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2017年10月09日

クリニカルラダーの導入が離職防止につながる!?

「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」(以下、JNAラダー)が公表されてから、はや1年以上が経過しました(関連記事)。JNAラダーは、看護師の看護実践能力の標準化を目指して日本看護協会が開発した、看護師の能力開発や能力評価をするシステムの一つです。公表当初は、既に施設で導入しているラダーとの整合性が取れないなど、現場から戸惑いの声も聞かれました。しかし、その後、少しずつ活用が広まっているようです。

 

先日、開かれた「日本看護学会-在宅看護-学術集会」の交流集会では、JNAラダーのさまざまな活用事例が紹介されました。中には、離職防止につながるとして前向きに評価する声も聞かれました。この記事では、その交流集会の様子を紹介します。

 

【目次】

施設の状況に応じて使い方をアレンジ

上司に認めてもらったと感じたことで離職を思いとどまったケースも

 

施設の状況に応じて使い方をアレンジ


 

JNAラダーは、看護実践能力の核となる4つの力(「ニーズをとらえる力」「ケアする力」「協働する力」「意思決定を支える力」)を、それぞれ5段階レベルで評価するもの。病院に限らず、介護施設や訪問看護ステーションなど、あらゆる場で働く看護師が、看護実践能力のポテンシャルを高めていくためのツールとして期待されています。

 

JNAラダーの開発経緯について報告した渋谷美香氏(日本看護協会・教育研究部部長)によると、現在、在宅領域で、施設の状況に合わせてさまざまな活用の工夫がなされているそうです。

 

たとえば、JNAラダーをベースに自施設のラダーを作成したり、自施設のラダーをJNAラダーの4つの力に整理し直したりしているところがあるそうです。中には、評価ツールとしてではなく、壁に貼り、目指すべき看護実践を共有する「羅針盤」として活用するところもあるといいます。

 

また、地域で広く活用している例としては、滋賀県看護協会の訪問看護師への活用事例が紹介されました。滋賀県看護協会では、JNAラダーのレベルの定義や行動目標はそのままに、目標とするスキルを具体的に落とし込んだ「実践例」を追加。たとえば、レベルⅡの「基本的な看護手順に従い必要に応じ助言を得て看護を実践する」という項目では、「居宅サービス計画書の内容から他職種の役割を理解し、訪問看護に求められる役割と援助内容を理解する」というように、目標をより具体的に示しています。そうすることで、滋賀県の訪問看護師は何ができれば行動目標達成と考えるかを明確化しているそうです。

 

この実践例は、「ステップアップシート」(面談シート)にも活用されており、実践例ごとに評価点を付け、看護実践能力育成の進捗管理にも役立てているそうです。さらに、滋賀県内の圏域ごとに研修会を実施し、地域ぐるみでの情報共有も行っているといいます。

 

この滋賀県の取り組みでは、看護師自身の自己の不足部分の明確化や客観的な振り返りが可能になったほか、到達点を可視化することで新任の訪問看護師の不安解消につながり、離職防止になる可能性も示唆されたそうです。

 

渋谷氏は、JNAラダーを作った目的は、「ラベルづけではなく、成長を支援するツール」と強調。「全国共通の物差しを使った教育で看護師の看護実践能力を高めることで、社会から評価される看護の質保証を目指すのが最終的な目標」と語りました。

 

上司に認めてもらったと感じたことで離職を思いとどまったケースも

松本淳子氏(医療法人社団栄宏会オリーブ小野訪問看護ステーション管理者)は、同法人の土井病院(医療療養型病院)で実際にJNAラダーを導入した経験を紹介しました。同院では、ベテラン職員が多く、個々の看護師の特徴を活かした教育や評価を模索していたといいます。

 

導入にあたっては、まず、教育委員会の中にプロジェクトチームを設置し、JNAラダーの情報収集や、自施設の人材育成や期待する看護師像の確認を行ったといいます。それらを基に、実際に作成した試行版を用いて看護師40人に自己評価・他者評価を試みた結果、9割を超える看護職員が「振り返りの機会になった」と評価したそうです。

 

 

また、スタッフからは、「もっと身につけたいと思える能力が見えてきた」「個人目標が具体的となり、行動しやすい」などの意見が聞かれたほか、評価を通して上司に自身の看護を認めてもらったと感じたことで離職を思いとどまったケースもあったといいます。

 

看護師長からは、「(評価を通して)お互いに学び合う場になり、ケアリング効果もあった」「キャリアに応じた個々のきめ細かな教育計画に活かせる」など、前向きに評価する声が聞かれたそうです。ただし、クリニカルラダーの知識や経験の違いから、評価に戸惑いの声も聞かれたことから、評価者や助言者の育成が今後の課題としました。

 

松本氏は、自施設で導入した結果を踏まえ、JNAラダーの活用には意義があるとし、「看護師自らがJNAラダーを活用し、組織全体の資質の向上に役立ててほしい」と会場の参加者らに呼び掛けました。

 

最後に、渋谷氏は交流集会を総括し、「ケアで評価される。そのために、看護実践能力を高めて看護の質を担保する。それが社会から認められ、利用者や地域から選ばれる看護だとよく理解できた」と述べ、今後もJNAラダーの活用推進に挑戦し続けていきたいと語りました。

 

日本看護協会では、JNAラダーの活用を促進するために、「活用のための手引き」を公表しています。2017年9月末には、これまでに公表されていた「開発の経緯」「導入・活用編」に続き、「学習内容編」がリリースされました。看護実践能力強化の視点から標準的な学習の方向性を示した点が特徴で、広く活用を呼びかけています。どこまで現場に浸透するかは未知数ですが、今後の動きが注目されます。

 

【坂本朝子(看護roo!編集部)】

 

2017年9月14日(木)~15日(金)
第48回 日本看護学会-在宅看護-学術集会

【会場】

つくば国際会議場(エポカルつくば)

【会長】

相川三保子(茨城県看護協会会長) 
 

【学会HP】

公益社団法人 日本看護協会

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コメント一覧(1)

1匿名2017年10月09日 14時22分

頑張ります

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