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2018年05月16日

EPA外国人看護師を受け入れているのは悪い職場?良い職場?

私が勤務している病院では、2010年よりEPA外国人看護師の受け入れを開始し、2018年5月現在、8名のEPA外国人看護師が働いています。

 

この連載では、私がEPA外国人看護師と協働して感じたことやそのエピソードをお伝えし、読者の皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

【文:小林ゆう(看護師)】

 

外国人看護師と共に働く現場から

Vol.9 EPA外国人看護師を受け入れているのは悪い職場?良い職場?

外国人看護師を受け入れる病院は、人手が少なくナースが大変そうな病院ではなく、人数が多く余裕のあるナースたちがいる病院であることを説明するイラスト

 

EPA看護師がいる病院のイメージ

「看護師が足りないから外国人に頼るしかないのでしょう? なんだか看護の質も低そうなイメージなのだけど、ほんとうに大丈夫?」

 

これは実際に、他の病院に勤務する看護師、Aさんが私に放った言葉です。

 

Aさんの病院は、EPA看護師の受け入れはしておらず、Aさん自身もEPA看護師との協働経験はありません。

 

厚生労働省によると、そもそも外国人看護師を受け入れる目的は経済活動の連携の強化です。

わたしたちの国は「看護師が足りない」から、外国人看護師を受け入れているわけではありません。

 

つまり、「人手が足りないからEPA看護師に頼るのでしょう?」に対する答えは「ノー」です。

 

ここまでの連載記事を読んでいただいていればわかる通り、外国人看護師と協働することにはそれなりの苦労があります。

 

しかし世間的には受け入れ側の現場の苦労に注目してはもらえません。

むしろEPA看護師がいる職場に対して「人員が足りないから外国人看護師を受け入れている」というイメージが定着していることも否めません。

 

EPA看護師の受け入れに対して実際の現場では、長期的にフォローをする看護師が必要となります。

そのことで、むしろ実働人数はマイナスとなるのです。

 

 

EPA看護師はエリート

では「看護の質が低いのでは?」というAさんの疑問に対してはどうでしょうか?

Aさんの言葉に内心腹を立てていましたが、ここは冷静にAさんに問いを返してみました。

 

私「あなたの職場ではEPA看護師にマンツーマンのフォローをつける余裕がないでしょ?私の職場では人員に余裕があるからEPA看護師を受け入れられるのよ」

 

Aさん「でも、日本語通じるの?言葉もわからない人にどのくらい痛いかとか伝わるのかしら?」

 

何のために私たちはさまざまな「スケール」を使っているのでしょうね。

それに、EPA看護師が、患者さんの訴えを聞き漏らさないように真剣に耳を傾ける彼らの姿をぜひ、一度見てほしいです。

 

そこで私は、Aさんにもうひとプッシュしてみました。

 

私「あなたの病院に日本語が通じない外国人の方が入院されたら、さぞやお気の毒ね。日本語しかできない看護師ばかりなのでしょう?」

 

EPA看護師はいわばエリートなのです。

 

大卒者も多く、母国語・英語・日本語を話せるトライリンガルの場合がほとんど。

看護師の中で3カ国語を話せます!という方、どのくらいいるのでしょう(私の周りには皆無です)。

 

フォローの体制がある職場に、エリートのEPA看護師を受け入れている。

「看護の質も低いのでは?」という問いに対しても「ノー」と言えると思っています。

 

 

病院が受け入れていても待遇が良くなければすぐに辞めてしまう

キャリーケースを帰ろうとするマリアとホセと止めようと困惑する看護師小林さんのイラスト

 

協働してみて実感するのは、EPA看護師の目線が結構シビアなこと。

私の病院のEPA看護師をみていると、主張がはっきりしているだけではなく、日本人のように「ある程度の我慢は必要」などという感覚はあまりないようなのです。

 

「嫌なものは嫌」とはっきり言うため、職場の環境が悪ければすぐに帰国を匂わせたり、転職をする人もいます。

職場環境の質を試されているのは、むしろこちら側なのです。

 

 

EPA看護師に定着してもらうための配慮

EPA外国人看護師候補生を雇用するためには、日本での国家資格取得までの勉強時間を確保してもらうための配慮が、施設側に求められます。

 

学費の補助や、資格取得までの間、看護助手として勤務する際のシフトを配慮するなど、その範囲は多岐にわたります。

 

候補生(看護助手)のうちに退職してしまったり、資格を取得しても短期間で退職してしまっては職場側の負担が増えるだけなのです。

 

逆を言えば、候補生やEPA看護師が定着している職場はそれだけ労働環境が良い、という証拠です。

 

 

EPA看護師を受け入れている職場は日本人も働きやすい?

仕事にやりがいを感じているような笑顔の外国人看護師、マリア、ホセと笑顔で堂々としている日本人看護師たちのイラスト

 

新人看護師ですら定着が難しい看護の世界、EPA看護師が定着する職場には、良い面がたくさんあると私は思います。

 

働きやすい職場であることや、教育体制が整った環境であれば、EPA看護師から評価されます。

 

EPA看護師から評価されている病院は、ほかの看護師にとっても働きやすい職場であるといえるのではないでしょうか。

 

EPA看護師にも、日本人看護師にも苦労はたくさんありますが、お互いの努力や現場の実際をこの連載で少しでも知ってもらえたなら幸いです。

 

世間のイメージに負けることなく、皆が働きやすい環境を目指し、努力の日々はまだまだ続きます。

 


 

【ライター】小林 ゆう(看護師)

関東在住。総合病院で勤務する傍ら、看護師ライターとして執筆活動をしている。子育てに奮闘しながらも趣味のライブやダイビングに熱を注ぐ40代。

 

【イラスト】明(みん)

看護師・漫画家。沖縄県出身。大学卒業後、看護師の仕事の傍らマンガを描き始める。異世界の医療をファンタジックに描いたマンガ『LICHT-リヒト』1~3巻(小学館クリエイティブ)が好評発売中。趣味は合気道。

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コメント一覧(4)

4匿名キー坊2018年05月16日 18時10分

イラスト可愛い!

3匿名2018年05月16日 12時24分

新聞記事くらい読んでますから、EPA外国人看護師が自国で優秀かというのくらいは解ってますよ。
Aさんがたまたま無知だったというだけでは?

2ハルカ2018年05月16日 10時12分

外国人介護士の受け入れでもそうだけど経済活動の連携強化ってのは体のいいお題目だよね 受け入れてない病院は日本語しかできない看護師ばかりでしょって偏見にもイラっとしました

1匿名2018年05月16日 06時38分

日本の医療現場は異常じゃないですか。
陰湿なイジメやパワハラやサービス残業ばかりの超ブラックな職場ですよね。

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  • 1.「申し訳ありません」と謝り、すぐに点滴を止める。気分は悪くないかなど、患者さんの状態の観察を行い、上司と医師に別の患者さんの点滴と間違っていたことを報告すると説明した。
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  • 3.すぐにナースステーションに戻り、師長に「患者さんが、点滴が間違っていると怒っている」と報告し、対応を依頼した。
  • 4.注射箋を確認すると、ラベルは間違っているが、点滴内容は同じであることが分かったので、患者さんにはこのままで問題ないことを説明した。
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