2017年10月26日

救急看護師のお仕事とは?

救急科や救命救急センターは、憧れる看護師も多い人気の職場。

その魅力はどこにあるのでしょう?

救急看護師の具体的な仕事内容を6つのポイントで紹介します。

 

6つのポイントでわかる

救急ナースの仕事内容

救急看護師のイメージイラスト

 

 

 

【1】救急看護師の役割5選

救急看護師の役割を5つ紹介します。

救急看護師の役割一覧

 

1)初期治療・検査の補助

救急科や救急外来に患者が搬送されてきたとき、最初に行う処置は「意識確認」「気道確保」「血管確保」「採血」「酸素投与」等です。

 

ナースの役割は、初期治療や検査の補助を行うこと。

「初療室」という患者受け入れの窓口となる診察室で応対します。

 

重症度や緊急度によって対応は異なります。

ひととおりの処置が終わると、患者の容体が安定したことを確認してICUなどの病棟に移します。

そこでは心電図モニターや人工呼吸器を装着のうえ、経過を観察します。

 

◆先輩の声

初期治療・処置の補助は、とにかく急を要する場面の連続です。

救急ナースは、ナースシューズやサンダルではなく、良質のスニーカーを履いている人が多いですね。

急変対応や、患者の受け入れなど、走らなければならない場面はほかの診療科と比べ桁違いに多いのでは、と思います。

 

私は弾性ストッキングをウエアの下に履いています。

たくさん歩いたり走ってもむくみにくいので、重宝していますよ。

 

救急看護師の服装は、動きやすさが第一優先です。

(救急外来勤務、看護師3年目)

 

 

2)診療の補助

診療の補助はどの診療科でも行いますが、救急看護師はより緊急度・重症度の高い患者の診療補助を行います。

初療室から病棟へと患者を移す一連の流れの中で、一瞬の判断を求められることも。

 

的確に医師の指示と患者の状態を汲み取り、次の一手を読み、必要な医療機器やケアを準備していきます。

各種検査や、緊急手術への対応にも備えます。

 

高度な判断力を駆使する中でも、診療記録は正確につけることが求められます。

 

◆先輩の声

診療補助をする際に、ハサミは必需品。

いつもポケットに入っています。

 

ほかにも、ペアン鉗子とテープを持っていると便利です。

テープは、末梢ラインの抜去時にさっと固定するのに使ったりします。

 

アル綿も1つ入っていると重宝します。

衛生管理には気をつけつつも、急を要する場面が多いので臨機応変に判断する力が大切だと思います。

(救命救急センター勤務、看護師10年目)

 

 

3)家族ケア

救急看護師は、患者の家族にもきめ細かくケアを行います。

命に関わる重篤な症状の場合、病院に呼ばれた家族は不安にさいなまれています。

 

手術や検査の終了時間や、その後の対応などについて密にコミュニケーションをとるだけでなく、心理的なケアも行います。

 

 

4)救急外来・一般外来のフォロー

救急看護師が、救急外来だけでなく一般外来にヘルプに入る場合もあります。

 

もともと、救急科が救急外来を兼ねている病院もありますし、病院によっては血管造影室と兼務している救急看護師もいます。

その場合は、緊急時の血管撮影や心臓カテーテル検査に関するスキルアップが求められるとのことです。

 

外来や検査室をフォローし、研鑽を積むことも、救急看護師の業務です。

 

 

5)トリアージ

救急看護師が病院で行うトリアージは、患者の容体や緊急性を確認し、診療や処置の優先順位を決めるものです。

 

患者が到着したら、名前や年齢などの基礎情報を聴取したうえでフィジカルアセスメントを行い、優先順位をつけます。

知識と経験が必要とされる業務です。

 

 

【2】救急看護師の1日ってどんなタイムテーブル?

救急看護師は、どのようなスケジュールで1日を過ごしているのでしょう?

具体的なタイムテーブルを「日勤」「夜勤」に分けてみていきましょう。

 

 

救急看護師のある日勤

救急看護師の日勤スケジュール

 

 

救急看護師のある夜勤

救急看護師の夜勤スケジュール

このタイムテーブルを教えてくれたAさんによると、日勤・夜勤ともに「患者さんの搬送」→「検査・処置・ケア」→「病棟への移送」という業務を繰り返しているとのこと。

 

スピード感のある現場です。

 

 

【3】新人ナース必見!救急看護師の特徴

救急の看護師さんってどんな特徴がある?

現役ナースへの取材・アンケートからイメージを作成しました!

救急看護師のイメージイラスト

頭:フル回転!

頭の中で、常に優先順位を立てています。

耳:アラーム音

いつもどこかで鳴っているアラーム音を聞き分けています。

目:強い目

重症患者を目の当たりにしても動じることがない意志の強い目。

鼻:鈍感のほうが良い!?

