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2016年10月10日

排尿自立・在宅復帰へ携帯膀胱用エコーが威力―「排尿自立指導料」新設で尿カテ抜去に弾み

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今年4月の診療報酬改定で、関係者待望の「排尿自立指導料」が新設された。その算定に必要な尿量測定・排尿日誌を自動化した携帯膀胱用エコー装置も登場し、尿道留置カテーテルの早期抜去やオムツ外しが一層進みそうだ。

(武田 京子=医学ライター)

 

排尿自立・在宅復帰へ携帯膀胱用エコーが威力

今回新設された排尿自立指導料は、入院患者の排尿自立を目的に「下部尿路機能療法」を行った場合に算定できる点数項目として、日本創傷・オストミー・失禁管理学会と日本老年泌尿器科学会が共同で新設を要望していたもの。

両学会が尿道留置カテーテルの早期抜去の普及を目指し、4年以上にわたり下部尿路症状ケアに関するセミナーの実施やエビデンスの構築などを地道に行ってきたことが日の目を見た形だ。

 

 「術後の一過性の尿閉などを契機に尿道カテーテルを留置し、その後も漫然と長期に留置しているケースは少なくない。中には10年以上留置し、そもそもなぜカテーテルを入れたのかが分からない症例もある」。日本大学泌尿器学系主任教授(同大附属板橋病院副院長)の高橋悟氏は尿道カテーテル留置の現状をこう説明する。 

 

日本大の高橋悟氏

「本来在宅などに戻れるケースでも尿道カテーテルが入っているために受け入れられず、長期入院などになることもある」と日本大の高橋悟氏は話す。 

 

尿道カテーテルの長期留置は様々なリスクを伴う。尿路感染症はもちろんのこと、耐性菌の院内感染アウトブレイクにもつながりやすい。

 

「本来在宅などに戻れるケースでもカテーテルが入っているために受け入れられず、長期入院などになることもある。何より患者の尊厳やQOL(生活の質)が損なわれることから、できるだけ早期に排尿の自立を支援すべきだ」と高橋氏は強調する。

 

排尿ケアチームによる介入効果に期待

こうした尿道カテーテル留置のリスクを分かっていても、多くの医療機関でなかなか自立に導けなかった理由の1つが経済的な背景だ。

 

尿道留置カテーテルを抜去し、排尿の自立を支援するには、かなりの手間が掛かる。自力で排尿できそうな患者を抽出し下部尿路機能を評価、その上できめ細やかな指導などを行う必要があるからだ。しかし、これまではそうした一連の作業に対する診療報酬はなかった。そのため一部の医療機関で、自発的に排尿自立指導が行われてきたのが実情だ。

 

今回新設された排尿自立指導料には200点(週1回、6回まで算定可能)という比較的高い点数が付き、医療機関での取り組みが一気に加速しそうだ(表1)。

 

表1 排尿自立指導料の算定要件 

表1 排尿自立指導料の算定要件

 

排尿自立指導料の対象となるのは、尿道カテーテル抜去後に尿失禁や尿閉などの下部尿路機能障害の症状がある、あるいは抜去により機能障害が生じると見込まれる入院患者。ただし、回復期リハビリテーション病院では算定できない。それは「回復期のリハビリテーションには、本来排尿自立指導が含まれており、行ってしかるべきだからだ」(高橋氏)。

 

排尿自立指導料の主な算定要件は、医師・看護師・理学療法士による「排尿ケアチーム」を設置し、チームでアプローチすること。チームの構成メンバーになるには、各職種とも下部尿路機能障害に関する一定の経験か研修が必要となる。

 

排尿ケアチームで行うのは、

(1)下部尿路機能障害の評価

(2)病棟の看護師などと共同して包括的排尿ケアの計画を策定

(3)排尿ケアチーム、病棟看護師などが共同で包括的排尿ケアを実施

(4)包括的排尿ケア中、ケア後に定期的に評価

(5)排尿日誌や残尿測定などの情報から下部尿路機能を評価、スクリーニング

(6)院内研修

──などだ(図1)。 

 

図1 下部尿路機能障害の評価と包括的排尿ケアのアルゴリズム(日本創傷・オストミー・失禁管理学会編集「平成28年度診療報酬改定 『排尿自立指導料』に関する手引き」より)
 

