の対比として象徴的に描かれています。※詳細は私のブログで解説しています。

 

また、救急の現場がオペ室と異なるのは「看護師が清潔ではなく不潔だ」というところです。医師に器具を渡す際、両手を使って袋を開け、器具に触れないように清潔の医師に手渡す必要があるわけです。

 

冴島は、片手がふさがっている時に、地面に袋ごと叩きつけて片手で器具を出して渡したり(2nd SEASON 第7話 解説参照)トレイに入っている清潔クーパーを清潔な鑷子でつかんで取り、他の器具が不潔にならないようにするなど(3rd SEASON 第6話)、現実にも生かすことができそうな様々な知恵を見ることができます。

 

注目して見てみると、現役看護師でも非常に楽しめるポイントではないでしょうか。

もちろん、「器具を渡す看護師が不潔、処置する医師が清潔」という状況は、救急の現場に限らず、一般病棟でも同じです。病棟で医師が胸腔ドレーンを入れたり、中心静脈カテーテルを入れたりする際に看護師が介助につくことはありますよね。

そういった際にも、きっと多くの看護師さんが参考にできるのではないかと思います。

 

Ⓒ2018「劇場版コード・ブルー –ドクターヘリ緊急救命-」製作委員会

 

 

劇場版「コード・ブルー」について語ろう!

映画の試写会で配られたパンフレットを開くかげさんの写真

映画の試写会で配られたパンフレットを熟読するかげさん。

 

わんこさんの写真

私はさっき初めてドラマを観て「かなりリアル」だなと思いました。

他の医療ドラマだと「ありえない~」と思って完全にエンタメとして観ることも多いんですけど、コード・ブルーは「勉強になるな」と思います。

劇場版はどうでしたか?

 

ぷーたろーさんの写真

私は今までドラマをずーっと見てきたので、「メインキャストのうち事故に遭っていないのはあと2人だから、どちらかにアクシデントが起こるかな~」というファン目線で観てました(笑)

 

かげさんの写真

雪村看護師のお母さんが担ぎ込まれたとき、

アルコール依存症だから「肝硬変や食道静脈瘤があるかも…」「最終的に破裂するのかな…?いつ破裂するんだろう?」と考えて観ていました。

そうしたら、違う人が吐血する展開にびっくりで(笑)

 

救急が舞台なので、クリティカル領域のトピックスが中心なんですけど、劇場版では終末期患者のエピソードもありましたね。

 

Ⓒ2018「劇場版コード・ブルー –ドクターヘリ緊急救命-」製作委員会

 

実際に、私が勤務している救急にも似たような状態の人が搬送されてくることがあるので、リアルだと思いました。

 

ただ、実際の救急では劇場版のように終末期患者の外出支援まではできないです。

あと肝心の看取りが描かれなかったところも少し残念です。

 

しらいしの写真

かっこいい超急性期だけではなくて、患者・家族のドロドロしたエピソードも描かれているところに観ごたえを感じました。

 

かげさんの写真

“超急性期”でいうと、劇場版ではフェリー上でパイプが刺さってしまうお父さんのシーンも印象的でした。

 

ゆいさんの写真

コード・ブルーではいつも何か刺さりがち!あと、大動脈遮断しがちです(笑)

 

編集Sの写真

あんなにたくさん遮断鉗子を使うものなんでしょうか…?

 

かげさんの写真

重みで大変なことになりそうですよね…。

 

編集Sの写真

けいゆう先生に聞いてみましょう!

 

【解説コメント】

解説者けいゆう先生の写真

あの場面、胸部大動脈を遮断して腹腔内の出血は制御できているのですが、胸のレベルで大動脈を遮断したということは、腹部の臓器や両下肢に血流が途絶えている、ということを意味します。

 

このまま放置すれば、出血することはなくても、腹部の臓器や両下肢が血流不足によって壊死してしまう。そして鉄柱を切断するのに1時間。これでは遮断時間が長すぎます。

 

しかし、かといって大動脈の遮断を解除すれば、大量出血によって患者の命はない。まさに、「進むも地獄、退くも地獄」、「前門の虎、後門の狼」だったわけです。

ここで藍沢が考えたのは、「鉄柱を切断することなく患者さんを救出できないか?」ということでした。

そこで、患者の側腹部を切開し、鉄柱を体から水平方向に外したわけですね(ここは私のブログでも図解しているのでご参照ください)。

医学的には筋が通っていますし、あの場面で患者さんを救うにはこの方法しかなかったでしょう。

 

さて、ではこの患者さん、この方法で現場から病院に搬送したとして、その後どういう処置が必要だと思いますか?

