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2015年12月05日

ER看護師の離職防止法は「患者さんに安全な医療を提供する」こと?

経験豊富で有能な看護師に同僚として出会ったものの、彼女または彼の配転や退職希望により短期間しか一緒に働けなかったという経験はありませんか。

 

「どうして現場の経験が豊富な看護師はERに勤務して数年で退職してしまうのだろう?」

という米国のある内科医の疑問から生じた考察を紹介します。

 

 

いまだ解明されないミステリー:ER看護師が数年で入れ替わる

医療系情報ウェブサイトに記事を投稿した筆者はトーマス・ペイン氏。

 

彼はERの内科医として12年間の勤務を通じて、臨床経験が豊富で技術の高い医師から学び、手ほどきを受けてきました。

 

「当初は、彼らは最初から素晴らしい医師だったかのように見えた。しかし、自分の経験を積んで技術が上達する過程で、彼らのアドバイスはほとんど経験に基づくものということに気付いた」と言います。

 

ペイン氏が学んだ先生は「良い判断は経験から。経験は悪い判断から得られる」が口癖でした。

 

ペイン氏自身の失敗経験から学びを得て欲しいというスタンスで導いてくれたそうです。

 

ペイン氏は「経験するだけでは信じにくいこともあるけれど、結局はそれが全ての教訓なのかもしれない」と考え、看護師においても同じことがいえるのではないかと推察しています。

 

およそ10年間、郊外にある病院の多忙なED(Emergency Department:救急部)で勤務してきたペイン氏は、そのなかで経験豊富で有能な看護師が、救急部に「訪れては去る」現象を数えられないほど目にしました。

 

最初は、経験豊富で有能な看護師が去るたびに「そこを去る理由」を尋ねていたそうです。

 

ER勤務の過酷なタスク

ペイン氏の推察によると、経験豊富な看護師がERを離れる最大の原因は「労働環境が劣悪」であること。

 

アメリカのERでは、軽傷から重症までの患者さんが休むことなくERにあふれ、看護師はその対応に追われ続けているのが現状です。

 

そんな過酷な労働環境のために、多くの有能な看護師は疲労困憊し、燃え尽き症候群(バ―ンアウト)になり、ERを離れていくのです。

 

ER勤務の医師たちは協同して患者さんを救うことのできる「心身ともに余裕のある経験豊富な看護師」に出会えることを切に願っています。

 

しかし、それはとても難しく、多くの看護師が過酷な労働環境とタスクに追い詰められている現実が浮き彫りになっています。

 

望まれるのは「熟練した」ER看護師

ペイン氏は、熟練したER看護師というのは「本当に患者さんの命を救うことができる。患者さんに潜む真の問題を見つけ出し、事前に防いでくれる」とともに、「医師の治療方針を聞き、医師の動きに注目し、医師ごとの治療の展開方法を理解してくれる」看護師であると言います。

 

必要な看護を行いながら医師の治療をスムーズに進むようにサポートする看護師は、医師から患者さんの命を守るために欠くことのできない大切なパートナーと認識されるでしょう。

 

その信頼や尊敬は看護師の仕事へのやりがいにつながるはずです。

 

ER看護師を離職から守るために必要なこと

「患者さんの安全を守る」ことは、ER看護師の離職と一見関係のないように見える問題ですが、そうではありません。

 

真の問題はアメリカのERには「高齢、病弱、貧困」にある3種類の患者さんがいることなのです。

 

これらに該当する患者さんは受診を繰り返す頻度が高いため、ERを混雑させ、看護師のタスクを増加させる大きな原因となっています。

 

また、患者さんの疾病率と死亡率は、看護師がケアする患者さんがあまりに多い場合に高くなることが、ペンシルベニア大学看護学部教授のリンダ・アイケン医学博士らの研究などで明らかになっているそうです。

 

このため、「高齢、病弱、貧困」な「患者さんの安全を守ること」が看護師の離職を防ぐことにもつながると、ペイン氏は医師の立場から指摘しています。

 

つまり、高齢で病弱、貧困な患者さんに対して丁寧な治療・ケアを行うことで彼らの再診が減り、それがひいては看護師の激務を軽減するため結果的に離職を防ぐというのです。

 

便利なサービスよりも確実な医療ケアの提供を

しかし、現在のアメリカのヘルスケア業界は、患者さんの満足度、ケアの質に着目しています。

 

おいしい食事や便利な駐車場の提供などの患者さんへのサービスを向上させるほうが病院経営者にとって簡単であり、ひいてはコスト削減にもつながるからです。

 

こうしたサービスは富裕層の患者さんが恩恵を受けるだけで現場のケアの質向上には関連性が見られないにもかかわらず、ヘルスケア業界は調査を続けているのです。

 

ペイン氏は、「アメリカ人がみんな病気というわけではありませんが、遅かれ早かれみんな病気になる要素は持ち合わせているのです」と付け加えます。

 

「本当にみんな深刻な病気になった場合に便利な駐車場やペディキュアのサービスなんて何の役にも立たない。医療従事者という患者さんを支援する立場の者として、まずこの事実を公にし、重要性を訴えることが必要です」とペイン氏は訴えます。

 

(文)A.Brunner

(参考)

Want to keep ER nurses from leaving? Focus on patient safety instead of satisfaction. (Kevin MD.com)

Dr. Linda Aiken’s groundbreaking study (Penn Nursing Science)

 

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