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2017年08月19日

要チェック!!薬剤耐性菌の新リスト

諸外国に比べて抗微生物薬(抗生物質)の使用頻度が高いといわれる日本。そのため、薬剤耐性菌の問題は決して他人事ではありません。

 

今回は、世界保健機関(WHO)がまとめた新規抗菌薬が緊急に必要とされる薬剤耐性菌のリストについて、BBCニュースの2017年2月の報道内容からご紹介します。

 

 

薬剤耐性菌の脅威

WHOは、健康に大きな悪影響を及ぼす薬剤耐性菌について、新たな薬剤の開発が緊急に必要な薬剤耐性菌のリストを作成しました。このリストの上位にある病原菌ほど既存の薬剤では治療が困難であることを意味します。また、このリストは今夏、G20会議の前に議論される予定。

 

国際的な場で薬剤耐性菌のリストについて議論する目的は、早急に有効な薬剤の開発を促進するためだそうです。これまでの感染症は、感染が拡大しても有効な薬剤があったため、すぐに治療することができました。しかし薬剤耐性菌の場合は簡単にはいかず、既存の薬剤では治療できない薬剤耐性菌がいくつも報告されてきました。

 

WHOのマリー・ポール・キニー博士は「薬剤耐性菌の威力はただならぬ規模に達し、それらの感染症に有効な薬剤を速やかに開発することは困難な状況」とその脅威を訴えます。このまま適切な対策がなされなかった場合、2050年までに薬剤耐性菌で毎年1,000万人が死亡すると推測されています。実際にアメリカ政府は、最近の症例として26種類の抗生物質を用いても治療することができなかった症例を報告しています。

 

リストの内容

この薬剤耐性菌のリストは、WHOが世界的規模での死亡率、罹患率、コミュニティへの負担の視点から評価を行ない作成されました。リストは12種類の薬剤耐性菌について緊急性に応じて「重大」「高」「中」の3段階に分けて分類されています。なお、今回は、薬剤耐性菌が報告されている「結核」であっても、新たな薬剤の開発を重視したためリストには含まれなかったそうです。

 

 

緊急性が「重大」
アシネトバクター・バウマニ(カルバペネム耐性)
緑膿菌(カルバペネム耐性)
腸内細菌科細菌(カルバペネム耐性)

 

緊急性が「高」
エンテロコッカス・フェシウム(バンコマイシン耐性)
黄色ブドウ球菌(メチシリン耐性、バンコマイシン耐性)
ヘリコバクター・ピロリ(クラリスロマイシン耐性)
カンピロバクター(フルオロキノロン耐性)
サルモネラ菌(フルオロキノロン耐性)
淋菌(セファロスポリン耐性、フルオロキノロン耐性)

 

緊急性が「中」
肺炎レンサ球菌(ペニシリン非感受性)
インフルエンザ菌(アンピシリン耐性)
赤痢菌(フルオロキノロン耐性)

 

今後の課題

アメリカでのある調査では、処方された抗微生物薬の少なくとも約3割が不適切な使用であるという結果が報告されています。日本においての現状はまだ調査されていないそうですが、アメリカの状況に類似した状況が推測されているそうです。薬剤耐性菌の拡大を予防していくためには、抗微生物薬の適切な使用と新たな薬剤の開発が重要なポイントになります。そのため、厚生労働省は2017年3月6日に「抗微生物薬適正使用の手引き」をまとめ、薬剤耐性菌に対する取り組みを促進しています。

 

専門家は「抗生物質が効かない時代に突入した」と繰り返し警告しています。この問題の解決のためには、製薬会社にとって利益が低いと考えられる抗微生物薬の開発をどう支援していくか、薬剤の適正使用をいかに早く徹底できるかという点が大きな今後の大きな課題とされています。

 

看護職が取り組んでいける薬剤耐性菌についての対策として何があるのか、患者はもちろん、自分の身を守るため、施設内感染の感染予防のためにも、カンファレンスにおいて看護職が取り組むことのできる対策について検討するほか、今後の新しい情報にもぜひ注目してみてください。

 

(文):A.Brunner

 

(参考):

World's most threatening superbugs ranked in new list(BBC)

「風邪に抗生物質投与は控えて」厚労省が手引書(日本経済新聞)

抗微生物薬適正使用の手引き 第一版(案)(PDF)(厚生労働省)

WHOが初公表した「新規抗菌薬が緊急に必要な薬剤耐性菌」リスト―開発支援 世界で動き(AnswersNews)
 

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