流血が多い現場のため、臭いに敏感だとストレスに!?

口:ハッキリ

緊急を要する現場なので、伝えたいことははっきり伝える必要があります。

手:指紋なし!?

アルコール消毒のしすぎで指紋がなくなることも!?

胸:度胸!

慌ただしい現場でも冷静に対応します。

腹:さっぱり

患者さんの命が最優先なので、怒号が飛び交う現場。そのときに言うべきことを言ったら、そのあとはさっぱり。

足腰:強靭!

ほかの部署に輪をかけて体力の必要な現場。強靭な足腰がものをいいます。

がま口:あたたかめ

基本給に加えて危険手当がつくことも。

ただし、危険手当は懐が潤うほどの額ではないという意見もありました。

※あくまでインタビューや取材から作成したイメージです。

 

 

【4】救急看護師のキャリアプラン。3つの実例

救急科勤務、という経験からどのようなキャリアプランが考えられるでしょうか?

先輩たちのキャリアプランをまとめました!


 

1)救命救急センター→手術室、ICU

救急看護師のキャリアプラン。救急科から手術室へ

 

救急看護師から手術室勤務へ転属した先輩のキャリアです。

救急での経験はオペナースをやるにあたり、器械出し・外回りの両方の業務に役立つようです。

 

◆先輩の声

救急での常に緊迫し、先を読んで動かなければならない現場の経験は、オペ室でも役立ちます。

 

オペナースの役割は、執刀医の一手先を読んで器械を準備したり、麻酔などのモニターにも目を配りながら全体を調整していく業務だからです。

 

救命救急センターでは、外科治療に関する知識や、医療機器の扱い方など幅広い知識が身につきます。

楽な現場ではないですが、他の診療科に行っても通用するスキルは多いのではないかと思います。

(転職時、看護師7年目)

 

 

2)救命救急センター→整形外科

救急看護師のキャリアプラン。救急科から整形外科へ

外傷を負った患者さんが日常生活へ戻るまでをもっと長いスパンでケアしたい。

そんな思いから、整形外科を選ぶ看護師もいます。

 

◆先輩の声

交通事故やスポーツ外傷で搬送されてくる患者さんを看ていて、救命救急センターやICUでの治療後、生活に復帰するまでを支えたいと思うようになりました。

 

救急にいれば外科治療の知識や介助のスキルは身につきます。

だから、整形外科に移ってもある程度やれるのではないかと…。

そう思って異動の意向を師長に伝えました。

 

異動した整形も急性期なので、患者さんの出入りはめまぐるしいですが、退院指導等はより生活に密着したケアをしている実感があり満足しています。

(転属時、看護師5年目)

 

 

3)救急科→訪問看護

救急看護師のキャリアプラン。救急科から訪問看護へ

救急で腕を磨いたあと、訪問看護に挑戦した先輩もいます。

 

◆先輩の声

救急科の醍醐味は、幅広い疾患をケアできるところだと思います。

この経験を活かして、より高度な判断力が求められる訪問看護に挑戦したいと考えました。

 

でも、実際に在宅で勤務してみると、医療機器が整ってないことに一番戸惑いました。

救急では、治療・ケアのための環境がこれ以上ないほど整っているので…。

 

物品がない中でどう工夫するかが課題ですが、楽しみながら経験を積みたいと思います。

(転職時、看護師21年目)

 

 

【5】現場のリアルがわかる!救急看護師のあるあるエピソード

先輩たちが経験してきた「救急看護師あるある」を集めました。

救命救急センターや救急科の雰囲気を捉えてみてください。

 

救急看護師のあるあるエピソード

 

あるある【1】顔よりも、ケガの具合で患者さんを思い出す

救急科は、処置やケアひとつとっても1分1秒を争う現場。

顔をしっかり認識している余裕はなく、外傷の処置や症状緩和に集中しています。

そのため患者さんを思い出すときに、名前ではなく「どんなケガをしたか」で記憶をたどるのが救急あるある。

 

 

あるある【2】研修医にブチ切れ飽きた

研修医への実質的な指導係になってしまうというのも、救急看護師あるある。

 

現場経験がものをいう救急の現場では、医師・看護師の別なく、怒号が飛び交います。

 

まごついている研修医を救急看護師が叱咤激励する光景がよくみられるようです。

 

 

あるある【3】まだ20代なのに「肝っ玉母さん」と呼ばれてしまう

救急での勤務が長くなればなるほど、重度の患者さんを看る機会は増えます。

重症度の高い外傷患者へのケアであっても、冷静に対応できる胆力が養われます。

 

多少のことでは動じなくなるため、たとえ20代であっても同期から「肝っ玉母さん」扱いされるのも救急看護師あるある。

 

 

あるある【4】お薬手帳への意識が高い

意識がない患者さんが運ばれてきたとき、お薬手帳があることでどんなにケアがしやすいか、知っているのが救急看護師。

万一に備え、アレルギーの有無やかかりつけ医などを記入したお薬手帳を持つようになるのも救急看護師あるあるです。

 

また、コワモテの患者さんのお薬手帳が可愛いくてびっくりする場面にもよく遭遇するそう!

