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2016年10月05日

コミュニケーションの悩みを「対話力」で解決する さわ研究所・さわ和代さんに聞きました

患者さんの希望を伝えようとしたら主治医から『要点だけ言って!』と声を荒らげられた…。こんな経験は、ナースの皆さんなら一度は経験したことがあるのではないでしょうか?
ドクターはもとより、患者さん、同僚、上司、他部署のスタッフなど、看護業務の多くは他者とのコミュニケーションの上に成り立つものです。
だからこそ看護師にとって、コミュニケーションに関するトラブルや悩みはつきものではないでしょうか。

 

「現場できちんと伝わる伝え方、他者とうまくコミュニケーションを取る方法について一緒に学びませんか?」と話すのは、看護師国試専門予備校 さわ研究所のさわ和代さん。
年間延べ3万人の看護師を送り出すさわさんに、これまでの自身の経験や看護学生とのやり取りから確立した「対話力」についてお話をうかがいました。

 


さわ和代

 

「対話力」とはコミュニケーションに技術的な要素を加えたメソッド
「自分との対話」でコミュニケーションがうまくいく
「何を話せばいいか」は目的を考えると自然と言葉は出てくる
「看護師を辞めたい!」が本当の目的なのか?
対話力で克服する 苦手なドクターとのコミュニケーション

 

 

「対話力」とはコミュニケーションに技術的な要素を加えたメソッド

編集部(以下、編):なぜあらためて「対話」に着目されたのでしょうか?

 

さわさん(以下、さわ):多くの看護学生や看護師となった卒業生と話をする中で、看護師は、本当にさまざまな人とコミュニケーションを取る仕事なのだと改めて感じました。
特に昨今は多職種でチーム医療を行うので、看護師は他職種のスタッフとも調和を図りながら、最高のパフォーマンスをしていかなければなりません。一人ひとり人格もキャリアも価値観も違う中で、どうやってチーム力を発揮して医療に貢献するかを突き詰めて考えると、やはりコミュニケーションに行き着きました。

 

とは言え、「対話力」は単なるコミュニケーションではありません。
そこに、心理学、精神医学、さらにコミュニケーションの技術的な要素を加えて私なりのメソッドを確立しました。それが「対話力」であり、その対話力を使ってその人の悩みを解決する方法を「対話療法」と呼んでいます。

 

 

「自分との対話」でコミュニケーションがうまくいく

編:対話力の効果について、もう少し具体的に教えていただけますか。

 

さわ:例えば、交通事故で大きな傷害を負った患者さんに、ドクターが適切な処置を施し薬を処方したとします。患者さんの痛みはその薬でやわらぐでしょう。しかし、この先の不安をぬぐうことはできません。
ところが、そのような患者さんであっても、対話療法によってその不安を軽減し、希望を抱き笑顔を見せてくれるようになるのです。

 

一口に「対話」と言っても、相手は他人とは限りません。自分との対話というのもありますし、社会的なつながりの中での対話というのもあります。
その「対話」を行う中で最優先すべきは「自己受容」だと考えています。これは、「自分を愛せ」ということではなく、自分のいい面とも悪い面とも向き合って、そういう面を持っている自分をまるごとOKしようね、ということです。

 

自己受容ができるということは、対話力を身につける上でとても重要なことです。
生まれてきた自分の価値、今後、社会に貢献していける自分の力、そういうものと真摯に向き合うことが、対話力を身につける最初の段階です。

 

 

「何を話せばいいか」は目的を考えると自然と言葉は出てくる

さわ:また、今の学生は、コミュニケーションを取る訓練をしてきていないことへの不安が大きいように思います。
たとえば、患者さんの背中を拭いて差し上げる場合、タオルの巻き方からお湯の温度、拭く順番などは授業で学ぶのですが、単にそれを完璧にすればいいかというと、それで十分な看護をしたとは言えないと思います。
技術は完璧でも、黙ったまま拭かれると患者さんは居心地が悪い思いをされることもあります。逆に、何の看護技術も学んでいない、看護については素人のご家族が、「気持ちいい?」なんて言いながら背中を拭いてくれる方が、遥かに患者さんの気持ちは安らぐのではないでしょうか。

 

看護師は看護技術を行っている時に傾聴やラポールの形成をしっかり目標にし、対話を重ねることが大切です。しかし、そういったことを学んできていない学生や若い看護師さんは、どんな会話をすればいいのかが分からないんです。

 

こういう場合は、患者さんの関心事に目を向けたり目的論を大事にしていくと、何を話せばいいのか、といったコミュニケーションが自然とできるようになります。

 

たとえば、オペ室に配属になって術前訪問をする場合、何を話せばいいか分からなくなることもありますが、「なぜ術前訪問するんだっけ?」という目的を自分と対話し、確認していくと、言葉は自然に出てくるのではないでしょうか。
「自分は目の前のこの患者さんに、明日のオペにどんな風に臨んでほしいんだろうか」とか「どんなオペにしたいだろうか」といった目的をしっかりと持っていれば、コミュニケーションが楽しくなると思います。

 

 

「看護師を辞めたい!」が本当の目的なのか?

