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2017年07月06日

34%が基準時間超。一部のナースに夜勤が集中するワケ

あなたは月に何時間夜勤をしていますか?

月の夜勤時間数が基準を超える看護師が増えていることがわかりました。

日本看護協会(以下、日看協)の働きかけにより、「72時間ルール」が設けられているにもかかわらず、なぜ看護師の労働環境が守られていないのか、解説します。

 

34%が基準時間超。一部のナースに夜勤が集中するワケ

【文:白石弓夏(看護師)】

 

夜勤をする女性のイメージイラスト

 

◆目次

 

 

夜勤時間が基準(月72時間)を超える看護師は増えている

2016年9月の「看護師1人あたりの月夜勤時間数」調査では、72時間超えの割合が34.8%、前回調査(2012 年)の 32.0%より増加しています。

 

図1 看護師1人あたりの月夜勤時間数

看護師1人あたりの月夜勤時間数

 

夜勤の「72時間ルール」というワードは、看護師なら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

簡単にいえば、各病院で、所属看護師の月の平均夜勤時間を72時間以内に抑えるという取り組みです。

 

しかし実際には、72時間を超えて夜勤をしている看護師が増加したという結果になりました。
 

また、80.1時間以上夜勤している看護師の割合は、17.3%から20.3%へと増えています

ルールが設けられているにもかかわらず、なぜこのような結果となったのでしょうか。

 

 

2016年の診療報酬改定で、看護師に不利な要件が盛り込まれる

そもそも「72時間ルール」は、「月平均夜勤時間数が72時間以下であれば病院の収入が増える」という診療報酬上の仕組みです(※)。

看護師の労働時間や負担を減らすために2006年に設けられました。

 

「72時間ルール」は、病院側からすれば「72時間以上の夜勤をナースが行った病院は、減収になる」という仕組みでもあります。

そのため、看護師確保に苦慮する病院団体から見直しが要求されていました。

 

そこで、折衷案として「夜勤を8時間以上していれば、夜勤要員として認められる」という条件が加わりました(2016年改定)。

 

これまでは「夜勤16時間以上」でなければ夜勤要員として認められなかったので、時間数がより少ないナースが夜勤要員に認められる方針です。

しかしこれにより長時間夜勤と、短時間夜勤の看護師の格差がさらに広がることとなりました。

 

この改定が、長時間夜勤の看護師の増加の一因と考えられます。

 

 

現在の制度では、看護師ではなく病棟が守られている

実はこの「72時間ルール」は、看護師1人ひとりの夜勤時間を72時間以下にするものではありません。

病棟看護師の平均値を「72時間以下」にするというものです。

 

たとえば、月720時間の夜勤が必要な病棟で、10人の看護師が72時間ずつ夜勤をすれば、平均値が72時間以下となり、基準クリアとなります(図2)。

 

図2 72時間ルールクリアの例

夜勤72時間ルールクリアの例

 

裏を返せば、夜勤を72時間以上している人がいても、夜勤時間が少ない人(16時間など)がいれば、診療報酬上はOKな仕組みなのです。

 

たとえば、下記のように8時間夜勤の人が2人いて、ほかの8人が88時間夜勤をしていたとしても、病院の収入は増えます(図3)。

 

図3 負担時間に格差がある夜勤72時間ルールクリアの例

負担時間に格差がある夜勤72実感ルールクリアの例

 

 

今回の調査で「72時間ルール」の実質的緩和が判明

2016年改定を受け、各病院が「夜勤8時間の人も夜勤要員として含め、夜勤を行う人数を増やす」という方針をとっていれば、1人ひとりの時間数が減る、ということも想定することができました(図4)。

 

図4 各人の負担が減る72時間ルール適応の例

各人の負担が減る夜勤72時間ルール適応の例

 

しかし、今回の調査(図1)で、夜勤を行う看護師は一部に偏ったという結果が明らかになりました。

実際には、夜勤を行う人数を増やすことが難しかったためと考えられます。

これは、「72時間ルール」の実質緩和、ということができるのではないでしょうか。

 

 

“「72時間ルール」は看護師の生命線”

前日本看護協会会長の坂本すが氏は、「72時間ルールは看護師にとっての生命線」として、堅持するように求める宣言を採択しています(2015年9月1日、日本看護サミットにて)。

 

病院管理者や看護師の中に、十分な看護師数が確保できていないことから、72時間ルールの撤廃を求める声があることに言及した上で、「ルールを撤廃すると、夜勤が多い結果として退職者を出す負のスパイラルに入る。目先だけ考えても解決は難しい」と述べた。

「看護師の生命線」、72時間ルール(m3)より引用

 

坂本すが氏がいうように、「72時間ルール」の実質緩和により、夜勤が多い看護師が増える結果となりました。

さらには、夜勤が多い結果として、離職率が高まるというデータも発表されています。

次回は、夜勤時間数を離職率の関係をお伝えします。

 

 

(脚注)

※ 「72時間ルール」の適応は、病棟種別により例外があります。

 

(参考)

看護師夜勤、基準超え34% 離職率高まる一因に(日本経済新聞)

夜勤要件の大幅見直しで、看護師は本当に楽になるのか?(看護roo!)

「夜勤は72時間までルール」が変わるかも?病院と看護協会の攻防はじまる(看護roo!)

「2016 年 病院看護実態調査」 結果速報(日本看護協会)

「看護師の生命線」、72時間ルール 日看協堅持求めて宣言、日本看護サミット(m3)

 

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▷『夜勤「72時間ルール」って、なんで72時間なの?

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