 

 

あるある【5】救急車の助手席を確認してしまう

たとえ休日であっても、救急車が通りかかると助手席を確認してしまうのは救急看護師あるある。

 

助手席に救急隊員が乗ってない場合、ケアや処置にあたっているということなので、患者がより重症であるというサインになります。

助手席に救急隊員が乗っていると、どこかホッとするそうです。

 

 

【6】救急看護師を目指すあなたへ。先輩からのアドバイス

救急看護師の先輩に新人ナースからの質問をぶつけてみました!

 

Q:救急に長く勤務していると、体位変換やオムツ交換など、基礎看護技術を忘れてしまうという話を聞きましたが本当ですか?

A:そんなことはありません。

救急看護師の仕事は、初療室の中だけではありません。

病院によって異なりますが、救急科内にベッドがある場合や、ICUと兼務の場合など、初期治療のみではなく、急性期の看護全般を担うのが救急ナースの役割です。

 

必然的に、自立度が低く自分の身の回りのことができない患者さんが多く、清拭や陰部洗浄、口腔ケアなどは頻回に行います。

 

入浴介助や食事介助も日常的な業務ですよ。

(総合病院 看護師3年目)

 

 

Q:「このスキルが身につくのは救急看護師ならではだな」と思う技術はありますか?

A:幅広い年齢、疾患、全身の解剖生理について詳しくなることです。

救急看護師は、搬送されてくるありとあらゆる年齢、疾患の患者をケアします。

小児もいれば、高齢者もいますし、外傷から内臓・脳の疾患までさまざまです。

 

幅広く看れること、それが最大の特徴だと思います。

(総合病院 看護師6年目)

 

 

Q:忙しそうなイメージですが、ちゃんと休めるんですか?

A:オン・オフの切り替えは特に大事な部署だと思います。

重症度が高い患者さんが多く、緊迫した現場で判断の連続…。

知らず知らずストレスは溜まっちゃいますよね。

 

だから、私たちの職場ではオン・オフの切り替えを大切に考えています。

シフト交替時の残業はせず、時間でキッカリ引き継いでいきます。

業務中に高度な集中力を保つための工夫です。

 

救命救急センターでは、命を救えることもあれば、患者さんが亡くなる場面にも遭遇するシビアな職場です。

だからこそオフのときには、心身ともにしっかり休んでリフレッシュすることが大切です。

 

私の周りには、マラソンや登山など体を動かす趣味をもっている人が多いですよ。

 

自分のメンタルは自分で管理することが求められるので、オフを充実させることも重要だと感じます。

(高度救命救急センター 看護師5年目)

 

***

救急看護師のお仕事を少しでも具体的にイメージできますように。

この記事を役立てていただければと思います。

 

★あなたの勤務先のリアルを教えてください!★

実際の現場では、多様な業務やエピソードが満載だと思います。病院規模や種別によっても違いがあることでしょう。

ご感想や意見・質問のほか、「私の病院はこんな感じですよ!」「こんな経験をしたことがあります」「“救急あるある”はこんなのもありますよ~」など「あなたの勤務先のリアル」をコメント欄へどしどしお寄せください。

 


(取材・文)看護roo!編集部、新田哲嗣

(イラスト)明(みん)

 

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今日の看護クイズ 挑戦者3951

あなたは病棟に勤務している看護師です。病室に入ると「点滴が間違っているじゃないか」と患者さんに大きな声で訴えられました。名前ラベルを見ると確かに別の患者さんの点滴でした。このときの対応として、最も適切なものは以下のうちどれでしょうか?

  • 1.「申し訳ありません」と謝り、すぐに点滴を止める。気分は悪くないかなど、患者さんの状態の観察を行い、上司と医師に別の患者さんの点滴と間違っていたことを報告すると説明した。
  • 2.点滴をすぐに正しいものに交換し、内容は同じなので問題ないと説明した。
  • 3.すぐにナースステーションに戻り、師長に「患者さんが、点滴が間違っていると怒っている」と報告し、対応を依頼した。
  • 4.注射箋を確認すると、ラベルは間違っているが、点滴内容は同じであることが分かったので、患者さんにはこのままで問題ないことを説明した。
今日のクイズに挑戦!