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2017年04月03日

山形県の麻疹集団感染、初発例を診察した医師も陽性に◎抗体を持つ研修医が発症した「修飾麻疹」とは?

【日経メディカルAナーシング Pick up!】

 

公立置賜総合病院(山形県東置賜郡)は3月25日、同病院救命救急センターに勤務する20歳代の男性研修医が修飾麻疹を発症したと発表した。この医師は3月8日に、山形県で発生した麻疹集団感染の発端となった患者を診察していた。医師には麻疹のワクチン歴があり、事前の血液検査で麻疹に対する抗体を持っていることが確認されていた。だが、3月24日に咽頭ぬぐい液ではウイルスが検出されなかったものの、血液検査で陽性と判明した。

 

三和護=編集委員

 

同病院によると、この医師は初発例を診察した8日以降、24日朝まで救命救急センターに勤務。この間、自らが麻疹に感染する可能性があったことを前提に、診察時は常にサージカルマスクを装着し、同時に自身に表れ得る症状の有無を観察し続けていたという。初発例を診察してから2週間後の3月22日早朝に微熱(37.5℃)が出て、24日朝から上半身に軽度の発疹が現れたため検査を実施した。その結果、血液検査で陽性と判明し、症状から修飾麻疹と診断された。

 

修飾麻疹は、ワクチン接種後の麻疹抗体を持つ人でまれに発症することがある麻疹を指す。症状は軽く、通常は周囲への感染リスクは少ないとされている。だが感染リスクはゼロではないことから同病院は、この医師からの感染の可能性がある3月21~24日に診察を受けた21人の患者に対して個別に連絡し、異常があれば最寄りの保健所へ連絡するよう依頼した。同病院は、21人の患者の中に乳幼児などの麻疹のハイリスク患者はいなかったと説明している。

 

修飾麻疹は、一般的に「麻疹に対する不完全な免疫を持っている人が麻疹に感染した場合に発症する」。今回の医師の事例は、十分な免疫を持つと考えられる場合でも麻疹に感染する可能性があることを教えている。

 

修飾麻疹は、「国立感染症研究所感染症疫学センター・多屋馨子氏に聞く、麻疹診療で知っておくべき5つのポイント(全文を読むためには「日経メディカル」へのログインが必要です)」でも重要項目に挙がっている。以下に、修飾麻疹の部分を再掲したので参考にしていただきたい。

 

やっかいな修飾麻疹、症状だけでは診断困難

症状だけでは診断困難な修飾麻疹の存在に触れておきたい。

 

修飾麻疹とは、麻疹に対する不完全な免疫を持っている人が麻疹ウイルスに感染した場合に発症する、軽症の不全型麻疹のことをいう。

 

修飾麻疹では、(1)最高体温が37℃台にとどまる、(2)発熱が3~4日で終わってしまう、(3)コプリック斑(写真1を参照)が認められない、(4)発疹が手足だけに出現する――など、典型的な麻疹とは異なる経過をとるため、臨床症状だけで麻疹と診断するのは極めて困難である。各種ウイルス学的検査を行わない限り診断が付かないため、風疹や他の発疹症と間違われることも少なくない。 

 

写真1 コプリック斑

提供:川崎市健康安全研究所長・岡部信彦氏

 

修飾麻疹を発症するのは、母体からの移行免疫が残っている乳児や、ヒトγグロブリンを投与されている患者に加え、secondary vaccine failure(ワクチン接種後、年数を経たために抗体が低下した二次性ワクチン不全)の人たちに多い。

 

修飾麻疹は通常より感染力は弱いものの、診断が付かないまま周りへの感染源となり得るので、やっかいな存在である。修飾麻疹を拾い上げるためには、通常の感冒様症状の患者にも、必ず麻疹患者との接触歴を聞く姿勢が重要である。修飾麻疹では潜伏期間が通常より数日長めになることが多いので、麻疹患者との接触が疑われるエピソードから発症までの期間も参考になる。

 

急性期のIgGが高値でも麻疹を除外しない

修飾麻疹の患者は、多少は麻疹の免疫を持っているため、急性期から麻疹特異的IgG抗体価が高値となることが多い。これを持って、「麻疹の免疫あり=当該疾患は麻疹ではない」と判断せずに、必ず回復期のペア血清ならびにIgM抗体を確認してほしい。発症中に咽頭ぬぐい液あるいは血液から麻疹ウイルスゲノムを検出することが確定診断に役立つことも多い。ただし、修飾麻疹では、IgM陰性例や麻疹ウイルスゲノムが検出できない例もあるので、複数の結果を総合的に見ることが診断に結び付く。

 

わが国では、幼児期の麻疹・風疹混合(MR)ワクチン接種を2回に増やし、さらに2008年4月から5年間の期限付きで、中学1年相当年齢の者(13歳になる年度)と高校3年相当年齢の者(18歳になる年度)に対する追加接種が導入された。これは、ワクチン未接種者を拾い上げつつ、修飾麻疹を発症しやすいsecondary vaccine failureの人たちへの免疫増強効果、primary vaccine failure(ワクチン接種で免疫を獲得できなかった一次性ワクチン不全)の人たちへの免疫付与を狙ったものである。

 

<掲載元>

日経メディカルAナーシング

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コメント一覧(2)

2匿名2017年04月03日 19時21分

勉強になります

1匿名2017年04月03日 09時23分

恥ずかしながら存在を知らなかった
気をつかないとですね

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