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2018年06月21日

訪問看護師の半数「利用者・家族からの暴力やセクハラ」を経験、初の全国調査

訪問看護の現場で起こる「利用者・家族から訪問看護師に向けられる暴力」。その実態が、全国訪問看護事業協会による初の全国的な調査で明らかになりました。

 

身体的暴力、精神的暴力、セクシャルハラスメントいずれの暴力も、訪問看護師の約半数が「経験がある」と回答。暴力を受けた訪問看護師の中には「仕事を辞めたいと思った」ことがある人もいました。

 

 

訪問看護師はどんな暴力を経験しているのか

調査は2018年2~3月、協会会員の訪問看護ステーション5580事業所と、勤務する訪問看護師1万1160人を対象に実施。事業所管理者1979人、訪問看護師3245人から回答を得ました。訪問看護師の平均年齢は45.7歳、訪問看護の経験年数は平均7.0年でした。調査結果は2018年6月20日に東京都内で開かれた協会の総会で報告されました。

 

利用者・家族から受けた暴力の経験率のグラフ

 

暴言などの「精神的暴力」を経験した訪問看護師は52.7%で最も多く、「セクシャルハラスメント」は48.4%、「身体的暴力」は45.1%が経験したことがあると回答。過去1年間に限っても、28.8~36.1%の訪問看護師がいずれかの暴力被害を受けていました。

 

利用者からの暴力の内容のグラフ、経験があるとの回答は、殴られた24.0%、大声で怒鳴られた48.9%、脅された10.1%、刃物を見せられた3.3%、訪問中にケアの様子を撮影された1.9%、インターネット・SNSなどに悪評を書き込まれた0.5%、能力がないと言われて傷ついた18.2%、容姿や体型について不快な言葉を吐かれた17.4%、身体を触られた36.6%、AVを流されたりポルノ雑誌が見えるように置かれたりした11.2%

 

利用者から受けた暴力被害の具体的な内容は、「大声で怒鳴られた」が最も多く48.9%。次いで、「身体を触られた」が36.6%、「殴られた」が24.0%となっています。威圧的な言動や暴言などの「精神的な暴力」が目立ちますが、中には「刃物を見せられた」「アダルトビデオを流されたり、ポルノ雑誌を見えるように置かれたりした」といった被害も。

 

 

暴力の発生時、訪問看護師の対応は?

暴力を受けたとき、訪問看護師はどう対応したのでしょうか。

 

今回の結果(複数回答)によると、最も多かった対応は「暴力を受けても(サービス提供など)関わりを継続した」というもの(56.0%)。「理由をつけてその場を離れた」(16.1%)、「事業所に連絡して管理者に判断を仰いだ」(15.2%)、「事業所に連絡して応援を要請した」(3.8%)などの対応よりも目立っています。

 

その場を離れる・応援を呼ぶなど、病院内では取りやすい対応も、1人で利用者宅を訪問することの多い訪問看護ではハードルが高いことがうかがえます。

 

利用者・家族から暴力を受けた後の影響のグラフ、仕事を休んだことがある0.9%、訪問しなかったことがある13.1%、訪問に行きたくないと思った73.4%、仕事を辞めたいと思った25.8%、辞めた0.7%

 

利用者・家族から暴力を受けた後は「訪問に行きたくないと思った」(73.4%)、「仕事を辞めたいと思った」(25.8%)など、業務に支障を来すような影響がみられました。「自信がなくなり、怖くなった」「精神的に落ち込んだ」などの理由で、実際に仕事を辞めたというケースも0.7%と少数ですが報告されました。

 

 

ニーズ拡大の訪問看護、暴力対策の充実は必須

こうした利用者・家族からの暴力が原因で「過去1年間にサービス利用契約を解除したことがある」とした事業所は8.2%でした。

 

「事業所で対策を行う必要がある」と考えている事業所の管理者は97.5%に上った一方で、「対策を具体的にどうしたらいいかわからない」(60.4%)といった回答や、対策に割く時間やコストの余裕がないとする回答も。

 

「暴力発生リスクが高いケースでは2人以上で訪問する」「被害を受けた職員には管理者が面談する」「発生後の報告ルート、報告用紙の周知」などの取り組みを行っている事業所は多かったものの、さらに効果的な対策が求められます。

 

全国訪問看護事業協会の検討委員長として今回の調査を行った三木明子・関西医科大教授は、「多くの利用者・家族は善良な方々。一部の暴力によって訪問看護師が離職を考えなくてはいけない現状がある」とした上で、「ますますニーズが増える訪問看護の質を維持する上でも、訪問看護ステーションが組織として暴力対策を行うことが大切」と指摘。

 

新卒の看護師も訪問看護師になる時代。経験の浅い看護師でも、訪問先でどんな危険があるかを予測して対応できるように訓練するKYT(危険予知トレーニング)を活用してほしい」と話しています。

 

 

看護roo!編集部では、「患者・家族から看護師に向けられる暴力・セクハラ被害」について看護師の皆さんと考え、情報を発信していきます。こちらまで、ご自身の体験談やご意見、情報などをお寄せください。

 

看護roo!編集部 烏美紀子(@karasumikiko

 

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(参考)

訪問看護師が利用者・家族から受ける暴力に関する調査研究事業(全国訪問看護事業協会)

訪問看護師のための暴力のKYT場面集・PDF(「訪問看護利用者、家族による暴力の危険予知訓練プログラム構築と実施効果の検討」:武ユカリ、三木明子)

 

 

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