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2018年07月19日

末梢静脈カテーテル固定の正解は?|血管内留置カテーテルのガイドラインをわかりやすく解説!

この連載では、点滴ルートの固定方法について多様なバリエーションとコツをご紹介します。

今回は、その中でも末梢静脈カテーテル固定について、ガイドラインの内容を解説です。

 

どれが正解? 点滴ルートの固定方法

Vol.4 血管内留置カテーテルのガイドラインをわかりやすく解説!

タイトル:末梢静脈カテーテル固定の正解は?|血管内留置カテーテルのガイドラインをわかりやすく解説!

〔執筆〕 白石弓夏 看護師

〔監修〕 中谷佳子

川崎市立多摩病院(指定管理者 聖マリアンナ医科大学)

医療安全管理室 感染管理認定看護師

〔イラスト〕 かげ 看護師

 

 

ここまでの記事で、点滴ルート固定の多様なバリエーションと、それぞれのメリット・デメリットをお伝えしてきました。

今回は2011年にアメリカ疾病管理センター(CDC)より発表された「血管内留置カテーテル由来感染の予防のためのCDCガイドライン 2011」(以下 ガイドライン)の内容を解説したいと思います。

 

 

ガイドラインにおける推奨の度合い

ガイドラインでは、それぞれの処置について、勧告内容は下記のいずれかにランク付けされています。

 

カテゴリーIA

・実施を強く勧告。

・十分に設計された実験研究、臨床研究または疫学研究で強く裏付けられている。

 

カテゴリーIB

・実施を強く勧告。

・一部の実験研究、臨床研究または疫学研究と、強い理論的根拠で裏付けられている。

・あるいは限定的なエビデンスにより裏付けられている、一般的に容認されている行為(例:無菌操作)。

 

カテゴリーIC

・州または連邦の法規または基準によって要求されている。(注)

 

未解決問題

・有効性に関する十分なエビデンスやコンセンサスが存在しない未解決問題を示す。

<文献1)より許可を得て引用>

(編集部注:アメリカでは州ごとに法規が異なる場合があり、所在地の州の法規に則り要求されるという意味合いです)

 

 

ガイドラインの抜粋

このガイドラインにおける「血管内留置カテーテル」とは、末梢静脈カテーテルだけではなく、中心静脈や透析用などのカテーテルが含まれています。

ガイドラインの中から、末梢静脈カテーテル固定に関連する項目をピックアップすると以下のようになります。

 

手指衛生と無菌操作

・血管内留置カテーテルの挿入とケアの際には無菌操作を守る(カテゴリー IB)

・皮膚消毒薬の塗布後にアクセス部位に触れない場合、末梢血管内留置カテーテルの挿入には滅菌手袋ではなく清潔手袋を着用する(カテゴリーIC)

・血管内留置カテーテルのドレッシングを交換するとき、清潔手袋か滅菌手袋のいずれかを着用する(カテゴリーIC)

 

カテーテル部位のドレッシング法

・カテーテル部位を覆うために、滅菌ガーゼか滅菌透明ドレッシングのいずれかを使用する(カテゴリーIA)

 

末梢・ミッドラインカテーテルの交換

・成人患者では、末梢カテーテルは、感染と静脈炎のリスクを減らすために、72~96時間毎を超える頻度で交換する必要はない(カテゴリーIB)

・臨床上必要なときに限った成人患者での末梢カテーテルの交換に関して勧告はなされていない(未解決問題)

・小児患者では、末梢カテーテルは、臨床的に必要なときに限り交換する(カテゴリーIB)(注)

<文献1)より許可を得て引用>

(編集部注:小児の場合は感染のリスクよりも刺しかえによるリスク〈再度、挿入できないことなど〉が上回ることにより、このような勧告になっているものと思われます。日々挿入部をよく観察することが重要です)

 

これらのガイドラインの内容から、推奨されている方法を以下にまとめます。

あくまでもガイドラインの要約になりますので、実施の際には自施設の方針を確認したうえで、業務にあたってください。

 

 

末梢静脈カテーテルの固定・交換は無菌操作で行う

ガイドラインでは、無菌操作が推奨されています。

末梢静脈カテーテルの固定・交換を行う際、素手で点滴ルートの挿入を行ったり、刺入部をアルコール消毒した後に触ってはいけないことを示すイラスト。

 

臨床ではやってしまいがちなことかもしれませんが、ガイドラインに則ると、これらはNGです。

【NG】

・手袋をせずに点滴ルートの挿入を行う。

・刺入部をアルコールで消毒したあとに、血管の場所を確認するために、再度触れてしまう。

 

 

