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2016年02月12日

「てんかん」の地域連携で、看護師の仕事はどう変わる?

「てんかん」と聞いて、ぱっと症状・治療法が浮かぶ看護師はどれほどいるでしょうか?

日本はてんかん医療後進国です。

 

国内にはおよそ120人に1人の割合でてんかん患者がいると言われているにもかかわらず、医学部・看護学校とも十分な教育がされず、卒業後にも学ぶ機会はほとんどありません。

 

専門医の不足も深刻で、多くの患者が正しい診断や治療を受けられずに苦しんでいます。

 

 

2015年2月、WHO執行理事会が、てんかん医療の推進を世界に求める採択を決議し、国内でも厚労省がてんかんの治療体制を整備しました。

 

同年11月には全国で8つの「てんかん拠点病院」が選出されています。

 

これにより、「がん」同様「てんかん」の地域連携が本格化し、1次(プライマリケア医)、2次(神経学専門医)、3次(てんかん専門医)体制の診療が実現される見込みです。

看護師の役割は、今後どのように変わっていくのでしょうか?

 

【目次】

 

てんかん治療では後進国の「日本」

日本においててんかんの発作症状や治療法は、医療者でさえ正しく認識していないのが現状です。

てんかんとは、大脳ニューロンの過剰な活動による発作を反復する疾患の総称。

つまり、1つの疾患ではなく疾患の集合体のこと。

 

そのため発作の種類は多岐にわたり、「突然白眼になって泡を吹いて倒れる」といったよく知られる発作イメージ以外にも、しゃっくりのように体がピクンと動くだけの発作、動きが数十秒間止まるだけという発作なども存在しています。

 

しかし、国内にはてんかんの専門医が不足しており、治療はもとより多くの患者が正しい診断すらつけられずに苦しんでいるのです。

 

啓蒙も不十分で、未だに「てんかん患者が妊娠をしてはいけない」などという、誤った指導をしている医師もいるほどです。

日本は、てんかん治療では後進国と言わざるを得ないのが現実なのです。

 

てんかんの歴史は「差別」や「偏見」との戦い

なぜ、日本のてんかん治療はここまで遅れてしまったのでしょうか?

 

それには、「てんかん」という病気の辿ってきた歴史が関係しています。

てんかんは古くからある病気の一つで、ソクラテスなども罹患していた記録があるほど。

しかし、激しい全身けいれんなどを伴うことから、昔は「悪霊や狐などのつきものの仕業」と考えられ、差別の対象となっていました。

脳の病気ではなく精神疾患の1つだと考えられていた時代もあります。

 

また、現在でも車や作業現場で事故を起こした人に「てんかん」があることがわかるや、たとえ薬で10数年間発作が抑えられていたとしても大きなニュースになります。

それを見た企業はリスク回避のためにてんかん患者の就職に難色を示し、患者たちは、「就職に影響する」「今の仕事を失いたくない」という気持ちから病気を隠すようになります。

 

つまり、てんかん治療において、患者がより良い医療を求めて声を上げることができない状況が現在まで続いているのです。

 

また、医療側の問題もあります。

てんかんは、幼い頃には小児神経科や小児科で診療科が統一されていますが、成人すると、精神科、脳神経外科、神経内科と窓口が複雑化します。

しかも、成人を診ることのできる専門医は極めて少なく、患者のキャリーオーバーが深刻化しているのです。

 

これには、診療科の横の連携が取りにくい日本式医療の構造的な欠陥も関係しています。

てんかんセンターなどの設立でハード面の充実が図られても、診療科の連携がなくては一貫して一人の患者を診続けるのは難しい。

 

患者は、社会的差別や偏見とともに、こうした治療体制の不備にも苦しんでいるのです。

 

「てんかんを知る」ことから始めよう

てんかん患者のQOLは実にさまざま。

てんかんと診断されてから一生発作がおきずにほとんど日常生活に困らない人もいれば、生まれつき脳性麻痺などを合併していて一人では生活することが困難な人も。

まさに、患者の生活を見つめる看護師のケアが欠かせない疾患であると言えるでしょう。

 

先に選ばれた8つのてんかん拠点病院では、すでに相談窓口を開設したり、適切な診断や治療が受けられる機関を紹介する業務もはじまり、その中心となっているのが看護師です。

 

てんかん治療が普及することで、大学病院などでは、てんかん治療に欠かせない終夜脳波検査を担当する看護師もでてきます。

一般のクリニックでも、小児患者と学校を結ぶ架け橋となる場面がでてくるでしょう。

つまり看護師は、患者と医療、患者と社会を結ぶ重要な役割を担っていくことになるのです。

 

まずは、医療者がてんかんの正しい知識を身につけることが第一歩。

患者に最も近い看護師が、てんかんという病気の実態、患者の置かれている状況を把握し、社会にてんかんへの認知を広げていくことが求められています。

 

毎年3月26日は「パープルデイ」という、てんかんの啓蒙活動が世界中で開かれる日。

日本でも各地で講演会やイベントが開催されますので、この機会に、より深くてんかんについて知ってみてはいかがでしょうか?

 

市民講座などの情報は、JEPICAwebサイトより

 

※ 拠点病院…東北病院、自治医科大付属病院、西新潟中央病院、日本医科大武蔵小杉病院、静岡てんかん・神経医療センター、鳥取大医学部付属病院、岡山大病院、広島大病院

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コメント一覧(1)

1匿名2016年02月15日 12時15分

てんかんは怖いですね

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