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2015年12月28日

看護必要度に「M項目」新設、厚労省が提案|2016診療報酬改定

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中央社会保険医療協議会(中医協)は12月9日の総会で、2016年度診療報酬改定における入院医療のあり方について議論した。急性期医療の担い手である7対1病床が多い現状を踏まえ、平均在院日数の短縮、「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)の見直し、「自宅等への退院割合」(以下、在宅復帰率)の要件の厳格化について議論した。

(二羽 はるな=日経ヘルスケア)

 

2016年度診療報酬改定における入院医療のあり方

 

2014年度改定では看護必要度の見直しによる実質的な要件の厳格化や、在宅復帰率の要件の新設などが行われた。その結果、2014年度改定の後に7対1病床は初めて減少に転じた。だが、2015年10月には再び増加。依然として、7対1病床は全ての種別の中で最も多い病床となっている。

 

2016年度改定の基本方針では、医療機能の分化や連携を重点課題に位置付け、急性期、回復期、慢性期などの医療機能の分化・強化や連携を推進するとしている(関連記事:2016年度診療報酬改定の基本方針固まる)。

急性期入院医療についても、より効率的・効果的に行われるよう、厚生労働省は7対1病床をさらに削減したい考えだ。

 

中医協では(1)平均在院日数、(2)看護必要度による急性期の患者像の評価、(3)在宅復帰率――のあり方について議論した。

 

7対1病床の平均在院日数の要件は、2012年度の改定で19日から18日に短縮された。厚労省の資料によると、7対1入院基本料を算定する病院のうち、約6割は平均在院日数が10~15日だった一方、17日を超える医療機関も約8%あった(図1)。平均在院日数が長い上位10%の病院とそれ以外の病院を比較すると、手術や放射線治療、化学療法、1日当たりレセプト請求件数などのいずれも、平均在院日数の長い病院では少なかった。

 

7対1一般病棟入院基本料届け出病院の平均在院日数

図1 7対1一般病棟入院基本料届け出病院の平均在院日数

約6割は平均在院日数が10~15日だった一方、17日を超える医療機関も約8%あった。(出典:第318回中医協総会資料) 

 

これらのデータを基に、厚労省は「平均在院日数が長い病院では、医療密度が低い傾向がある」と説明。その評価のあり方について検討した。

 

健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏は、「7対1病床の減少幅が1万床程度にとどまっている現状を重く受け止め、要件が妥当かどうかを検討すべきだ」との見解を示し、平均在院日数の要件を短縮することを求めた。一方、日本医師会副会長の中川俊男氏は「平均在院日数の短縮はもう限界にきている」と反論。両者の主張は平行線をたどった。

 

看護必要度を大幅見直し、手術直後の状態を評価する「M項目」新設

看護必要度については、救急搬送患者、手術直後の患者、認知症やせん妄状態の患者を評価するため、項目の見直しをこれまでに検討してきた(関連記事:「重症度、医療・看護必要度」は見直しの方向)。今回は新たな項目の見直し案が示された(図2)。 

 

厚労省が示した一般病棟用の看護必要度の見直し案

図2 厚労省が示した一般病棟用の看護必要度の見直し案

グレーの部分が今回の変更点。救急搬送患者や手術直後の患者、認知症やせん妄などの状態を看護必要度で評価するのが狙い。重症者の定義に「A項目3点以上」「M項目1点以上」を加えた上で、該当患者割合を引き上げるとみられる。(出典:第318回中医協総会資料) 

 

項目の見直しでは、A項目に「救急搬送後の患者(搬送日から1~2日間程度)」(2点)を追加するほか、B項目の「起き上がり」「座位保持」を削除し「危険行動あり」(2点)、「診療・療養上の指示が通じない」(1点)を追加。

さらに、手術直後の患者を評価するため、新たにM項目を設け、「開胸・開頭の手術(術当日から5~7日間程度)」「開腹・骨の観血的手術(術当日から3~5日間)」「胸腔鏡・腹腔鏡手術(術当日から2~3日間)」「その他の全身麻酔の手術(術当日から1~3日間程度)」(いずれも1点)とすることを提案した。従来の「A項目2点以上かつB項目3点以上」に加え、「A項目3点以上」「M項目1点以上」も重症者の定義に含める。 

