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2018年03月29日

訪問看護師10年で倍増!追い風が吹く訪問看護、採用ニーズさらに拡大へ

2018年4月の診療報酬・介護報酬改定でも充実が図られる訪問看護。訪問看護ステーションの施設数、看護職員数はこの10年でともに倍増しています。

 

7対1病床の削減など、入院医療の再編によって「完全な売り手市場だった病院の看護師採用は様変わりする」という可能性も指摘されている中で、唯一、追い風が吹いている訪問看護のこれからを展望してみます(『入院再編で看護師の「売り手市場」に変化の兆し』)。

 

 

訪問看護ステーションで働く看護師は10年で約2倍

まずは訪問看護の現状について見てみましょう。

 

訪問看護ステーションの数は年々増えていて2017年現在、約9700か所となっています。

 

訪問看護ステーションの施設数の推移グラフ、1998年2756か所、2008年5434か所、2017年9735か所

出典:1998~2015=厚生労働省「訪問看護実態調査」「介護サービス施設・事業所調査」、 2016~2017=全国訪問看護事業協会「訪問看護ステーション数調査」

 

特に2012年からの伸びが目立ちますね。これには、2012年度の診療報酬改定が関係しています。この年の改定で訪問看護への評価が手厚くなり、民間企業を中心に訪問看護に参入する事業者がぐっと増えたのです。

 

訪問看護ステーションの増加とともに、そこで働く看護職員ももちろん増えています。

 

訪問看護ステーションの看護職員数の推移グラフ、2007年には看護師19879人、准看護師2541人だったが、2016年には36842人、准看護師3909人

出典:介護サービス施設・事業所調査

 

厚生労働省のデータによると、訪問看護ステーションに勤務している看護師は2016年現在、約3万7000人。准看護師は約3900人です。2007年はそれぞれ約2万人、約2500人でしたから、この10年の間に訪問看護ステーションで働く看護師はおよそ1.8倍、准看護師はおよそ1.5倍に増えたことになります。

 

 

訪問看護師はまだまだ少数派

増えたとはいえ、看護職員全体から見れば、まだまだ少ない訪問看護師。就業場所別に見ると、訪問看護ステーションで働くナースはわずか3%です。

 

看護職員の就業場所別円グラフ(2016年12月末現在、常勤換算)、病院66%、有床診療所4%、無床診療所11%、介護保険施設等9%、保健所・市町村3%、社会福祉施設などその他計4%

出典:衛生行政報告例 ※看護職員は看護師、准看護師、保健師、助産師の合計

 

病院やクリニック勤務の看護師が8割を占める中、訪問看護師はかなりの少数派であるのが現状のようです。

 

 

訪問看護ニーズは増える&高度化する

一方、訪問看護のニーズは、高齢化に伴って拡大を続けています。

 

訪問看護の利用者数の推移グラフ、2007年は医療保険適用が70934人、介護保険適用が246700人、2017年には医療保険適用が229000人、介護保険適用が474000人

出典:介護保険=介護給付費等実態調査(各年5月審査分、2017年は6月審査分)、医療保険=厚生労働省保険局医療課調べ(各年6月審査分、2017年は暫定値)

 

しかも、単に利用者の数が増えるだけでなく、その医療ニーズが高度化・複雑化している点も見過ごせません。

 

2007年と2017年の利用者数を見ると、介護保険を適用した利用者が約1.9倍の伸びだったのに対し、医療保険はその伸び率を上回る約3.2倍。医療保険の対象になるようながん末期の患者さんや、人工呼吸器や医療機器を装着・使用している患者さんなど、以前であれば入院して医療・ケアを受けていた患者さんも、在宅で過ごすケースが増えていることがうかがえます。

 

 

必要な訪問看護師は15万人?

それでは今後、どのくらいの訪問看護師が必要なのでしょうか?

 

日本看護協会などが2025年に向けてまとめた『訪問看護アクションプラン2025』では、現在13%程度で推移している日本の在宅死をオランダやフランスなどと同水準の30%前後にまで引き上げる場合、「訪問看護に携わる看護職員は約15万人が必要だ」と試算しています。

 

現状から単純に計算すれば、あと11万人の訪問看護師が足りないということになります。2016年現在で就業している看護師(准看護師、保健師、助産師を除く)は約110万人なので、そのちょうど1割に当たる数の訪問看護師が足りないというわけですね。

 

 

締め付け厳しい入院医療、評価の手厚い訪問看護

訪問看護の提供体制を充実させるべく、国はさらなるテコ入れを進めています。

 

ここ数年の診療報酬・介護報酬改定で手厚く評価されてきていますが、2018年春のダブル改定でも、訪問看護にかかわる各種加算が算定しやすくなったり報酬がアップしたりと、さらに充実。改定のたびに締め付けが厳しくなっていく急性期の入院医療とは対照的です。

 

特に2018改定では、病院に併設している訪問看護ステーションへの評価を充実させる点に注目です。

 

独立して運営されているタイプに比べて病院併設型の訪問看護ステーションは

・重症度の高い患者の受け入れや24時間対応が多い

・緊急時の入院対応がスムーズ

・病院看護師との人材交流や看護学生の実習受け入れなど、人材育成の役割を担っている

といった特徴があります。

 

病院併設型の持つこうした機能を報酬として評価することで、病院による訪問看護への参画を促す狙いです。入院医療に対する評価が厳格になっている中、訪問看護に関心を持つ病院経営者は増えていくとみられます。

 

 

訪問看護ステーションは大規模化が進められている

もうひとつ、訪問看護をめぐる動きで押さえておきたいのは「訪問看護ステーションの大規模化」です。

 

