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2016年08月22日

リハビリが変わる、医療が変わる【2】回復期リハ◆朝夕に更衣、家庭用浴槽で入浴…

【日経メディカルAナーシング Pick up!】

 

早期から集中的にリハビリを行うほどADLは改善するという考えから、先駆的な回復期リハビリ病棟では、入院生活の中でできるだけ多くの訓練量をこなせるプログラムを提供している。訓練内容についても、自宅での生活により近い形でADL訓練などを行うのが主流になってきた。

(末田 聡美=日経メディカル)

 

リハビリが変わる、医療が変わる

回復期リハ◆朝夕に更衣、家庭用浴槽で入浴…

初台リハビリテーション病院(東京都渋谷区)も、2002年の開設当初から、こうした考え方でリハビリを提供してきた。入院患者は脳血管疾患(65.6%)、頭部外傷(9.4%)、骨折(6.8%)などで重度者が多い。在宅復帰率は約85%。平均在院日数は92.4日だ(いずれも2015年実績)。

 

毎日休みなくリハビリ実施

リハビリ内容で特徴的なのは、診療報酬を算定できる1日3時間(疾患別リハビリテーション料9単位)の個別リハビリ訓練の時間だけでなく、朝起きてから夜寝るまでの入院生活全てをリハビリと位置付けている点。看護師や介護福祉士などの全スタッフが、自立支援の観点から日常生活のケアに関わっている(表1)。

 

表1 回復期リハビリ病棟におけるケアの基準(初台リハビリテーション病院による)
表1 回復期リハビリ病棟におけるケアの基準

月2回開催するカンファレンスの様子。医師、看護師、介護福祉士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、ソーシャルワーカー、栄養士、薬剤師などが、それぞれの視点から患者の状態を評価し、目標の立案や修正を行う。職員は皆、白衣ではなくシャツとスラックスの制服を着用。チームの一体感を大切にしている。

 

 

「基本的なケアをリハビリとして365日徹底的に行うことで訓練量は増え、ADLの向上につながる」と理事長の石川誠氏は話す。

 

入院時には、医師、看護師、理学療法士などの全職種が病室に集まり、患者の基本動作能力や嚥下の状態などを評価した上で、目標を設定。あとは目標に向けて毎日訓練を行う。

患者は、朝起きたら普段着に着替え、食事は食堂で椅子に座って食べ、口腔ケアは毎食後洗面台で行う。排泄は日中も夜間もトイレで行う。さらには、1日置きに入浴し、必ず浴槽に漬かる(図4)。院内の設備は、在宅での生活に近付けるため「家らしさ」にこだわっており、各病棟にある浴槽も、あえて自力でまたがなくては入れない家庭用のものを備える。

 

図4 入院患者の1日の流れの例とスタッフの関わり(取材を基に編集部で作成、写真提供:初台リハビリテーション病院)

図4 入院患者の1日の流れの例とスタッフの関わり

食事やリハビリなどで移動する際には移乗・移動動作訓練を実施。余暇時間には自主訓練メニューもこなす。

【赤】は理学療法士、作業療法士、言語聴覚士による機能訓練およびADL訓練、【緑】は生活リハビリ。1日の大半はリハビリを行っている。

 

 

「例えば、トイレで用を足すという行為は、様々な動作の集合体。動作の全工程について、患者がどこまで行えるのか一つひとつ確認しながら介助するポイントを考える。自分でできる動作が増えるように関わっていくことが重要だ」と石川氏。

 

経管栄養は入院時に抜去

また、訓練室でできた動作が、実生活になるとできないといったことはよくある。「訓練室で練習した動作を、病棟では実際の生活動作に応用して訓練する。両者を組み合わせることでより効果的なADL訓練ができると考えている」とPT部門チーフで理学療法士の山中誠一郎氏は言う。

 

機能訓練室で3メートル歩行できたという情報があれば、食堂の自分の席まで移動する際に、あえて3メートル手前で車椅子を止め、歩いてもらう。訓練室で浴槽の高さほどのバーがまたげたら、入浴の際に実際の浴槽でチャレンジする、といった具合だ。

 

 

摂食嚥下リハビリにも力を入れている。入院時に経管栄養の状態であればすぐ抜管し、嚥下造影下で飲み込みの状態を評価。どのような姿勢でどのような形態・量なら安全に摂取訓練できるかを医師や言語聴覚士が見極めた上で、リハビリを進めている。

 

経口摂取が難しい場合は、食事のたびに栄養チューブを挿入する間歇的経管栄養を行う。「患者の苦痛が軽減できる上、経鼻経管栄養よりも摂食嚥下リハビリが行いやすく、経口摂取に至る可能性が高い」(石川氏)からだ。同病院では、入院時に経管栄養だった患者の約7割は3食経口摂取へ移行できているという。

 

 

こうした集中的なリハビリを実現するためには、相当の人手と情報共有の仕組みが必要だ。同病院では、1病棟44~48床に対して、医師3人、看護師20人、介護福祉士14人、理学療法士17人など、9職種約80人もの職員が病棟専属で在籍し、チームでのアプローチを行っている。

 

全ての職員が各患者に同様の視点で生活リハビリを提供するため、毎日朝夕のカンファレンスに加えて、患者1人に付き月2回のカンファレンスを開催。ADLの改善度や問題点などを各専門領域の立場から報告し、方針を共有している。多職種で情報共有しやすいようにチーム医療対応型の電子カルテも病院で開発しており、患者の生活動作の自立状況なども一目で分かるようにしている。

 

 

回復期リハビリ病棟は、量的な整備は進んできたものの、リハビリの質の施設間格差が課題といわれる。診療報酬にアウトカム評価が導入されたのを機に、質の高い回復期リハビリ病棟が増えていくことが期待される。

 

 

【リハビリが変わる、医療が変わる】

《prologue》「病状が落ち着いてから」はもう古い!

《1》廃用症候群の予防◆早期リハ+栄養管理がカギ

《2》回復期リハ◆入院生活全てをリハビリに

《3》腎臓リハ◆腎臓病も運動で透析遅らせ予後改善

 

<掲載元>

日経メディカルAナーシング

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コメント一覧(2)

2らーらー。2016年08月23日 23時39分

上手に歩けたね、いいね。と声をかけると一人であるいていいと勝手に勘違い、そしてこける。予想をはるかに越える行動の連発。ヒヤリばっかり。うかつにしゃべれんわ。危険認知できんと歩けても意味ないわ。

1匿名2016年08月22日 21時06分

ADLが少し上がった頃に 「出来る」と勘違いして自分で歩行して転倒が結構多いです。

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