図1 下部尿路機能障害の評価と包括的排尿ケアのアルゴリズム

 

20年以上前から排尿自立支援に取り組んでいる原三信病院(福岡市博多区)は今年4月以降、排尿ケアチームに理学療法士を加えてアプローチするようになり現在、週に3人ほどの排尿自立指導を行っているという。 

 

同病院泌尿器科部長の武井実根雄氏は、「排尿自立指導料は排尿自立指導への大きな力になっている。理学療法士の専門的な知識とスキルに基づいてトイレへの移動や衣服の着脱などを指導できる。また、理学療法士にとっても排尿関連動作について理解が深まるなど、各自が専門家としての立場でディスカッションできるので、これまで見えていなかったことも見えるようになった」とチームの効果を実感する。

 

原三信病院の武井実根雄氏。

「『排尿自立指導料』は排尿自立指導への大きな力になっている」と話す原三信病院の武井実根雄氏。 

 

また、排尿自立指導のような多職種によるチームアプローチが有効なのは急性期病院だけではない。脳卒中のリハビリテーションを中心に医療を行う長尾病院(福岡市城南区)では、排尿ケアチームがオムツ外しにも取り組み、2013年6月から2015年5月までに介入した患者20人中、8人でオムツを外すことができたという。

 

「排尿自立指導料が算定できるのは、入院患者の尿道留置カテーテル抜去に伴うものだが、今はまだ黎明期だ。慢性期病院などで今後実績を積み重ねることにより、在宅患者のカテーテル抜去に対しても算定できるようになる可能性もある。そうなれば、さらに尿道留置カテーテルの抜去や、オムツ外しが進むと考えられる」と高橋氏は展望する。

 

 

24時間移動中も測定できる携帯膀胱用超音波画像診断装置も登場

下部尿路機能評価のための情報収集のカギとなるのが、尿量測定や排尿日誌だ。

「下部尿路機能障害を正しくアセスメントするには、1日の尿量や1回の排尿量、排尿回数、残尿量、水分摂取量などのデータが必要だ。そのデータにより適切な薬物療法が可能になり、それが自立への第一歩になる」と高橋氏は指摘する。

 

以前は残尿量を導尿によって測定していたが、侵襲性や尿路感染のリスクから、現在では超音波画像診断装置を用いて測定することが推奨されている。さらに近年、携帯式の膀胱用超音波画像診断装置(商品名ブラッダースキャンシステムBVI6100、ゆりりんUSH-052など)が開発され、簡便に膀胱内の残尿を測定できるようになった。

「泌尿器科がなく、尿流動態検査などによる専門的な膀胱機能検査ができない病院でも、残尿測定や排尿日誌の記録を行えば排尿管理の基本方針が立てられるケースは少なくない」と武井氏は言う。

 

さらに昨年末には、プローブを患者の下腹部に付けておけば、24時間連続して膀胱内の尿量を測定できる携帯膀胱用超音波画像診断装置「リリアムα-200」が登場した(写真1)。 

 

写真1 携帯膀胱用超音波画像診断装置「リリアムα-200」 

携帯膀胱用超音波画像診断装置「リリアムα-200」

 

この機器は4つの超音波素子を膀胱の拡張方向に配置し、膀胱の前壁と後壁間の距離、後壁エコーの高さを連続的に測定(1回/毎分)することにより、残尿測定に加えて膀胱内尿量の増減も経時的に測定できる。任意に設定した膀胱内尿量になると患者にアラームで知らせる「排尿タイミングモード」を使えば、尿意のない患者への排尿誘導も容易になるという。

 

さらに、排尿時にボタンを押すと残尿量、排尿前の蓄尿量との差分から排尿量を算出でき、実際に排尿量を測定しなくても排尿日誌が自動的に作成・印刷できる「排尿日誌機能」もある。「残尿測定や排尿日誌の記録は看護師の大きな負担だ。しかしこれを使えば、その負担も軽減でき、評価に時間が割ける。排尿自立指導の導入を検討している医療機関への追い風になるのではないか」と高橋氏は期待している。

 

 

<掲載元>

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コメント一覧(1)

1匿名2016年10月10日 17時55分

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