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2016年03月12日

特定看護師としての活動を通して考える臨床現場での働き方|「日本救急医学会関東地方会学術集会」より

特定看護師が誕生したことで、「『チーム医療の新しいカタチ』ができてくるのではないか」と話す木澤氏

 

昨年10月よりスタートした「特定看護師制度」。今年に入ってからは、研修を終えた特定看護師が臨床の現場で活躍しはじめています。

 

そのような状況のなか、去る2月6日(土)に開催された「第66回 日本救急医学会関東地方会 学術集会」内の教育講演『さあはじめよう特定看護師 ~救急領域で特定看護師はいかに働くか~』では木澤晃代氏(日本看護協会看護研修学校)が、自身の特定看護師としての活動を通して考える臨床現場での特定看護師の働き方や期待することなどについて講演を行いました。

 

【トピックス】

「特定行為をやらないことを選択する」が重要

特定行為研修で知った「医師の患者の見方」と「看護師の患者の見方」の違い

自分が患者になったとき、どういう看護師に看護してほしいか?

 

「特定行為をやらないことを選択する」が重要

木澤氏はまず、特定行為についての基本事項を簡単に説明した後、特定行為を行う際に必要となる手順書について説明しました。

 

手順書は、実際に看護師が特定行為を行う際、医師の指示書代わりになるもので、個々の患者別にその都度作成するのではなく、あらかじめ作成しておきます。
その中には「看護師に診療の補助を行わせる患者の病状の範囲」、「診療の補助の内容」など、以下の項目が含まれていなければなりません。

 

1 看護師に診療の補助を行わせる患者の病状の範囲

2 診療の補助の内容

3 当該手順書に係る特定行為の対象となる患者

4 特定行為を行うときに確認すべき事項

5 医療の安全を確保するために医師又は歯科医師との連絡が必要となった場合の連絡体制

6 特定行為を行った後の医師又は歯科医師に対する報告の方法

厚生労働省「手順書とは」より)

 

これらの項目を含んだ手順書は、特定行為を行う各医療機関の判断で、記載事項以外の事項やその具体的内容を追加して作成してもかまいませんが、現在、多くの医療機関ではマンパワー不足により作成が難しいことや、特定行為について標準的な例が必要とされていることなどから、公益社団法人全日本病院協会が「特定行為に係る手順書例集」を作成し、現在、同協会や厚生労働省のホームページで公開されています。

 

木澤氏は「手順書を用いて特定行為を行うことはもちろん重要ですが、(手順書を用いた上で)『(特定行為を)やらないことを選択する』方が特定看護師にはより重要になります」と話します。その理由を、「特定行為を行うことで患者さんを重症化させないため」だと説明しました。

 

特定行為研修で知った「医師の患者の見方」と「看護師の患者の見方」の違い

手順書に書かれた病状と患者の病状が合致していればもちろん特定行為を行いますが、手順書には大まかな数値しか書かれていないこともあり、木澤は「特定看護師は手順書の示す病状と患者さんの病状が合致するかどうかを判断する必要がある」と言います。その判断を修得するのが特定行為研修です。

 

研修は大きく「共通科目」と「区分別科目」から構成されており、「共通科目」は研修を受けるすべての看護師に必須の科目で、臨床病態生理学や臨床推論、フィジカルアセスメントなどを学びます。そして「区分別科目」は38の特定行為を分類した21の「特定行為区分」の中から自身が選んだ特定行為区分の科目を学びます。

 

それぞれの科目は講義と演習または実習による履修ですが、木澤はこの研修により、「医師と看護師で患者さんの見方がこんなにも違うのか」ということに驚いたといいます。

 

それまで木澤は、患者の見方は医師でも看護師でも同じだと思っていたそうです。しかし、研修を受けるうちに「医師はどう診断し、どういう薬を使って患者さんを治療していくかを前提に考えており、看護師はどうしたら患者さんを楽にできるのかというケアを前提に考えているということが分かった」と話します。

 

そして、それが分かったことで、今まで臨床現場でいくつか疑問に思っていた医師の言動も「少しだけ理解できるようになりました」と笑うと、会場にいる参加者からも笑い声が聞かれました。

 

自分が患者になったとき、どういう看護師に看護してほしいか?

実際の現場で期待される特定看護師の役割について、木澤氏は「現在、医療はチーム医療がベースになっており、各職種の専門性が高くなっています。しかし、専門性が高くなると医療を受ける中心のはずの患者さんが取り残されることがあり、それを防ぐために全体をまとめる役割が必要となります」と述べ、医師の考え方も理解でき、ケアの視点からも考えられる特定看護師だからこそ、その役割を果たすことができると説明します。

 

実際に臨床現場で特定看護師として活動する木澤によると、最初は特定行為を看護師が行うことについて、約4割の患者からは「やはり医師にしてほしい」という要望が聞かれたといいます。しかし、少しずつ実績を積むことで、患者を含め、施設全体の理解・認識も進み、現在は多職種で行うカンファレンスの相談や調整を行うなど、多職種連携にも成果を上げている様子が話されました。

 

さらに「私には責任が持てない」という理由で特定研修を受けるのをためらう看護師がいると話し、「患者さんを看ることについての責任は、特定看護師でなくても同じ」だと続けます。そして、「自分が患者になったとき、どういう看護師に看護してほしいか」を考えてほしいと、会場の参加者に訴え、最後に、「特定看護師制度は、これまで医師任せにしていたことを、各職種で分担することではないでしょうか」と話し、講演を締めくくりました。

 

 

 

「特定看護師」は個人のキャリアアップのためだけではなく、施設全体、さらには看護師という職能集団全体のボトムアップにつながる制度だと、木澤は講演の中で話していました。

特定行為研修はまだ始まったばかりであり、特定看護師自身はもちろん、特定看護師を有する施設もまだ手探り状態なのが実情ですが、今後どのように発展していくのか、看護roo!編集部では引き続き注目していきたいと思います。

【看護roo!編集部】

 

関連記事はこちら

ついに臨床に登場した「特定看護師」の現状と課題は?|「日本救急医学会関東地方会学術集会」より

 

2016年2月6日(土)
第66回 日本救急医学会関東地方会 学術集会
教育講演​『さあはじめよう特定看護師 ~救急領域で特定看護師はいかに働くか~』

 

【司会】

竹原典子(日本医科大学付属病院)

 

【講師】

木澤 晃代(日本看護協会)

 

【会場】
都市センターホテル(東京都千代田区)

 

【学会HP】

第66回 日本救急医学会関東地方会 学術集会

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コメント一覧(1)

1聡美2016年03月13日 11時34分

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