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2017年02月25日

自閉症児を支援するツールとしてのレゴ®

デンマーク発祥のおもちゃ、レゴ®。その人気は伝統的なブロック遊びの枠を超えるもので、テーマパーク「レゴ®ランド」が開設されたり、レゴ®で構築された世界を舞台とした映画が公開されたりするほどです。そんなレゴ®が用いられた、自閉症スペクトラム障害の児童を対象とする「レゴ®セラピー」が世界に広まりつつあります。

 

 

看護ツールとしてのレゴ®

アメリカのブルックリンにあるマイモニデス医療センターの放射線腫瘍科に勤務しているビクター・タイさんは、20年働いたアパレル業界を離れ40歳で看護師に転身しました。彼は、前職で培ってきた技術と経験を活かし、気管切開手術後に保護のために首元を覆うカバーをカスタマイズしたり、放射線治療を待っている患者にニットの編み方を教えたりしていました。

 

そんなタイさんは看護師1年目に、リンパ腫の診断を受けた、自閉症スペクトラム障害の小児科患者のケアにあたりました。彼は、最初の面談でその患児はレゴ®が好きだということに気付き、治療の説明のため、レゴ®で放射線治療装置のモデルを組み立てることを思いつきました。実はタイさんもレゴ®が好きで、自動車や電車、テニスラケットや建造物などをレゴ®ブロックで作っていました。

 

「レゴ®は、患者とのコミュニケーションの懸け橋になってくれました」というタイさんは、構台や治療寝台、画像誘導放射線治療用機器を含む可動部も再現し、治療の説明に用いました。この模型は、部屋を占拠するような大きさの実物の装置ほど恐怖心を与えることなく、患者と家族の治療に対する理解を助けられたといいます。

 

タイさんが考案した模型は、現在、マイモニデス医療センターだけでなく、ほかの医療施設にも導入されています。しかし、彼の目指すところはまだずっと先にありました。実はタイさんにも自閉症の息子がいて、発達障害のある人々のニーズに対処するための組織を確立したいと望んでいるのです。

 

レゴ®セラピー

カナダのBC(ブリティッシュコロンビア)州フレーザーバレー地区では、毎週6人の自閉症の子どもたちが集まってレゴ®を用いたセラピーを受けています。

子どもたちの大好きなこのおもちゃを使ったセラピーにより、手先の器用さや創造性などが育まれるだけでなく、他の子どもと代わりばんこに何かを行うこと、分かち合うこと、会話することなど、自閉症の児童がしばしば困難に感じる対人関係のスキルをも育むことができるのです。

 

また、イギリスの特別支援学校をはじめとする施設では、レゴ®を使ったセラピーが「レゴ®クラブ」として導入されるようになりました。レゴ®クラブでは、子どもたちにルールを説明し、課題を与え、自分たちで問題を解決するように促します。具体的には、役割分担が行われ、グループの中の1人がみんなに何を作るかを伝え、1人はレゴ®のピースをそろえ、1人はそのレゴ®ピースを組み立てていく…といった具合です。子どもたちはそれぞれの役割を果たし、みんなで協力してレゴ®を組み立てていきます。

 

レゴ®クラブは次の例のようなプログラムで進められます。

1.    監督者によるルール説明(5分)
2.    分担された役割に従ってレゴ®の組み立て(15分)
3.    自由にレゴ®を組み立てる(15分)
4.    片付け(5分)
5.    みんなで輪になって自分たちが作ったものを発表し合う(5分)

 

レゴ®を用いた教育の研究者で発達心理学者のシーモア・パパート氏は、「子どもたちは、積極的に何かを組み立てようと集中しているときにこそ大いに学ぶ」と述べています。そして、集中している間は、しばしば自閉症児を悩ませる「常同行動」も抑制されるようです。

 

世界に広がるレゴ®セラピー

今回ご紹介した「レゴ®クラブ」をはじめとするレゴ®セラピーは現在、世界で注目されており、北米やアイスランド、イギリスなどで導入されています。子どもたちが大好きなこのおもちゃが、自閉症児の人生をよりよいものへと導いてくれることが期待されています。

 

(文):木村佳織 
(参考):
LEGO therapy introduced to Abbotsford children with autism(Globalnews)

Legos: An unusual, yet effective, nursing tool(NURSE.com)

LEGO®-Based Therapy and children with Autism(Linkedin)

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