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2017年06月01日

年間約2,490億円が浪費されている薬剤給付金 さらに明らかになった製薬会社の営業方法とは

日本では、無駄な医療費を削減しようとする動きの中で残薬問題が指摘されていますが、カナダでは雇用主(企業)負担の医療保険の莫大な額に上る浪費が明らかになりました。さらに、マスメディアによる隠しカメラを用いた独自調査によって明るみに出た、製薬会社による営業方法の問題をご紹介します。

 

 

5年間で150億ドル

薬剤給付の管理を行う、エクスプレス・スクリプツ・カナダが行った調査によると、2011年から2015年の間に、雇用主(企業)負担の医療保険で浪費された金額は、年30億ドル ( 2,490億円 )を超えていたとのこと。5年間で150億ドル(1兆2,450億円)を上回る額が浪費されたことになりますが、これは、より安価な薬剤の選択肢があるにもかかわらず、高価な薬が用いられたことによるものです。

 

カナダの民間の保険会社では、この5年間に810億ドル( 6兆7230億円 )が薬剤給付にあてられており、浪費された割合は20%近くにも上ります。この結果を「驚異的な数字だ」と報告した、調査の責任者であるジョン・ハーバート氏は、「より安価で有効な薬剤を選択することによって、薬剤給付金を削減できる。国民に実態を知ってもらうことが重要です」と話しています。

 

ガイドラインが無視された2型糖尿病の薬

薬剤給付に莫大な金額が浪費されている実態を、糖尿病薬の処方を例に見てみましょう。

 

カナダ糖尿病学会のガイドラインでは、2型糖尿病に対して、まず、年間65ドル( 7,345円 )しかかからないジェネリック医薬品、「メルトホミン」を処方することを推奨しています。そして、この効果が得られない場合に限って、年間3,000ドル ( 24万9,000円 ) ほどを必要とするより高価な薬に移行するのです。しかし、実際には、このガイドラインが無視されたことで、2015年には1億ドル( 83億円 )以上もの費用が浪費されていたことが、調査によって分かりました。いくつかのケースでは、医学的な理由からあえて高価な薬の処方が必要であったことも考えられますが、専門家は「それだけでは説明がつかない」と話しています。

 

さらに明らかになった製薬会社による営業方法の問題点

2016年11月に、カナダのブリティッシュコロンビア州バンクーバーで行われた、家庭医療フォーラム(Family Medicine Forum)において、マスメディアは隠しカメラによる調査を行いました。糖尿病薬のいくつかの販売促進ブースに、隠しカメラを取り付けた医師に訪問してもらうというものです。その調査でカメラがとらえたのは、副作用に関する説明を避けたり、「体重の減少をサポートする」といった、正式に認められてはいない効能を語る営業担当者の姿でした。

 

調査を行ったメディアの指摘に対して、不正が明るみに出た製薬会社は、提供された情報に基づいて内部調査を継続して行い、迅速に必要な対策をとっていくと回答しています。

 

無駄な医療費負担を削減するためにも、薬の選択は慎重に行われるべきです。日本でもジェネリック薬が浸透してきていますが、患者さんの中にはまだジェネリック薬に対して「本当に効果があるのか」という不安を持つ方もいるようです。残薬問題と合わせて、ジェネリック薬のさらなる周知・使用など、医療費を抑えるための対策を考えていかなければならないのではないでしょうか。

 

記事内、1カナダドル=83円にて計算 (2017年5月15日時点)

 

(文):木村佳織

(参考):
Billions wasted on drug spending in Canada, research shows(CBC)

Promotion Of Drugs and Devices At International Conferences Held In Canada(Mondaq)

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