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2016年06月20日

緩和ケア 7つの誤解|誤解2◆予後は予測できない

【日経メディカルAナーシング Pick up!】

 

「ちょっと前までは元気だったのに、急に体力が落ちてあっという間に亡くなってしまった」──。

こんな最期を見て、癌患者の予後は予測できないと感じている医師は少なくない。

 

一般的な慢性疾患では、時間とともに徐々に体力が低下するのに対し(図2)、癌患者の場合は「ある頃から急激に体力が落ちて思うように動けなくなり、そこから1~2カ月ほどで死亡するといった転帰をたどることが多い」(廣橋氏)。さらに、終末期の癌患者の予後予測は実際の予後より楽観的になることや、医師の経験にも左右されることが報告されている。 

 

図2 各疾患の転帰(取材を基に編集部作成)

図2 各疾患の転帰(取材を基に編集部作成)

 

限界を踏まえた上で予測する

とはいえ、1カ月内の短期なら経験によらず、客観的な予後予測がある程度可能だ。客観な予後予測を可能にするツールとして注目されているのが、聖隷三方原病院(浜松市北区)の森田達也氏らが開発した、予後3週間未満である可能性を示すPPI(Palliative Prognostic Index、表2、関連記事)だ。PPIは、医師の主観を入れずに経口摂取の低下、浮腫、安静時呼吸困難、せん妄などの患者の症状から予後を算出する。スコアの合計点数が6点以上の場合、3週間以内に死亡する確率が高い。

 

表2 PPI (Palliative Prognostic Index)

表2 PPI (Palliative Prognostic Index)

合計点数が6点以上の場合、3週間以内に死亡する確率が高い(感度80%、特異度85%)

(出典:Morita T.Support Care Cancer 1999;7:128-33.)

 

複数の予後予測ツールの予測精度を検討した試験では、PPIは在宅、緩和ケア病棟など使用環境を問わず、その予測精度は69%以上で、使い勝手の良さを示す実施可能性は90 %以上という結果だった。血液検査を必要としないため、日常的に使用しやすい予後予測ツールといえる。

 

 

3週間以内に死亡する確率が高いのかどうか、予後予測の結果によっては最善な緩和ケアの内容も変わってくるため、「余命が日、週、月単位なのか。予後予測の限界を踏まえた上で、どのような緩和ケアが最善かを考えることが重要だ」と余宮氏は強調する。

 

その他にも身体所見からおおよその余命を推測できる。例えば、「動けなくなって食欲が乏しくなると、大体1カ月以内」(余宮氏)や「呼吸が苦しくなり、血圧が低下して、物が食べられなくなり、寝ている時間が長くなると余命1週間程度の可能性が高い」(立川在宅ケアクリニック[東京都立川市]院長の井尾和雄氏)。

 

また、死の1週間前から徐々に出現する「早期死亡前兆候」にはパフォーマンスステータス低下、意識レベル低下、水分の嚥下困難が、「晩期死亡前兆候」には尿量減少、死亡喘鳴、無呼吸、下顎呼吸、チアノーゼ、チェーンストークス呼吸、動脈触知不可などがある。 

 

 

【緩和ケア 7つの誤解】

誤解1◆緩和ケアは癌治療後に開始

誤解2◆予後は予測できない

誤解3◆緩和ケアは痛みの緩和

誤解4◆医師の説明を患者は理解している

誤解5◆レスキュー薬はできるだけ制限

誤解6◆モルヒネは命を縮める

誤解7◆点滴しないと死期が早まる

 

<掲載元>

日経メディカルAナーシング

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  • 1.「照射赤血球濃厚液(RCC)」は温度管理が不適切になると、機能低下が生じるため、冷凍した保冷剤を入れた保冷搬送容器を用いて搬送した。
  • 2.「照射赤血球濃厚液(RCC)」と「新鮮凍結血漿(FFP)」を1つの保冷搬送容器に梱包して丁寧に搬送した。
  • 3.「新鮮凍結血漿(FFP)」は、温度管理が不適切になると、機能低下が生じるため、保冷剤を入れた保冷搬送容器で搬送した。
  • 4.病棟では、「照射赤血球濃厚液(RCC)」は一般用冷蔵庫へ、「新鮮凍結血漿(FFP)」は一般用冷凍庫へ分けて収納した。
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