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2017年08月21日

怒りのピーク「7秒間」を制する極意|太田加世の「看護マネジメント力を磨こう」

【日経メディカルAナーシング Pick up!】

怒りのピークは「7秒間」!?怒りを制する「極意」とは?

太田加世(C-FEN代表)

 

【事例】

師長のAさんは、しょっちゅうイライラしています。「スタッフが報告をしなかった」「カンファレンスが時間どおりに始まらなかった」など、小さな出来事に対しても常に怒りを感じています。

 

カッとなってしまうと怒りが沸き起こり、その感情を抑えることができません。そして、感情のままに大きな声やきつい口調でスタッフを叱りつけてしまいます。自分でもこの感情をなんとかしたい思っているのですが、どうしたらよいのかわかりません。

 

 

4つの怒りの種類

怒りには、4つの種類があります。1つ目は、激高して怒るという「強度の怒り」です。2つ目は、いつまでも怒り続けるという「持続性のある怒り」です。3つ目は、しょっちゅうイライラしたり、カチンときたりするという「頻度が高い怒り」で、4つ目は、他人を攻撃したり、物を壊すという「攻撃性がある怒り」です。

 

怒りは「二次感情」といわれています。怒りの感情のもとには、「さみしい」「つらい」「悲しい」「不安」というネガティブな感情が横たわっています。その感情が何かのきっかけで怒りの感情に変わるのです。怒りやすい人は、その感情の変化が速い人といえます。ただ、怒りは誰もがもっている伝達手段であり、怒りそのものが悪いわけではありません。

 

怒りを感じると、人間の筋肉は緊張します。この筋肉の緊張は動物に例えると、「敵に攻撃された時に自分も攻撃する」、または「逃走する時」の筋肉の状態です。つまり、怒りは「防衛感情」であるともいえるのです。

 

しかし、「怒りを感じる」ことと「感情的になる」ことは異なります。日常生活で、怒りの感情をそのまま誰かにぶつけると、人間関係が壊れてしまいます。ですから、自分の感情を無理に抑え込むのではなく、怒りを理解して、上手にコントロールし、表現を工夫することが大切です。

 

怒りのメカニズム

脳の扁桃体が自分に対する脅威を察知すると、身体にストレス反応を起こすアドレナリンを分泌させ、交感神経を刺激します。そのため、心拍や血圧・呼吸数の増大、骨格筋への血液増加、発汗などが起こります。これが、怒りのメカニズムです。

 

このアドレナリンが分泌され、体内で消失するまでには5~7秒かかるといわれています。つまり、怒りが爆発してからの7秒間が最も怒りが強いため、カッとなって、暴言を吐いたり殴りかかったりするなどの行為は、この時間帯に起こるといわれています。

 

また、怒るという行為は身体の防御反応の一つであり、怒りを出さずにため込んでしまうとストレスが蓄積します。大切なことは「怒らないこと」ではなく、「怒る必要のないことは怒らず、怒る必要があることは上手に怒ること」です。上手に発散させ、緊張を解消させることは身体の健康、心の健康のどちらにとっても大切です。

 

「怒りの7秒」を制するために

Aさんのように、カッとなった時に怒りのままに感情をぶつけないためには、怒りが収まるまでの7秒間が勝負です。この7秒間だけグっとこらえると、怒りが収まります。

 

この怒りをこらえる時には、頭で我慢するよりも身体を使って待つのがよいといわれています。例えば、(1)指を折って7つ数える、(2)手のひらにイライラしていることなどを書く、など行動をしながら待つのです。

 

次に、怒りの状態を客観的に見つめます。怒りを0~10までの段階に分けて、怒りの程度を考えます。0は「穏やかな状態」で、10は「最も激しい怒りの状態」です。このように客観的に自分の感情を見つめることで冷静になることができます。

 

さまざまな怒りの表現を考えてみる

また、時には怒りを表現しなければならない場面があります。例えば、スタッフがミスをした時、師長として注意する必要があります。その際に大切なことは、怒りにまかせて怒るのではなく、「自分の怒りの気持ちを冷静に伝えること」です。

 

怒っている気持ちを相手に適切に伝えるために、怒りを表現する語彙をたくさんもっていると自分の怒りに対して客観的になれます。

 

怒りの表現には、さまざまなものがあります。例えば、「むっとする」「むかつく」「不機嫌になる」「息巻く」「怒鳴る」「腹が立つ」「ぷっつんする」「逆上する」「堪忍袋の緒を切らす」「はらわたが煮えくり返る」「むしゃくしゃする」「気色ばむ」「へそを曲げる」「目を吊り上げる」などです。

 

このほかにもたくさんありますので、自分の怒りがどれに該当するのかを見つめる手立てとして語彙を増やしてみましょう。語彙が多いと相手に自分の怒りを伝えるときに表現の幅が広がり、自分の感情を伝えやすくなります。

 

例えば、怒りのピークが過ぎた後、「今の自分は相手を言い負かしたいと息巻いている状態だな」などと心の中で具体的に怒りを表現してみます。その上で、「○○について怒っています」とアサーティブに相手に伝えます。

 

「ちゃんと」「しっかり」ではなく要求は具体的に伝える

自分と違うことが許せない・認められない人は、イライラしたり、カッとしたりしやすいものです。しかし、価値観や許容範囲は人によって異なります。自分のこうある「べき」と他者のこうある「べき」は、イコールではありません。

 

あなたは、「会議は時間どおりに始まらなければならない」という「べき」をもっているかもしれません。しかし、ある人にとっては「5分くらい遅れることは許容範囲」ということもあります。自分の「べき」と他人の「べき」を明確にして、その違いを認めてコミュニケーションをとると、怒る必要がない時に怒ることを避けられます。

 

例えば、スタッフに指示したり、頼んだりする時には、「ちゃんと」や「しっかり」などといったあいまいな言葉は使わず、「いつまでに、何を」などと最低限どのようにしてほしいのかを具体的に伝えることが大切です。こうすると、不要な怒りを感じることが少なくなります。

 

まずは自分の許容範囲を広げる

違う価値観をもっている人を許容できれば一番よいのですが、スタッフの許容範囲を知ることはできないし、自分の許容範囲をスタッフに示すこともできません。ですから、スタッフの許容範囲を変えようとするのではなく、自分の許容範囲を広げる努力をすること、どのスタッフに対しても同じ許容範囲でいる(人によって変えない)ことが大切です。

 

また、例えば、渋滞や事故による電車の遅れ、病院内の重要な問題など、自分では変えることのできない出来事に出会った時には、怒ったりイライラしたりしてもそれらを変えることはできません。

 

そのような場合は、遅れることを伝える必要があれば連絡する、病院の重要な問題について情報を得るなど、現実を受け入れて自分ができることを探しましょう。これらの行動は、「あきらめる」「がまんする」ことではなく、「受け入れる」ということです。

 

怒りのコントロールには、練習が必要です。意識的に、取り組みやすいことから日々実践していくことで自分を変えることが可能になります。

 

次回は、「怒りやいらだちの抑え方」について、事例をもとに掘り下げていきます。

 

今回のまとめ

・怒りは7秒で収まるため、身体を動かすなどして待つ 
・「べき」は人によって異なるため、指示は具体的に伝える 
・できないことは受け入れ、できることをする

 

 

<掲載元>

日経メディカルAナーシング

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