「看取りの悩みを少しでも軽く」マンガでわかるエンバーマーの仕事

エンバーマーとなった元ナース、赤澤さんのお話です。

看取りに悩む人に伝えたいのは「ムリしないで!」という言葉でした。

もっともっとやれるナースの力。エンバーマーがナースに伝えたいこと

新卒の赤澤さんが配属されたのは脳外科病棟。人生で初めて人の死に立ち会った赤澤さん。

初めて経験するエンゼルケアでは、ベテランの先輩も戸惑っていました。

当時は、今よりずっとエンゼルケアが遅れていた時代。性別・年齢にかかわらず、同じ道具同じ化粧で行うエンゼルケア、事務手続きに追われる家族…看取りを経験するたびに、赤澤さんには疑問が起きました。

「人の死ってこんなものなの…?病院だから『死』より『生』が優先なのは仕方ない、でも…」亡くなった患者さんや家族のことは誰が癒やすのだろう?とナース時代の赤澤さんは悩みます。

そんな時に赤澤さんが知ったのが、当時日本で始まったばかりの『エンバーミング』でした。赤澤さんは、ナースとして二年の経験を積み学費をためた後、エンバーマーを養成する学校に入学します。

エンバーマーの養成学校では、化学や解剖学の他、葬儀・宗教についても学びます。

エンバーマー養成学校での同級生は、5人中3人がナースだったと言う赤澤さんと、驚く明。皆現場で同じような思いを抱いて学びに来ていたそうです。

葬儀社でのインターンを経て、エンバーマーになった赤澤さん!現場に出て最初に学んだのは「万能ではないこと」でした。

むくみや黄疸は消すのが難しく、損傷が大きい場合なども苦心すると語る赤澤さん。

理想と現実のギャップの中で悩むこともあった赤澤さんでしたが、「自分がどう感じても、ご家族が喜んでくれたら正解だよ。」という同期の一言が心にささります。

そして今、赤澤さんがナースに伝えたいことは、「ムリしないで!」

「看取りで十分なケアができないことで心を痛めているナースもいると思います。」「例えエンバーミングをしなくても、葬儀社では色々な対応ができるので、ナースがムリする必要はないんです。」と語る赤澤さん。

ムリせず、「ナースとして患者さんやご家族に『してあげたい』こと、家族が『してほしいこと』をしてあげてください。」と笑う赤澤さん。

「その言葉もっと早く聞きたかったです…」と泣いてしまった明ですが、「私も亡くなった方や家族を癒す看護がしたいです!」と気合が入ります。今まで知らなかった「看取りのその後」を知ることで、もう一度「看護」や「エンゼルケア」を考えるきっかけになりました。

赤澤さんたちエンバーマーは、病院や施設関係者へ勉強会も開催。エンバーミングの紹介だけでなく、エンゼルケアの知識や技術、時間のない中でナースにもできるケアの手段などを伝えています。

「ムリなケアは逆効果になることもありますから…」と説明する赤澤さん。小さなキズが変色の元になったり、メイクを望まない家族がいたりすることもあるようです。明は、「患者さんにも家族にも、そしてナースにも良い看取りのケアのあり方をもう一度考えてもらいたいです!」と言います。

「ナースの負担を減らせるように、私たちも頑張ります。」と、笑顔で手を振る赤澤さん。どんな場所でも輝くナースの力に感動です!

【エンバーミングについて詳しくはこちら】

エンバーミングは故人と遺族をケアする技術|マンガ・もっともっとやれるナースの力

※取材協力:株式会社 公益社 エンバーミングセンター


 

【取材・マンガ】明(みん)

看護師・漫画家。沖縄県出身。大学卒業後、看護師の仕事の傍らマンガを描き始める。異世界の医療をファンタジックに描いたマンガ『LICHT-リヒト』1~3巻(小学館クリエイティブ)が好評発売中。趣味は合気道。

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