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2016年10月04日

乳児死亡率を下げ、未受診妊婦を減らす取り組み「ベビー・ボックス」とは

イギリス・ロンドン市内の病院で、国内では初めて「ベビー・ボックス」の配布がスタートしました。

 

この取り組みは、フィンランドのアイデアがモデルとなっていて、出産後の両親に渡されたボックスには新生児の育児に必要なグッズが入っています。

 

今回は、イギリスのBBCニュースで紹介された「ベビー・ボックス」配布の取り組みについてご紹介します。

 

 

「ベビー・ボックス」とは?

「ベビー・ボックス」をひと言で表すと、育児のスターターキットが詰まった段ボール製の箱。

 

箱の中には、新生児に必要な衣類、体温計、入浴用品、マットレス、シーツ、オムツ、おもちゃ、育児情報誌などが入っています。

 

特筆すべきなのは、このマットレスが箱にピッタリ合うサイズに作られており、病院のコットのように赤ちゃんを寝かせられるのです。

 

現在、「ベビー・ボックス」の配布対象はこの取り組みを試験的に導入した病院で新生児を出産した両親に限られています。

 

家族の背景にかかわらず、全員が平等に赤ちゃんの育児に必要なものを手に入れられるように、との目的から発案されたベビー・ボックス。

 

人生の始まりを平等な環境でスタートさせることをサポートし、少しでも赤ちゃんにとって望ましい環境を整えることで乳児死亡率の軽減につなげるためとしています。

 

イギリスでは日本の慣例と同様に添い寝する家族もいますが、柔らかいマットレスや大きな枕を利用する成人の就寝環境は、新生児にとって乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを高める恐れがあります。

 

また、母親が添い寝して赤ちゃんを下敷きにしないかという不安で、リラックスして休むことも難しいこともあるかもしれません。

 

そこで「ベビー・ボックス」を赤ちゃんのベッドとして活用すれば、母親の心理的な不安や体力的な負担も軽減できるうえ、赤ちゃんの安全な寝床を確保できるという意図も含まれています。

 

 

「ベビー・ボックス」のモデル

「ベビー・ボックス」の配布は、もともとフィンランドで1938年に始まりました。

 

フィンランドは乳児死亡率が昔から低いことで知られていますが、その背景には「ベビー・ボックス」の取り組みがあるとされています。

 

ボックスの配布対象は開始当初、低所得の家庭に限られていましたが、1949年に希望者全員に拡大され、75年ものあいだ続けられている取り組みなのです。

 

また、母親たちは「ベビー・ボックス」または現金支給のどちらかを選ぶことができる仕組みになっています。

 

希望者が「マタニティ・ボックス」「ベビー・ボックス」あるいは現金支給のうちのいずれかを受ける条件として、母親が妊娠4カ月までに医療機関で受診することを挙げています。

 

こうした方法が、自然と妊婦を社会福祉制度や医療機関に誘導する仕組みになっているのです。

 

1930年代のフィンランドは経済状態が豊かではなく、BBCによると、乳児死亡率(出生1000に対する乳児の死亡数、フィンランド統計局調べ)は65と高水準でしたが、「ベビー・ボックス」の配布開始後10年間で、数値は急速に低下したと伝えられています。

 

フィンランドで現在配布されている「ベビー・ボックス」は、140ユーロ(約15,831円、1ユーロ=113円で換算)に相当すると言われていますが、その95%にはそれ以上の価値のあるものが含まれているそうです。

 

 

「ベビー・ボックス」の可能性

「ベビー・ボックス」を導入したイギリスの乳児死亡率(世界保健機関2015年発表)は、3.5。

 

ただ、国内の家庭の収入の格差がみられ、新生児の生活環境は一概に望ましい環境だけであるとは言えないようです。

 

新生児が平等な環境の中で人生をスタートできることをサポートする「ベビー・ボックス」は、赤ちゃんの健全な成長を守り、乳児死亡率を低下させることにつながると期待されているのでしょう。

 

一方、日本では、出産した病院からのお祝いとしてオムツ、哺乳瓶の消毒剤、入浴剤、育児日記などが配布される場合があります。

 

病院によってお祝いギフトの内容はさまざまですが、ベビー用品の宣伝にとどまる場合が多いのが現実のようです。

 

もし、日本も政府から、出産したばかりの母親たちが共通した赤ちゃんの育児に必要な用品が詰まった「ベビー・ボックス」を受け取ることができるならば、経済的にも精神的にも安心材料が増えることでしょう。

 

全国規模で取り組みが始まれば、日本でも未受診、未管理妊婦の出産低減につながるかもしれません。

 

 

(文):A.Brunner

(参考):

First UK hospital gives baby boxes to parents(BBC)

Why Finnish babies sleep in cardboard boxes(BBC)

WHO Probability of dying per 1 000 live births Data by country Data by WHO region(WHO)

 

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コメント一覧(1)

1匿名2016年10月04日 08時52分

ベビーボックスは初めて知りましたが、前に勤めたクリニックではベビー服やスタイ紙おむつや哺乳瓶・粉ミルクなどを退院時にプレゼントしていました。

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