 

まず、鉄柱が下行結腸を横断したので、ここで結腸がぶった切られている状態です。

これをもう一度つなぎ合わせたいところですが、腹腔内が清潔でない環境にさらされた場合、結腸をそのままつなぎ合わせても治癒する可能性は低いと考えます。

 

がんの手術などでは、胃や大腸を部分的に切ってつなぎ合わせる(吻合する)、という手術を行いますが、手術でどれほど丁寧に縫い合わせても(近年ではステープラーと呼ばれる器械を使ってつなぐのが一般的)、最終的に傷が治るのは、患者さんの持つ治癒力によるものです。

外科医は、「傷を寄せておく」ということしかできないからですね。

 

がんの手術のような定例手術であればいいのですが、腹腔内が清潔でない状況下での緊急手術では、吻合しても治癒は見込めないでしょう。

よく私は患者さんに、「切り傷を縫い合わせても泥水につけておいたら傷はすぐに開いてしまいますね」と説明します。

 

そこで、結腸を一時的にはつなぎ合わせずに、一旦上流側を人工肛門にし、下流側の結腸は縫合閉鎖して腹腔内におさめておく、という方法を使います。全身状態が改善し、落ち着いた時点で二度目の手術を行い、結腸を吻合する、という手順になるでしょう。

このような二期的手術は、下部消化管穿孔で腹腔内が汚染されている時にもよく行います。

 

ちなみに、オペ室や消化器病棟勤務経験のある看護師さんならおわかりかと思いますが、基本的に大腸の穿孔は穴を縫い閉じても治りません。

結腸切除+吻合、もしくは、切除+人工肛門造設(ハルトマン術)が必要となるケースがほとんどです。

 

一方、胃や十二指腸の穿孔は、穴が例外的に大きいケースを除き、多くは穴を縫い閉じる手術を行います。

胃や十二指腸の穿孔では、大腸の穿孔に比べると腹腔内の汚染が少なく、かつ血流が良好で治癒しやすいと考えられています。

このポイントは対比的に覚えておくと良いでしょう。

(参考文献)「外傷専門診療ガイドライン」へるす出版

 

 

編集Sの写真

けいゆう先生、ありがとうございました!

 

他に印象に残っているシーンはありますか?

 

ぷーたろーの写真

最後の方、藍沢医師が処置を受けているシーンが気になりました。

あのとき使用されていた医療機器のECMO(エクモ)が何なのか、よくわからなかったのですが…。

 

かげさんの写真

ざっくり言うと、肺の機能が落ちてしまったときに、一時的に肺の役割を担ってもらう、という目的で使用するのがECMOです。

 

ECMOのシーンでは「私ならどうするかな?」「何に注意するかな」と考えながら観ていました。

血栓や感染のリスクが考えられるので「血液サラサラの薬使うのかな~」とか。

 

疾患の名前が出てくると「あの治療するかな?」「合併症はなんだっけ?」「この疾患が悪化するとこうなるな」とか、知らないことは調べるし、機器や薬剤はメーカーまでググっちゃいます。

 

ゆいさんの写真

医療機器の名前は、そのままドラマのセリフでも出てきますもんね。

BiPAP(バイパップ)とか。

 

ぷーたろーさんの写真

今回の劇場版に登場したものでいえば「V60」でしたっけ。

 

かげさんの写真

あったあった!

NPPVのV60は、比較的新しい機器ですよね!

 

 

 

編集Sの写真

フライトナースたちについてはどうでしたか?

 

かげさんの写真

劇場版でもやっぱり、冴島は先々を予測してすばやく動ける看護師ですよね。

動きが速すぎて、ほんとすごかったです。

 

Ⓒ2018「劇場版コード・ブルー –ドクターヘリ緊急救命-」製作委員会

 

しらいしの写真

医師と看護師の成長物語としても、コード・ブルーは魅力的です。

 

冴島看護師の後輩ナース・雪村は、ドラマでは処置のときに焦ってしまう場面も見られました。

でも、今回の劇場版ではドラマよりも落ち着いて医師のフォローに入れていましたね。

 

「藍沢医師のスピードにどうにかついていっている!」という様子が見られて、「ああ~成長したなぁ」と母親のように見守ってしまいました(笑)

 

かげさんの写真

私とかしらいしさんは、看護師経験年数も重ねているので、母親的目線もありますよね。

 

でもたとえば看護師1年目だったとしても「こういう患者さんいるいる!」と盛り上がれて楽しいと思います。

「ありえない部分」を探すのも楽しいけど、コード・ブルーの場合には「ありえる!」をたくさん見つけて「自分だったらどうするかな」と考えて観ると楽しさも倍増しそうです。

 

かげさんが描いたコード・ブルー鑑賞会の感想イラスト

かげさんが、今回の鑑賞会の感想を1枚のイラストにしてくれました!

参加者かげさんの写真

 

 

おわりに

今回、ナースでワイワイと語り合ってみて「自分だったらどうするか」という観方って面白いなと発見がありました!

医療ドラマでモチベーションを上げて、自己学習に励むのも良さそうです。

参加者の集合写真

参加者の皆さん、ありがとうございました!

 

撮影・編集/坂本綾子(看護roo!編集部)

 

【解説コメント】武矢けいゆう(たけや・けいゆう)

けいゆう先生の写真

医師。専門は消化器外科。平成22年京都大学医学部卒業後、複数の市中病院勤務を経て、現在京都大学医学研究科博士課程。個人で執筆、運営する医療情報ブログ「外科医の視点」で役立つ医療情報を日々発信中。資格は外科専門医、消化器外科専門医、消化器病専門医など。
TwitterFacebookでも読者から寄せられる医療・健康についての疑問に日々答えている。

 

劇場版コード・ブルー –ドクターヘリ緊急救命-(公式サイト)

全国東宝系にて公開中!

Ⓒ2018「劇場版コード・ブルー –ドクターヘリ緊急救命-」製作委員会

 

 

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