1. 看護roo!>
  2. ステキナース研究所>
  3. 病院外の看護現場探訪>
  4. 船上の看護師―シップナースの仕事―(前編)| 病院外の看護現場探訪【3】

2013年07月15日

船上の看護師―シップナースの仕事―(前編)| 病院外の看護現場探訪【3】

医療機関以外で働く看護師さんのお仕事の様子を紹介する「病院外の看護現場探訪」シリーズ。

3回目となる今回は豪華客船。

 

映画『タイタニック』を思い出させる豪華客船で、乗客やクルー(乗組員)の健康管理をサポートする看護師さんです。シップナースと呼ばれることもありますね。

 

「世界中に行けるだけでなく、仕事の内容も病院勤務では経験できないことばかり」だそうです。

いったいどんな仕事なのでしょう?

 

 看護師専用Webマガジン ステキナース研究所 | シップナースのお仕事ってどういう感じ? |  病院外の看護現場探訪【3】

次のクルーズのために横浜港大さん橋に停泊中の「ぱしふぃっく びいなす」(撮影:武田賢士朗)

 

きっかけはちょっとした好奇心

「誰にでもチャンスがある仕事ではないですし、貴重な経験をさせてもらっていると思います。やりがいも大きいです」と語るのは、日本クルーズ客船株式会社が運航する客船「ぱしふぃっく びいなす」に看護師として乗船する矢野川准子さん。

 

矢野川さんがこう語るのも当然で、日本国内でクルーズ客船を運航しているのはたったの3社。

しかも各社の看護師は2~3名しかいません。

 

矢野川さんは看護師資格を取得後、総合病院の整形外科に3年勤務しました。しかし、時間に追われる生活で体調を崩してしまいます。

治療のためだけでなく、自分の考えていた看護師の仕事とのギャップを感じたこともあり、一度看護師を辞め、その後は事務職や営業職などの仕事に就いていました。

 

しかし、約2年間、さまざまな仕事を経験してみて、どの仕事も結局時間に追われることがわかり、また、他職種を経験したことで「やはり自分は看護師の仕事が好きだし、向いている」と改めて気づいたそうです。

 

「そんな時、事務の仕事をしていた職場の同僚から、『知り合いに豪華客船で看護師をしている人がいる』と聞いて、おもしろそうだし自分もやってみたいと思ったのです」

 

すぐに船会社を調べ、自分から「看護師を募集していませんか?」と現在所属する日本クルーズ客船にアプローチ。すると、「まもなく欠員が出ます」と言われ、すぐに面接。正社員として採用となりました。

 

それから18年間、「ぱしふぃっく びいなす」の看護師として、1年の3分の2はクルーズに出ているという生活が続いています。

 

 看護師専用Webマガジン ステキナース研究所 | シップナースのお仕事ってどういう感じ? |  病院外の看護現場探訪【3】

海賊対策の自衛艦に護衛され、ソマリア沖航海中の矢野川さん。世界の海をまたにかける看護師ならではの一枚

 

初めての症状は数知れず。勉強は常に必要

「ぱしふぃっく びいなす」には毎回、クルー(乗組員)約220名と旅を楽しむ乗客を合わせて、500~800人が乗船します。このすべての健康管理を医師と矢野川さんの2人で担当しています。会社には2名の看護師がおり、数カ月に及ぶ長期のクルーズには2名とも乗船し、医師と合わせて3名体制で対応します。

 

また、薬剤師がいないため、薬の管理も看護師が1人で行います。その他にも矢野川さんは、入社後に衛生管理者の資格も取得し、船舶衛生管理者も任されています。このため、各国の港に入る際は検疫への立ち会いや、水質検査や害虫駆除などにも対応しています。

 

看護師専用Webマガジン ステキナース研究所 | シップナースのお仕事ってどういう感じ? |  病院外の看護現場探訪【3】

矢野川さんの仕事場である船内の医務室。棚やデスク、ベッドなどは揺れに備えてすべて固定されている

 

看護師専用Webマガジン ステキナース研究所 | シップナースのお仕事ってどういう感じ? |  病院外の看護現場探訪【3】

 