 

厚労省がこの見直し案に近い形でシミュレーションを行ったところ、該当患者数は約3割増加した。該当患者割合の平均値は、現行では21.0%、見直し案では26.5%となり、該当患者割合が20%を下回る病院は9.3%、25%を下回る医療機関は43.0%、30%を下回る病院は75.6%となった。

 

併せて、厚労省は該当患者割合のラインを22%~28%まで引き上げたシミュレーション結果を示した(図3)。仮に該当患者割合の基準を25%に引き上げた場合、ほかの病棟から7対1病棟に転棟する増加も含めて7対1病床は2.9~4.9%ほど減ると厚労省は推計する。仮に4.9%とすると、約1万8000床の減少となる。 

 

看護必要度の見直し案によるシミュレーション結果

図3 看護必要度の見直し案によるシミュレーション結果

基準を25%に引き上げた場合、7対1病床は2.9~4.9%ほど減ると厚労省は推計する。23%が病床数の増減の最も少ないラインとなる。(出典:第318回中医協総会資料) 

 

看護必要度の項目の見直しに対しては、委員から反対意見はなかった。該当患者割合の引き上げについて、幸野氏は「該当患者割合を25%に引き上げても1万8000床程度の減少にしかならない。25%は最低限の基準だ」と言い、少なくとも25%まで引き上げることを要望した。一方、全日本病院協会副会長の猪口雄二氏は「25%まで引き上げれば、4割以上の病院が該当患者割合を満たせなくなる。いくらなんでもやり過ぎではないか」と話し、懸念を示した。

 

在宅復帰率の要件も厳格化する方向

在宅復帰率について、7対1病棟の在宅復帰率は平均約94%で、現行の要件である「75%以上」を大きく上回っている。ただ、自宅や高齢者向け集合住宅などに直接退院した割合は約78%で、それ以外は回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟・病室、「在宅復帰機能強化加算」を届け出ている療養病棟などに退院していた。

 

そこで、厚労省は在宅復帰率の要件の見直しを提案。例えば、在宅復帰率の計算式で、回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟・病室、在宅復帰機能強化加算を届け出ている療養病棟などを分母、分子の両方から除外することや、75%のラインを引き上げることなどを見直しの例として示した。なお、計算式を見直した場合、在宅復帰率は94.3%から94.0%に微減した。

 

厚労省の例示に対し、中川氏は「2年前に導入したばかりのものをすぐに変えるべきではない」と主張。猪口氏も「在宅復帰・在宅療養支援機能加算を算定する老健施設が出てくるなど、いい方向に進んでいる。あまり大きな変更はしない方がいいのでは」と話し、慎重な意見が相次いだ。

 

さらに厚労省は、現在7対1入院基本料を届け出ていた病棟がほかの入院基本料に届け出を変更する際、一部の病棟に限って病棟群単位で7対1入院基本料の届け出を併せて認める一時的な措置を導入することを提案。現在は一つの病院に複数の一般病棟がある場合、同じ区分の入院基本料で算定する。このため、7対1から10対1などに届け出変更する際に看護職員数の変動幅が大きいことなどが問題となっていた(図4)。 

 

一時的に複数の入院基本料の届け出を認めた場合のイメージ

図4 一時的に複数の入院基本料の届け出を認めた場合のイメージ

一時的に病棟群単位で複数の入院基本料の届け出を認めると、病棟ごとの重症度が異なる場合に看護必要度の基準を満たしやすくなったり、看護職員数の急激な変動を緩和できるといったメリットがある。(出典:第318回中医協総会資料)

 

この措置は、7対1からほかの入院基本料への移行を促すためのものといえる。この提案に幸野氏は「先に7対1の要件について議論した上で、転棟のためのプロセスについて議論すべきだ」と話し、要件の厳格化と届け出変更を促す措置について並行して議論することに反対した。一方、診療側からは「看護師のやり繰りがしやすくなる」として賛成する声が上がった。

 

要件の厳格化は7対1病床の削減に直結するため、診療側と支払い側で主張が真っ向から対立した。ただ、全体として7対1病床を削減する方向に進むのは間違いなさそうだ。 

 

<掲載元>

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