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2017年09月19日

帝王切開の出産後に「両下肢を切断」。8人の子どもの母親を襲った悲惨な医療事故

医療事故は、日本だけでなく海外の臨床においても大きな問題となっています。今回は2017年4月に起きたイギリスでの悲惨な医療事故についてご紹介します。

 

 

医療事故の真相

イギリスのエラ・クラークさん(31歳)はすでに7人の子どもの母親です。彼女が8人目を妊娠し、20週目の妊婦健診で、低置胎盤と診断を受けました。そして、妊娠36週の時、出血のためにトーベイ病院に搬送され、帝王切開術で8人目のウィンター・ローズちゃん(女児)を無事に出産しました。

 

しかしエラさんは、ローズちゃんとの面会後、極度の興奮状態と大量出血の救命処置のため、薬剤投与によって昏睡状態に陥りました。そしてさらに、エラさんは子宮を全摘出し、献血を5度受け、昏睡状態のままICUへ入室することになったのです。

 

エラさんがICUで目覚めたのはそれから5日後のことでした。自分が昏睡状態であったことを知らない彼女は、目覚めた後、両足に違和感を覚えましたが、帝王切開の麻酔の影響のためだろうと思っていたそうです。しかし、事実は全く違っていました。なんと、エラさんが昏睡状態にあった間に両下肢は切断されていたのです。

 

エラさんが昏睡状態に陥っていた際、両下肢に深部静脈血栓症が生じました。しかし、彼女の担当医師の観察不足により発見が遅れ、担当医師たちが気が付いたときには、エラさんの救命のためには両下肢を切断するしかない状況に陥ってしまっていたのです。自分が昏睡状態であったことを知らないエラさんは、目覚めた後、赤ちゃんが自分のもとに来ることを楽しみに待っていたところに、その衝撃的な事実が伝えられたのです。

 

当事者への影響

夫のイアンさんは「彼女の命が助かっただけで十分」と言いますが、エラさんは「今でも汗をかくほどの悪夢で目覚めることがあります。医師からはPTSDのためと説明されました」と話します。彼女は、帝王切開術を受ける時、こんなことになるとは想像もせず、何の心配もせずに同意書にサインしたといいます。

 

今でも「担当医師がきちんと時間ごとに必要な観察を行い、両下肢の異変に早期に気付いていれば普通の母親たちのように5か月の娘と一緒に不自由なく遊ぶことができたのに」と思うことがあり、精神的に不安定な状態が続いているそうです。子どもたちも義足姿のエラさんを怖がるようになり、5歳の娘は毛布で義足を隠さなければエラさんを見てくれないと言います。

 

エラさんは、退院後に定期的にカウンセリングを受けても精神的な状態が改善せず、また、訓練を受けても義足に慣れることができないそうです。彼女は「これまでの家族関係も医療事故によって壊されてしまった」と訴えます。

 

病院とイギリスの国民保健サービスの見解

エラさんは、ICUにて両下肢切断の説明を受けた時「私は30分または1時間ごとに頭からつま先までの全身状態を観察確認される必要があったけれども、深夜0時から朝6時までの6時間は医師の観察を受けていなかったと伝えられた」と主張しています。

 

しかし、担当のスティーブ医師は「おおむねは観察していた」とし、ICUでは通常詳細な全身状態の観察が頻回になされるべきとされていましたが、彼は「全身状態を観察しなければならないのは知らなかった」と話しています。

 

イギリスの国民保健サービスNHS(National Health Service)は、クラークさん夫婦に宛てた手紙で「担当医師が午前3時に観察し、早い段階で両下肢の異常に気付いていれば両下肢を失うことはなかった可能性はありますが、断言はできません」と説明しています。この医療事故から5か月後、病院は過失を認め、クラークさん夫婦に謝罪しています。しかし、謝罪を受けてもエラさんは納得できずにおり「自分の足がない状況で、8人の子どもたちをどのように育てていけばよいのかわかりません」とつらい胸中を語ります。

 

今回のケースでは、事故当時、クラークさん担当のICU看護師の采配で、いくらでも防げたのではないかと感じる人も多いはずです。例えば、産婦人科の術後に特に注意しなければならない合併症兆候の有無の観察、血栓症予防のための投薬、弾性ストッキングの装着、間欠的空気圧迫法(下肢ポンプ)などの必要性を、担当医に確認することです。みなさんは担当患者さんの安全を守るために正確な看護技術の実践、マニュアルの遵守、チーム内の情報共有などのほかに、どのような工夫をしていますか?

 

(文):A.Brunner

(参考):

Mum went into hospital to have her baby and woke up five days later with NO LEGS(Mirror)

学際領域の診療 肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症【PDF】(日産婦誌56巻10号)

医療事故情報収集等事業第45回報告書(公益財団法人 日本医療機能評価機構)

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コメント一覧(2)

2南部かや2017年09月19日 17時24分

慢心や怠惰が原因ですね。
母子同室やカンガルーケアでも、観察不足で新生児後遺症や死亡事故がおきています。
人手不足のクリニックで産む人が1人でも減りますように。
産婦人科へ早く集約化して欲しい。

1もぐ2017年09月19日 08時04分

受けたのは献血ではなく、輸血ですね。
献血は、血液を提供する側です。

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