「基本は1日8時間の勤務ですが、具合が悪い方がいれば、何時でも対応しなければいけません。常に船内用のPHSを携帯して、1コールで出るようにしています。短いクルーズでは全く患者さんがいないこともありますが、長期のクルーズになると1日5~10人、多い日で40人近くを診ることもあります。一番多いのはやっぱり船酔いですね。天候が悪くて揺れがひどいと、本当にたくさんの方が医務室にいらっしゃいます」

 

看護師専用Webマガジン ステキナース研究所 | シップナースのお仕事ってどういう感じ? |  病院外の看護現場探訪【3】

船内では常にPHSを携帯し、いつでも対応できるようにしている

 

ちなみに18年乗船している矢野川さんでも、揺れ方によってはいまだに船酔いするそう。しかし、患者さんに対面するとスイッチが入り、気持ち悪い事も忘れてしまうと言います。

 

基本的には旅ができる健康な方が乗船していますが、長期のクルーズで風邪が流行し、20人近くが同時にかかったこともあったそうです。夏休みや春休み期間など、家族旅行が多い時期などは、小さな子どもがケガをすることがあるなど、クルーズの期間や時期によって状況が変わります。

 

「高齢のお客様も多く、持病の薬を忘れてきたため具合が悪くなる方もいらっしゃいます。とにかく、あらゆる症状に対応しなければいけないのが、病院との一番の違いですね。看護学校の教科書でしか見たことがない症状も多く、これまで初めての症状に対応したことは数知れません。本を見ながら対応することもありますし、常に勉強が必要な状況ですね」

 

看護師専用Webマガジン ステキナース研究所 | シップナースのお仕事ってどういう感じ? |  病院外の看護現場探訪【3】

救命講習の様子。クルー全員で乗客の安全対策を行う

 

医師と力を合わせ、あらゆる症状に対応

病院勤務との大きな違いは他にもあり、1つは医師との関係です。「ぱしふぃっく びいなす」には、大学病院の泌尿器科に長年勤務していた70代のベテラン医師が乗船しています。

 

「病院勤務の時は先生に意見をすることなんてありませんでしたが、ここでは2人が力を合わせて対応しなければ、乗り切れないことがたくさんあります。指示待ちではダメですし、思ったことはどんどん言います。先生も私に意見を求めてくれますし、実際に聴診器を持って一緒に患者さんを診させていただいたり、勉強のためにいろいろなことを教えてくださいます。先生自身も一般医の資格を取り直したそうです」

 

そして、もう1つの大きな違いが設備です。船内には医務室、病室がありますが、最低限の設備しかありません。

 

「レントゲンやエコーなど、病院では当たり前の設備がないため、症状から判断しなければいけないことが多いです。ここでできる対応は、二次救急の初期までです」

 

看護師専用Webマガジン ステキナース研究所 | シップナースのお仕事ってどういう感じ? |  病院外の看護現場探訪【3】

医務室の隣には病室も完備

 

緊急の対応が必要になることもありますが、そこは海の上。すぐに病院に搬送できるわけではありません。そんな時はいったいどうするのか?

 

次回は緊急時の対応や仕事のやりがいについて伺います。

 

船上の看護師後編はこちら

 

この連載

  • 産業看護師の仕事【前編】 [09/11up]

    医療機関以外で働く看護師さんのお仕事を紹介する「病院外の看護現場探訪シリーズ」。 4回目となる今回は、企業で働く看護師さんです。   企業で働く看護師は「産業看護師」と呼ばれます。 病院とはまったく異なる企業... [ 記事を読む ]

  • 船上の看護師―シップナースの仕事― (後編) [07/16up]

    ―前編はこちら―   豪華客船「ぱしふぃっく びいなす」に乗船し、看護師として働く矢野川准子さん。 前回は働くきっかけや、一般の病院との違いなどについてお話いただきましたが、後編では船上での緊急時や豪華客船で働く魅... [ 記事を読む ]

  • 船上の看護師―シップナースの仕事―(前編) [07/15up]

    医療機関以外で働く看護師さんのお仕事の様子を紹介する「病院外の看護現場探訪」シリーズ。 3回目となる今回は豪華客船。   映画『タイタニック』を思い出させる豪華客船で、乗客やクルー(乗組員)の健康管理をサポートする...

