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2017年05月15日

広島入浴施設でレジオネラ集団感染、死亡例も

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広島入浴施設でレジオネラ集団感染、死亡例も

 

広島県の入浴施設利用者にレジオネラ症が多発、うち男性1人が死亡した。レジオネラ症患者数は増加傾向にあり、その多くは入浴施設の利用者だ。感染後肺炎に進展しやすいため、問診による早期拾い上げが欠かせない。

(中西 奈美=日経メディカル)

 

今年3月中旬から下旬にかけて、広島県三原市にある入浴施設「みはらし温泉」の利用者58人がレジオネラ症を発症した。そのうち、県内在住の50歳代男性が死亡、13人が入院中だ(4月24日時点)。

 

三原市生活環境課によると、みはらし温泉では浴場の衛生管理が不十分だったという。浴槽をはじめ湯を供給する配管などの清掃・消毒が徹底されておらず、記録も残っていなかったことが判明した。保健所が査察に入った時には、浴槽水から110CFU/100mLのレジオネラ属菌が検出され、患者から検出された菌と遺伝子パターンが一致したと発表した。

 

厚生労働省が2003年に改正した「公衆浴場における水質基準等に関する指針」では、「レジオネラ属菌は検出されないこと(10CFU/100mL未満)」と定められている。これらの状況を踏まえ、広島県は公衆浴場法違反として、3月28日、みはらし温泉の運営業者に営業停止命令を下した。

 

国立感染症研究所の感染症発生動向調査によると、レジオネラ症の年間報告数は増加傾向にある。2016年の暫定値では1592人。また、今回ほどではないものの集団感染は散発的に起きている。

 

患者数が増えている要因として、国立感染症研究所バイオセーフティ管理室主任研究官の倉文明氏は、入浴施設の利用による感染を挙げる。「我が国では古くから公衆浴場の文化が根付いており、最近ではレジャーの要素が強まっている。不特定多数の人が利用する入浴施設はレジオネラ属菌の温床になりやすく、曝露されやすい」(倉氏)。同氏によると、報告された約半数は感染源が不明だが、確定されたか推定される感染源の多くは家庭用を含む入浴施設であることが分かっている。

 

肺炎を発症し短期間で重症化

レジオネラ属菌は、一般的に水中や湿った土壌などにアメーバ等原虫類を宿主として存在し、20~45℃で繁殖する(最も繁殖するのは36℃前後)。入浴施設の設備は格好の環境といえる。加えてレジオネラ属菌の特性として、バイオフィルム中で生息する点も見過ごせない。通常、入浴施設の殺菌・消毒に用いられる次亜塩素酸ナトリウムはバイオフィルム中に浸透しにくい。さらに、湯水節約のため循環式設備を導入している施設は多く、清掃・消毒が行き届かないと入浴者から出た老廃物をエサに菌が増殖してしまう実態がある。

 

罹患者は男性の方が多く(男女比4対1)、重症化する要因として、高齢者や新生児のほか、自己免疫疾患、糖尿病などの基礎疾患がある人、ヘビースモーカーや多量飲酒者などとの関連が指摘されている。なお、今回の事例では、発症者の男女比、死亡した男性の既往歴などは公表されていない。

 

「レジオネラ症の死亡率は5%程度だが、肺炎は発症から2日程度で重症化しやすい」と話すのは、東邦大学微生物・感染症学講座教授の舘田一博氏。初期症状として全身倦怠感、頭痛、筋肉痛などが表れ、その後、乾性咳嗽、発熱、呼吸困難などが続くが、レジオネラ症に特有のものはない。

 

さらに春から秋にかけては、旅行などで入浴施設に足が向く人が増え、外界の水温も上昇するためレジオネラ属菌に汚染された水に接触する機会が増える。この時期は、肺炎が疑われる患者にはレジオネラ症の可能性を念頭に置いて診療に当たりたい。「1週間以内に入浴施設の利用はないか、レジオネラ属菌に汚染された水に曝露した可能性がないか聴取してほしい」(舘田氏)。

 

診断を助ける方法として、尿中抗原検査(イムノクロマト法)や喀痰による核酸増幅法(LAMP法)などの活用が有効だ。臨床現場で最も行われている尿中抗原検査ではレジオネラ属菌の血清群のうち、重症化しやすいとされる Legionella pneumophila の血清群1のみ検出ができる。

 

倉氏も舘田氏も、実際のレジオネラ症患者の数は報告よりも多いとみている。発症から短期間で重症化しやすいレジオネラ症の診療には、問診と検査を活用した迅速な対応が求められている。 

 

 

<掲載元>

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