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2015年12月30日

ある緩和ケアナースの仕事と本音

緩和ケアを担当する看護師は、具体的にどのように患者さんとその家族を支えているのでしょうか。

死におびえる患者さんと家族との間に起こりやすい、思いの行き違いにどう対応するのか、緩和ケアナースに求められる技術について、あるアメリカの看護師の事例を紹介します。

 

 

 

緩和ケアナースの仕事

がん病棟で看護の経験を積んだセレサ・ブラウンさんは現在、在宅で終末期を過ごすことを希望する患者さんのケアを専門としています。

緩和ケアの仕事について、ブラウンさんは「話し合うこと」と「傾聴すること」が重要な要素であると言います。

 

夜中に目が覚めてしまい、そのまま目が冴えて眠れない終末期の患者さん。

病気や死への不安から眠りが浅くなっているのかもしれません。

 

「しかし、それは悪いことだけでなく、患者さんに自分の死について向き合う機会をもたらすのです」とブラウンさんはプラスに受け止めます。

こうした時に患者さんのそばで話にじっくり耳を傾け、会話を深める役割を務めるのは看護師です。

このため、ブラウンさんは「実際には夜勤が仕事の中心」と考えているそうです。

 

「患者さんにとって、ごく自然な環境で限られた大切な時間を過ごすことをサポートしたい」この思いが、ブラウンさんに緩和ケアを在宅で提供することを決断させました。

 

ブラウンさんの病院勤務時代に患者さんの身になって考えたことが根底にあります。

入院中の患者さんは、看護師による処置などの理由で就寝中に起こされることも多々ありますが、ブラウンさんは常々不自然なことだと感じていました。

 

また、入院中の患者さんがいつでも家族と過ごせる状態にないことについても、「長年連れ添ってきたパートナーがいるのならばなおさら、そのパートナーと離れ離れに過ごすことは患者さんにとって不自然なこと」と感じていたのです。

 

在宅での看取りを希望する家族がいる場合には、在宅での療養で、愛情を随所に感じながら患者さんは大切な時を過ごすことができるとブラウンさんはその意義を説明します。

 

患者さんと家族の間を取り持つ役割

ブラウンさんは看護するなかで、患者さんの実際の状況と家族の思いに差を感じることもあると言います。

ある家族は「夫を飢え死にさせたくない。少しでも食べて欲しい」と、愛情ゆえに食事をつくってあげたいという思いを抱いていました。

 

しかし、消化機能が低下した終末期の患者さんにとって、食事は相当な負担になるとブラウンさんは指摘します。

 

緩和ケアナースの立場でブラウンさんがとった対応は、夫に対する妻の思いを認めたうえで、できる限り優しい言葉を選んで、夫である患者さんの実状を妻へ説明して理解してもらうことでした。

 

さらに「食事をつくること以外」で患者さんへの愛情を表現する手段として、手をつないだり、会話を楽しんだり、いつもそばで過ごすことなどを提案したそうです。

 

緩和ケアナースは、患者さんの思いや病状を家族に代弁しながら、患者さんと家族の限られた時間をサポートすることも大切な役割です。

 

患者さんやその家族に死について尋ねられたらどう答える?

緩和ケアの看護師は患者さんから「死」について問われることがあるのでしょうか?

 

多くの人が気になるけれど対応に困惑してしまう内容でもあります。

 

これまでブラウンさんに死について直接質問した患者さんはいません。

「おそらく患者さんは自分の死について恐れているから」と、彼女は考えています。

 

ただ過去に一度だけ、患者さんの家族から「夫はまもなく亡くなってしまうのでしょうか?ただ事実を教えてほしいのです」と尋ねられたことがあるそうです。

 

しかし、看護の経験が浅かった当時のブラウンさんは「そうです」と肯定することができませんでした。

 

経験を積んだ今ならば、きちんとご家族の納得のいくように答えられたはずと振り返ります。

「何事も可能性を信じてポジティブな発想を」と医師は言いますが、時にそれは患者さんや家族にとって事実を理解する機会を失う危険性があるとブラウンさんは考えています。

 

広まりつつある在宅での緩和ケア

緩和ケアナースは、病院や施設、在宅といろいろな活躍の場があります。

日本でも終末期の患者さんが、在宅で最期を迎えることを選択する割合が少しずつ増えており、今後もこの傾向が強まっていくと考えられています。

 

緩和ケアナースは、患者さんとの別れの多いつらい仕事に考えられがちですが、実際には患者さんや家族との関わりのなかで多くの学びを得ることができ、自分を成長させることのできる素晴らしい仕事なのです。

 

(文)A.Brunner

(参考)

A Nurse Reflects On The Privilege Of Caring For Dying Patients(Health News from NPR)

日本における終末期ケア“看取り”の問題点(PDF)(箕岡真子)

 

 

 

 

 

 

 

 

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