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2017年01月16日

いまだなくならない「薬剤取り違え」に注意喚起|日本医療機能評価機構が事例を報告

【日経メディカルAナーシング Pick up!】

 

薬剤の名称が類似していることで発生する「薬剤のとり違え」が、注意喚起後も再発しているため、日本医療機能評価機構は2016年12月26日、「医療事故情報収集等事業 第47回報告書」を公表し、再度注記喚起を行った。

 

    日本医療機能評価機構での会見の様子

 

満武 里奈=日経メディカル

 

この報告書は2016年7~9月に機構に報告された医療事故情報とヒヤリ・ハット事例を取りまとめたもので、1447の医療機関が参加している(2016年9月末時点)。今回の対象期間中に報告された医療事故情報は999件だった。

 

薬剤の名称が類似していることによる「薬剤の取り違え」については2007年に注意喚起して以降、合計5回ほど注意喚起を継続しているが、今回の分析対象期間中(2016年7~9月)に2件が報告されたことから再度注意喚起するに至った。

 

2012年6月以降に報告された10例を分析したところ、「処方」が原因の事例、「調剤」が原因の事例がそれぞれ5件ずつだった。当事者の職種は処方を行う医師(6例)や調剤を行う薬剤師(5例)のほか、内服薬の与薬や注射薬の準備・投与に関わる看護師(10例)が多く含まれた。

 

取り違えた薬剤の組み合わせは(表1)の通り。報告された事例10件のうち、主な薬効が異なる組み合わせが7件を占めていた。「主な薬効が異なる薬剤と取り違えると、患者への影響が大きくなる可能性がある。また、漢方製剤は、主な薬効は同じ分類に入るが成分は異なり、効能又は効果が異なるため注意が必要である」と同報告書では指摘している。

 

表1 取り違えた薬剤の組み合わせ

取り違えた薬剤の組み合わせ

    医療事故情報収集等事業 第47回報告書より

 

また薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業のデータを用い、名称が類似した医薬品を取り違えた事例について分析(表2)。頭3文字が一致している組み合わせの事例は3件あり、いずれも処方事例だった。「薬剤の処方オーダでは、3文字入力を行って表示された薬剤名一覧の中から薬剤名を選択することが広く行われているが、その際の選択を誤ると意図していない薬剤を処方することになる。薬剤名を選択する時の確認と、オーダを確定する時の再確認が重要である」とアドバイスしている。 

 

表2 名称類似の分類

名称類似の分類

    医療事故情報収集等事業 第47回報告書より

 

処方時の主な改善策としては、「処方画面には薬剤名を最後まで入力し、処方した薬剤の名称と量、投与日数を何度も確認する」「処方内容の再確認が必要である」「持参薬の処方希望があった時、検薬されていない場合には検薬後に処方する。医師は検薬用紙を見ながら処方の入力を行う」などを提示。そのほか、事故発生段階別に対策を示している。

 

当日の会見では、医療事故情報収集等事業のデータベースを活用した医薬品の取り違え防止のための製薬企業の対応例として、プロスタグランジンE1製剤「プリンク」が名称変更の申請を2016年8月に実施ずみであることも報告した。「プリンク注・注シリンジ5μg/10μg」(テバ製薬)と、消化器機能異常治療剤「プリンペラン注射液10mg」(アステラス製薬)は、販売名が類似していることから、両社連名で注意喚起文書を作成、公表していた。

 

日本医療機能評価機構執行理事の後信氏は、「これまでに名称変更はアルマールとアマリールなど2件あったが、医療安全の観点から企業側がブランド名を放棄するということは、私どもにとってはとてもありがたいこと。このようなことはまず外国では見られないことのようで、こういった動きがより広がればと思う」とコメントした。

 

膀胱留置カテーテルによる尿道損傷の類似事例が34件

「薬剤の取り違え」のほかに、「膀胱留置カテーテルによる尿道損傷」も再発していることから、再度注記喚起を行った。

 

「膀胱留置カテーテルによる尿道損傷」については2012年に初めて取り上げて以降、2013年にも再度情報を提供している。分析対象期間(2016年7月~9月)に類似事例が3件発生したため、再び取り上げられた。2013年6月以降に発生した類似事例件数は34件だった。

 

膀胱留置カテーテルでは、カテーテル挿入後、尿の流出を確認したうえで、バルーン内に滅菌蒸留水を注入する。しかし、報告された事例はいずれも尿の流出の確認を行わずに、バルーン内に滅菌蒸留水を注入している事例だった。同報告書では「膀胱留置カテーテルを挿入後、尿の流出がない場合はバルーンを拡張しないことを徹底することが重要である。院内のマニュアルや手順書などを再確認し、改めて膀胱留置カテーテルの挿入時の注意事項を認識する必要がある」とアドバイスし、具体的な手順書とイラスト(図1)を提示している。 

 

図1 膀胱留置カテーテル留置時の手順と発生事例の解説

膀胱留置カテーテル留置時の手順と発生事例の解説

    医療事故情報収集等事業 第47回報告書より

 

そのほか、同報告書では「腫瘍用薬に関連した事例(「指示、調剤、準備、患者への説明・指導」の事例)」「歯科治療中に異物を誤飲・誤嚥した事例」「小児用ベッドからの転落に関連した事例」の3つについて新たに解説している。

 

■関連資料(日本医療機能評価機構ホームページ)
医療事故情報収集等事業 第47回報告書
 

 

<掲載元>

日経メディカルAナーシング

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コメント一覧(2)

2匿名2017年01月16日 14時37分

薬は怖いです。

1匿名2017年01月16日 08時24分

紛らわしい薬剤名での事故は昔からある。さらにジェネリックで拍車がかかった。承認時に対策を怠ったのがいちばんの原因。現場の人間だけのせいではない。もちろん確認は大事ですが。

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