2018年度の診療報酬改定では、24時間体制で電話連絡に応じる「24時間連絡体制加算」を廃止して、24時間体制で緊急訪問に応じる「24時間対応体制加算」に一本化。その上で報酬を上乗せしました。これは、1事業所当たりのスタッフ数を増やそうという狙いです。

 

訪問看護ステーション従事者規模の図表、2.5~3人未満776施設、3~4人未満1519施設、4~5人未満1202施設、5~7人未満1669施設、7~10人未満1279施設、10~15人未満791施設、15~20人未満240施設、20人以上154施設

出典:介護サービス施設・事業所調査

訪問看護ステーション1事業所当たりの看護職員数の推移折れ線グラフ、2007年4.3人、2016年4.8人で微増傾向

出典:介護サービス施設・事業所調査

 

訪問看護ステーションは小規模な事業所が多く、従事者が5人未満というところが約半数を占めます。1事業所当たりの看護職員は平均で4.8人となっています(2016年、常勤換算)。

 

国は在宅ケアの要として「訪問看護ステーションの24時間対応」を進める考えですが、それには事業所規模を大きくする、つまり看護職員を増やして一人ひとりの負担を軽減することが求められます。

 

7対1病床の削減の影響などで「急性期病院では看護師の採用控えが起きるかもしれない」とも言われていますが、拡大路線の訪問看護分野では、採用ニーズは高まる一方なのです(『入院再編で看護師の「売り手市場」に変化の兆し』)。

 

 

急性期を経験したナースは引く手あまた?

船井総合研究所・内田亮太さんの写真

「訪問看護師の需要は拡大している」と話す船井総合研究所の内田さん

 

「入院日数がどんどん短くなっている中、在宅には急性期に近い病態の患者さんが増えています。急性期の経験を基に、在宅の患者さんを看られる人材が欲しいという声は高まる一方です。在宅の量だけでなく、質を高めるという点からも、急性期経験のある看護師の力が必要だと思います」

 

医療機関のコンサルティングに携わる船井総合研究所の内田亮太さんは、こう指摘します。

 

以前、経営に携わった訪問看護ステーションで、「桜を見てから死にたい」と話していた在宅がん患者さんの希望をかなえたのが、急性期の病院で経験を積んだ訪問看護師だったと言います。

 

「終末期の外出には困難もあったんですが、お花見に連れて行くことができた2日後、静かに息を引き取られました。この患者さんがどういう状態で、この後、どんな経過をたどるか、家族に対してはどの段階で、どんなアプローチをすべきか-。急性期の経験が生きて、QOLの部分まで深くケアできたケースでした」

 

 

訪問看護の門戸は広がっている

日本看護協会の2016年度調査によると、全国のナースセンターに登録された訪問看護ステーションの求人倍率は3.69倍。全施設平均の2.41倍を上回って最も高く、前年の2.2倍からも大きく増加しています。

 

「病院との違いに戸惑いもあると思いますが、急性期の経験が在宅でこそ生きる場面も多い。病院にはないやりがいを感じるという声もよく聞かれます。現在7対1の病院で働いていて、今後のキャリアについて考えているのであれば、訪問看護師は、ぜひ検討してみてほしい選択肢です」(内田さん)

 

***

「病院から在宅へ」の流れの中、訪問看護師への門が以前よりも大きく開かれているのは間違いありません。これからのキャリアパスを考える上でも、医療政策の動向に注目です。

 

【烏美紀子(看護roo!編集部)】

 

(参考)

中央社会保険医療協議会第370回総会・在宅医療(その4)について・PDF(厚生労働省)

訪問看護アクションプラン2025・PDF(日本看護協会、日本訪問看護財団、全国訪問看護事業協会)

介護サービス施設・事業所調査(厚生労働省)

平成28年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況・PDF(厚生労働省)

 

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コメント一覧(1)

1安倍君2018年03月29日 23時16分

訪問看護に勤務するリハビリ職です。訪問看護ステーションが増えている、現実は本当に看護の需要でしょか?この記事はリアルな現場がしっかり、把握出来てないとおもいます。

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一人暮らしの82歳男性患者さん。糖尿病で血糖下降薬を内服中です。病院より数種類の内服薬が1日3回処方されていますが、定時に内服したかどうか忘れてしまうことが多くなってきています。血糖コントロールに影響するため、主治医から内服管理を主な目的として、訪問看護の依頼がありました。現在は、内服薬の飲み忘れ以外では、大きな問題はなく生活ができています。以下のうち、訪問看護師の内服管理の方法で最も適切なものはどれでしょうか?

  • 1.内服薬の飲み方について手順書を作成し、壁に貼って確認をするように指導した。訪問看護師は、訪問時に患者さんに内服が手順通りにできているかを患者さん本人に聞くようにした。
  • 2.訪問看護師が一包化した処方薬ごとに内服する日にちと曜日を記入し、配薬カレンダーに配薬した。訪問看護師は、訪問時に配薬カレンダーを見て、正しく内服しているか確認した。
  • 3.一包化した処方薬ごとに、患者さん自身で、内服する日にちと曜日を書き入れてもらい、配薬カレンダーに入れるように指導した。訪問看護師は、訪問時に配薬カレンダーを確認して正しく内服しているか確認した。
  • 4.訪問看護師が薬の袋に内服する時間を記入した。患者さん自身でその都度、ヒートのままの数種類の薬を取り出し、内服するように指導した。訪問看護師は、訪問時に残薬数の確認をして正しく内服できているか確認した。
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