  • 訪問看護師(後編) [05/21up]

    -前編- 病棟で9年経験を積んだ後に、訪問看護の道を進んだ伊藤誠子さん(仮名)。 「ご利用者との距離の近さ」という魅力がある一方で、病院以上にご利用者にケアの必要性をしっかり伝える必要があるといいます。 ご利用者に... [ 記事を読む ]

  • 保育園看護師(後編) [04/05up]

    ―前編― 埼玉県日高市にある日高どろんこ保育園で、看護師として働く藤森康子さん(仮名・27歳)。 子どもたちの健康管理はもちろんのこと、一緒に遊んであげることも仕事のうちだといいます。 では、それ以外にはどのような... [ 記事を読む ]

もっと見る

コメントを投稿する

コメント入力
(100文字以内)
ニックネーム
(12文字以内)

コメント一覧(76)

76せいやん2015年07月05日 21時24分

あ、26年前に労災病院で膝の手術した時に、面倒看て頂いた看護師さんだ。懐かしい。

75匿名2015年02月09日 09時32分

大変な仕事を続けられているのもすごい事だと思います。

74匿名2014年07月27日 14時50分

うらやましい

73匿名2014年07月27日 14時45分

感心します

72匿名2014年07月27日 14時17分

私もやってみたい 

71匿名2014年07月27日 14時17分

整形の経験だけで大丈夫なのかな・・・ 

70匿名2014年07月27日 14時13分

いいな 

69匿名2014年07月27日 14時13分

船上ナースかぁ 

68匿名2014年07月27日 14時09分

体力いるよね 

67匿名2014年07月27日 14時09分

すごい

66匿名2014年07月27日 13時56分

どこに聞けば、求人を知れるのかな

65匿名2014年07月27日 13時55分

ほー

64匿名2014年07月27日 13時48分

いいですねぇ

63匿名2014年07月27日 13時48分

英語は必須かなぁ 

62匿名2014年07月27日 13時46分

体験してみたい

61匿名2014年07月27日 13時45分

18年!すごい!

60匿名2014年07月27日 13時45分

いろいろですね 

59匿名2014年07月27日 13時42分

いいなぁ

58匿名2014年07月27日 13時42分

ステキ 

57匿名2014年07月27日 13時41分

緊急時はどうするんだろう?

関連記事

いちおし記事

プリセプターの皆さん!新人との距離感に悩んでいませんか?

6月も終盤、今後の研修を有効活用するためのコツを伝授します。今年プリをやっているナース必見! [ 記事を読む ]

舌下錠の与薬

飲み込んだり、かみ砕いたりしてはいけないのはなぜ? [ 記事を読む ]

人気トピック

もっと見る

看護師みんなのアンケート

話題の「奨学金破産」、どう思う?

投票数:
935
実施期間:
2018年06月05日 2018年06月26日

人生で一番「無駄な買い物」選手権!

投票数:
645
実施期間:
2018年06月15日 2018年07月06日

男性との“出会いの場”どこが一番多い?

投票数:
570
実施期間:
2018年06月19日 2018年07月10日

新人ナース限定! 先輩に言われた「キツ~い一言」は?

投票数:
663
実施期間:
2018年06月12日 2018年07月12日

救急車の有料化、いくらくらいなら「妥当」だと思う?

投票数:
470
実施期間:
2018年06月22日 2018年07月13日
もっと見る

今日の看護クイズ 挑戦者358

COPD患者さんの薬物療法の説明で、最も正しいものは以下のうちどれでしょうか?

  • 1.COPDの薬物療法は、気管支拡張薬である抗コリン薬と、β 2刺激薬の吸入が汎用される。
  • 2.長時間作用性抗コリン薬は、既往歴にかかわわらず、COPD患者さんであれば使用できる。
  • 3.短時間作用性気管支拡張薬は、安定期の治療に用いられる。
  • 4.COPD患者さんの呼吸困難の改善に、吸入ステロイドが用いられる。
今日のクイズに挑戦!