挿入部には滅菌ガーゼか滅菌透明ドレッシングを使用する

末梢静脈カテーテルの固定・交換の際、無菌操作を守るために、挿入部に滅菌ガーゼか滅菌ドレッシングを使用することを推奨するイラスト

 

無菌操作を守るため、挿入部には滅菌ガーゼか滅菌ドレッシングを使用することが推奨されています。

 

病院でよく使われているロールガーゼは無滅菌の場合もあります。改めて自施設の方針を確認してみましょう。

 

 

刺しかえは72~96時間毎に行う

挿入してから5日目までの流れを示したイラスト。1日目に挿入したら2、3日目は腫れていないかなど、様子の確認。72~96時間が経過する4、5日目の間での交換が望ましい。

 

ガイドラインでは、成人患者の場合「感染と静脈炎のリスクを減らすために、72~96時間毎を超える頻度で交換する必要はない」と記載されています。

 

この文章の解釈として、「72~96時間よりも頻回に末梢カテーテルを交換する必要はない=72~96時間で定期的な交換をする」と理解していいのかには、議論の余地があります。

 

しかし、ガイドライン本文にも、「感染リスクの低減と静脈炎に関連する患者の不快感の軽減を図るため、72~96時間の間隔で交換するのが一般的になっている」と記載されていることから、この間隔で定期的な交換をする考え方が広まっています。

 

 

重要なのは「挿入日が誰にでもハッキリわかること」

筆者が以前勤めていた成人病棟では、ガイドラインに沿って数年前にマニュアルを変更しました。

「挿入から約72時間で刺しかえをする」という内容です。

 

重要なのは「挿入日が誰にでもハッキリわかること」です。

 

具体的な方法として、挿入の際、ドレッシング材に油性マジックで挿入日を記載していました。

そして、電子カルテに挿入日を記録し、4日後に「刺しかえの予定」を入力しておきます。

 

電子カルテで刺しかえ挿入日の管理ができると、朝の情報収集のとき、今日受け持つ患者さんが刺しかえ日に該当するかどうか確認できます(ワークシートやフローチャートなどに表示される)。

 

朝の時点で情報が抜けてしまったとしても、勤務中に1回は点滴投与や交換などで刺入部の確認をするので、マジックで書かれた日付を確認できます。

 

 

マニュアルに沿った対応ができない場合、カルテに経緯を記載する

しかし中には例外もありました。挿入自体が困難な患者さんなどもいるからです。

4日目に刺しかえられそうな血管が見つからない場合や、何度か失敗してしまった場合に、5日目(約96時間)に延期することもありました。

 

このように、さまざまな理由で、マニュアルに沿った定期的な刺しかえができない場合があります。

その場合、その理由をカルテに記載することが重要です。

 

たとえば、万が一、BSI(血流感染)で訴訟となった場合、マニュアルに則った刺しかえが行われたかどうかや、「マニュアルがガイドラインに則った内容であるかどうか」が問われることになります。

 

マニュアルを逸脱した理由が、たとえ患者さんのためであったとしても、カルテに経緯や理由が記載されていなければ、医療者の怠慢と解釈される可能性もあります。

 

患者さんの中には、痛い思いをしたくないために「なんで針を刺しかえるの?」「別に刺しかえなくていいんだけど」と嫌な顔をする人もいると思います。

その場合には、感染などのリスクを丁寧に説明し、承諾をもらうよう努めることが大切です。

 

 

基本は「日々の観察」と「その記録」

ガイドラインに沿った方法は、感染予防に有効です。

しかし、ガイドラインに沿ってさえいればよいというものではありません。

基本は「日々の観察」と「その記録」をこまめに行うことです。

 

過去の記事で、点滴固定の基本の方法やバリエーションのメリットデメリットも確認しておいてください。

 

■文献

1)矢野邦夫 監訳:血管内留置カテーテル由来感染の予防のためのCDCガイドライン 2011.株式会社メディコン

 


みなさんの病院や施設ではどのようなマニュアルがありますか?

ガイドラインに沿った取り組みはなされているでしょうか?

 

次回は、少し特殊な小児の点滴固定のやり方について紹介していきます。

 

★あなたの施設のやり方を募集★

今回の記事を読んで、あなたはどう思われましたか?

ご感想や意見・質問のほか、「私はこうやってる!」「こんなふうにしているけど、これはOK?」「こういう工夫でもっとよくなりますよ!」など「あなたの施設のやり方」をコメント欄へどしどしお寄せください。

 


【イラスト:かげ】Twitter

総合病院で働き、絵を描く看護師です。医療の勉強に役立つ(てほしい)絵や仕事でのほっこり話などをTwitterでつぶやいています。

 

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