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2018年06月22日

新たな「認定看護師制度」はどう変わる?

日本看護協会が2020年度からスタートさせる新たな認定看護師制度に注目が集まっています。

 

日看協は、詳細については今後検討していくとしていますが、新制度の方針としては大きく2点を打ち出しています。

 

(1)特定行為研修を組み込む

(2)認定看護分野を再編する

 

それでは、具体的に、何が、どのように変わるのでしょうか。

2018年6月12日の通常総会および13日の交流集会で日看協が説明した内容を参照しながら解説します。

 

認定看護師制度の移行スケジュール

 

 

特定行為研修を組み込むとは?

最も大きな変更点は、やはり認定看護師教育に特定行為研修が組み込まれることです。

 

認定看護師教育の再構築ポイント

 

この点については、13日に開かれた交流集会で荒木暁子常任理事が、一部、SNS等で2つの制度が一本化されるとの誤解が広がっていることに触れ、日看協はあくまで特定行為研修を「活用する」スタンスだと説明しました。

 

そもそも、認定看護師制度は日看協が教育や認定を行う資格制度ですが、特定行為研修制度は厚生労働大臣が指定する学校や病院等で実施される研修制度で、資格ではありません。

 

その成り立ちや目的が異なることから、あくまで別の制度であることに今後も変わりはないようです。

 

認定看護師制度と特定行為研修制度の違い

 

それでは、どうして認定看護師教育に特定行為研修を組み込む必要があるのでしょうか。

 

荒木常任理事の説明によると、大きく下記のような要因があるようです。

 

・疾病構造の変化に対応できる、これから必要とされる看護師像の変化

・厚生労働省の特定行為研修制度の推進強化による影響

 

 

在宅などでも活躍できる看護師の育成

認定看護師制度が1995年に創設された当初は、医療が高度化・専門化し、水準の高い看護を実践できる看護師が必要とされた時代でした。そのため、認定看護師教育も、それぞれの認定分野の専門に特化した教育が実施されてきました。

 

しかし、複数の疾患や慢性疾患を持つ高齢の患者さんが増加したことで、急性期医療だけでなく在宅医療まで、あらゆる場で看護を必要とする人に対するケアが実践できる看護師が求められるようになってきました。また、地域や施設などとの間をつなぐコーディネーター的な役割も期待されています。

 

そうした観点から、教育内容を見直す必要がでてきたと日看協では考えているようです。

 

一方、2015年に設立された特定行為研修制度は、医師の指示を待たず、あらかじめ作成された手順書に基づき、一定の診療の補助(特定行為)を看護師の判断で行えるようになるために受ける必要がある研修です。日看協では、この研修で医学的知識をベースにした臨床推論力や病態判断力が強化できるため、認定看護師教育をよりパワーアップできると考えているといいます。

 

荒木暁子常任理事

これまでの経緯や今後の流れを説明する日看協・荒木暁子常任理事

 

 

特定行為研修の修了者の増員施策

さらに、厚生労働省がなかなか増えない特定行為研修の修了者を増やす、さまざまな施策を打ち出していることも影響しているといいます。

 

たとえば、2018年度の診療報酬改定では「特定集中治療室管理料1・2」「糖尿病合併症管理料」「在宅患者訪問褥瘡管理指導料」など、診療報酬の算定要件に特定行為研修修了者が加わりました。これにより、自施設の看護師を特定行為研修に送り出す医療機関が出てくるのではないかと考えられます。

 

また、日看協の調査によると、厚生労働省が通知を出したことで、ほとんどの都道府県の医療計画に何らかの形で特定行為研修修了者の増員計画が盛り込まれたため、特定行為の指定研修機関が増加していくことが見込まれるといいます。

 

そうなると、今後、認定看護師教育よりも特定行為研修に需要が移っていく可能性があります。

 

荒木常任理事は、「このような背景もあり、認定看護師制度の価値を維持・向上させていく必要があると考えた」と説明しました。

 

 

認定看護分野の再編とは?

新たな認定看護師制度で注目されている変更点として、認定分野がどうなるかという問題もあります。

 

荒木常任理事は、認定看護師の中には「なくなる認定分野があるのでは?」という不安の声が上がっていることについて触れ、現在までに検討されている内容を紹介しました。

 

具体的には、「疾患」「病期(急性期、慢性期等)」「成長・発達段階(小児、高齢者等)」「(認定看護師の)活躍の場」の4つの軸で整理し、重なり合う領域を統合する案が上がっているそうです。

 

 

認定分野を統合する検討がなされている背景には、元々、現行の認定看護師制度が、専門性や独自性に主眼を置き、多少、重なり合っても構わないという考えの下、認定分野が考えられてきたことがあるといいます。ほかにも、認定分野によって養成数にばらつきがあり、受講者の確保や経営面に問題を抱える認定機関があることも影響しているようです。

 

そのほかにも、学会等の要望を踏まえ、医療者以外にもわかりやすい名称への変更が検討されている認定分野もあるとのことでした。

 

ただ、荒木常任理事は、こうした再編案はあくまで検討段階で、ホームページ等を通じて情報をアップデートしていくので、そうした情報を確認してほしいとし、「不正確な情報で慌てて、不安にならないように」と冷静な対応を求めました。

 

 

さまざまな意見

通常総会の質疑応答では、新たな認定看護師制度への質問や意見が多く寄せられました。 その一部を紹介します。

 

認定看護師、特定行為研修、ナースプラクティショナー、それぞれ必要性があることや出先の機関が異なることは理解していますが、率直なところ、すべての入り口が別々で看護師でもわかりづらい。そのため、他職種に受け入れられるのはもっと困難と感じています。たとえば、認定に一元化し、ラダーを設け、段階的に特定行為の権限を与える方が、世の中には受け入れられやすいのでは?

 

認定看護師ですが、これまで、特定行為研修を自分が取得している認定分野とどのように融合させるのかあまりピンときていませんでしたが、最近、さまざまな場所で説明を聞く機会が多くなり、病院だけでなく地域へ活動を広げているという発表を聞いて、この研修の意義深さを感じています。(中略)新しい教育に期待を寄せてはいますが、新制度に移行するときには、日看協としてわたしたちへの支援をしていただきたい。

 

SNSで大先輩が声を上げています。読ませていただきます。「これまでの認定看護師の役割からも、それぞれの教育の本質からも、このような決定を日本看護協会が単独で行ったことに対しては強い疑義を感じています。(中略)認定看護師制度は日本看護協会のみの所有ではなく、看護師全体の財産です。制度の改編にあたっては認定看護師をはじめ関係者の意見を丁寧に聴取し、その過程は広く公開すべきです。初めに再構築ありきでは通りません」

 

こうした質問や意見に対し、荒木常任理事は、「引き続き、いろいろなご意見をうかがいながら、より良いものにしていくように話し合いを続けていきたいと思います」と述べ、新しい制度にスムーズに移行できるよう、日看協として最大限の支援を考えていきたいとしました。

 

【坂本朝子(看護roo!編集部)】

 

「検討されている新たな認定分やの再編案」の表に一部誤りがありましたので、2018年6月22日14時に、修正いたしました。

 

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(参考)

【認定看護師】現行の認定看護師教育の終了時期等について(日本看護協会)

認定看護師制度の再構築(日本看護協会)

特定行為に係る看護師の研修制度(厚生労働省)

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