編:対話力でコミュニケーションを円滑に進めるとのことですが、他にもカウンセリングとかコーチングといったものもありますよね。この「対話力」はそれらとはどう違うのでしょうか?

 

さわ:カウンセリングは、こころの健康状態がマイナスにある人を引き上げるための技法です。また、コーチングは、通常の状態…プラマイゼロの状態から、その人が持っている能力を高めていくものです。ほかにも人に教えるティーチングというのがあります。
対話力は、そういった3つの技法をすべて横断するものであり、その中で「対話」にフォーカスを当てたものです。

 

たとえば、先にお話したような「目的論」がこの対話力というメソッドの重要なポイントの一つなのですが、よく卒業生で看護師になった子が「看護師なんか辞めたいです!」と来ることがあります。
こういう場合、その子の「目的」は本当に「看護師を辞めること」なのか?という目線から話を聞きます。
その目線から話を聞いていくと、実は「看護師を辞めること」が目的なのではなく、別の問題があるために「看護師を辞める」と言っていることに気付きます。本当は、その問題さえなければ、そのまま看護師としてその病院で頑張りたいと思っているのです。
それが分かると、「じゃあどうすればその問題は解決できるのか?」というのが、解決すべき本来の目的なわけです。

 

目的の方向を明確にするのが、対話力であり、それを使うことで本人が楽になったり、本当の問題が見えてくる、それが対話療法です。

 

 

対話力で克服する 苦手なドクターとのコミュニケーション

編:看護師の場合、特にドクターとのコミュニケーションが取りにくい、というのをよく聞きますが、これも対話力で克服できるものでしょうか?

 

さわ:はい。克服できます。
ドクターは、看護師からの相談が本当に多い「コミュニケーションが取りにくい」相手です。特に外科系のドクターは気が短い人も多いようで(笑)「要点だけ言え!」なんて言われて、萎縮してしまう看護師も多いです。

 

そういう時に看護師は「あのドクターは怖い」「私には無理」というラベルを貼り、「自分が我慢してここは丸く収めよう」という我慢のコミュニケーションをとりがちです。 しかし、これでは伝える必要があることも伝わりません。

 

こういう場合、「じゃあなんて言えばいいんだろう」と考えるのではなく、自分のことも相手のことも大切にし、お互いの権利を守る伝え方があります。一般にアサーションと呼ばれるものです。
さらに、先にお話した目的論を使って、「本当はどうしてもらいたいか」を考えます。そしたら、「本当は、患者さんのためにドクターにも分かってもらいたい。協力し合って、良いチームとして患者さんに貢献したい」というのが出てくる。
それが出てくると、「じゃあその『分かってもらいたいこと』をきちんと伝えるためには、どのような方法があるか」を考えられるようになるのです。

 

対話力を身につける上で自己受容が大切だというお話をしましたが、自己受容ができるということは、他者を受け入れることもできるということです。
それができていると、この場合、「ドクターに今伝えたい」のは私の都合だけれど、ドクターにはドクターの都合がある、ということも理解できます。
それが分かっていれば、「忙しい時にすみません」とか「いつお声掛けしたらいいでしょうか」というようにドクターに聞くこともできます。

 

編:対話には実はさまざまな理論とそれを実践するメソッドがあり、その「技術」を身につけることが大事なんですね。

 

さわ:そうですね。なので、この対話力を身につけ実践できる講座を予定しています。 この講座ではさまざまなワークを通して、自分の価値をしっかり見つめ直してみることから始めて、ここまでやってこれたよね、じゃあこれからもやっていけるよね、というようなこれまで頑張ってきた自分に対してOKを出せるようになっていくようなものを考えています。さらに、「対話療法士」としての資格取得も目指していただけたらと思っています。 ぜひ、多くの方に受講していただき、対話力を実感していただきたいです。

 

編:本日はありがとうございました。

 

「さわ和代」の対話力養成講座

【日 時】平成28年11月10日(木)10:00~17:00
【会 場】さわ研究所東京校(東京都千代田区大手町2-6-1 朝日生命大手町ビル28階)
【受講料】18,000円(税込)
【お申込み・詳細】一般社団法人 日本対話療法協会

 


【さわ和代】

看護師国試専門予備校 さわ研究所 代表取締役。助産師、厚生労働省勤務を経て、さわ研究所を設立。全国各地の大学、専門学校で受験対策講義を行い、年間延べ30000人の看護師を送り出している。

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