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2018年07月13日

クリティカル領域における終末期の実践的ケアのガイドライン作成へ

高齢化社会を迎え、クリティカルの現場においても「看取り」が各所で議論されています。

しかし、現状、明確な行動指針はなく、実践的なガイドラインの作成が求められています。それを受け、現在、日本クリティカルケア看護学会と日本救急看護学会が合同で「救急・集中治療における終末期ケアプラクティスガイドライン」(以下、本ガイドライン)の作成を進めています。

 

2018年6月30日(土)、第14回日本クリティカルケア看護学会学術集会の交流集会にて、その全体像が説明されました。

立野淳子氏、山勢博彰氏、日本クリティカルケア看護学会終末期ケア委員会

第14回日本クリティカルケア看護学会交流集会での様子。多くの来場者が詰めかけ、注目度の高さがうかがえます

 

5つのコア概念

今回の交流集会では、ガイドラインの全体像が示されました。

本ガイドラインは、直接的なケアを示した全人的苦痛の緩和意思決定支援悲嘆ケアの3つと、環境的な要因を示したチーム医療の推進組織体制の整備の2つを合わせた「5つのコア概念」によって構成されます(下記図)。

救急・集中治療における終末期ケアプラクティスガイドライン

 

ガイドライン作成の経緯

今回、交流集会の座長として立野淳子氏(小倉記念病院看護部)と山勢博彰氏(山口大学大学院医学系研究科教授)、さらに日本クリティカルケア看護学会終末期ケア委員会の委員ら5人が登壇しました。

 

高齢化社会を迎え、ICUに運ばれる患者さんは、疾病構造の複雑化や重症化したケースが増加しています。そのような中で、「集中治療の現場における終末期医療のあり方が問われてきています」と話すのは、終末期ケア委員会委員長の立野氏。

 

すでに集中治療領域における終末期医療に関するガイドラインとして、日本集中治療学会より、「集中治療領域における終末期患者家族のこころのケア指針」が出されています。これは、集中治療領域において、終末期医療に携わる医療者が、患者とその家族がよりよい最期を迎えることができるよう、ケアの方向性を示したものです1

 

しかし、この指針では、看護師個々の知識や経験に委ねられているのが現状です。立野氏はこうした内容を、「経験の浅いナースが実践の場(行動)に落とし込めるかが問題となっています」と話します。

 

こうした状況を踏まえ、今回、具体的な手順や方法を示したガイドラインの作成に至ったといいます。

 

なお、本ガイドラインは、日本救急看護学会、日本クリティカルケア看護学会の両委員にて現在も議論されている途中であり、今後、議論を重ねる中でより良い内容にブラッシュアップされていくことが、日本クリティカルケア看護学会の代表理事である山勢氏により明言されています。

 

集会に参加した看護師の声

会場からの質問(抜粋)では、以下のような質問が委員会に向けられました。

 

ガイドラインでは、患者さんとご家族の面会をどのように捉えていますか?

面会をすることでどのような影響があるのか、どのようにあればよいのかという内容を示していこうと考えています。

 

高齢で認知力の低下した方の息子さんや娘さんが倒れた場合、どのように対処すればよいですか?

ご質問のようなケースにどのように対処するかを、本ガイドラインでは示していきます。

 

看護師のストレスについては、ガイドラインに盛り込む予定はありますか?

主に、看護師の心のストレスマネジメントに関する提案をする予定です。ケアに携わる看護師もストレス環境下にいることを自覚してもらい、どのように対処すればよいのかを示せればと思います。看護師個人の対処と組織としてのサポート体制の両側面から考えていきたいと思っています。

 

今後の展望

2018年10月に開催される第20回日本救急看護学会学術集会においても、同様なセッションを開き、救急の現場で働く看護師の声を聞く場を設けるといいます。

 

その後も、さまざまな検討会を経て、次回の日本クリティカルケア看護学会学術集会にて、正式版が公表される予定です。

 

本ガイドラインは、単なる「ガイドライン」ではなく、「プラクティスガイドライン」として、実臨床で機能することが求められています。救急・集中治療領域で働くナースの道標になることが期待されます。

 

【松下淳史(看護roo!編集部)】

 

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(引用・参考文献)

1)日本集中治療医学会.集中治療領域における終末期患者家族のこころのケア指針.(2018年7月閲覧)

 

2018年6月30日(土)~7月1日(日)
第14回 日本クリティカルケア看護学会学術集会

【会場】

船堀タワーホール
 

【集会長】

佐藤 憲明(日本医科大学付属病院)

 

【学会HP】

一般社団法人 日本クリティカルケア看護学会

 

 

 

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