看護師の最大の敵は「看護師の上司」?データで見る!ハラスメントの実態

データで見る!ナースの職場ハラスメントの実態

【目次】

 

職場で受けたハラスメントの相手は、「看護師の上司」が圧倒的多数

職場でのハラスメントが問題視されて久しい昨今。

世論deナースでは、「職場で受けた“ハラスメント”の相手」についてアンケート調査を実施しました。

 

看護師が職場で受けたハラスメントの相手は?

(出展)世論deナース「上司、医師、患者家族…職場で受けた「ハラスメント」の相手は?」

 

213票中76票で最多となったのは、「看護師の上司」!これは、「同僚」の2倍以上、「医師」の3倍以上。医療関係者以外で最も多かった「患者さん」と比べても、35票も多いことになります。

 

 

また、別のアンケートで「これまでに受けたハラスメントの種類」を調査したところ、「態度による精神的な暴力」が、219票中100票とダントツの1位に。

 

看護師が体験したことのあるハラスメントは?

(出展)世論deナース「あなたが体験したことのある、職場での「不快な嫌がらせ」=「ハラスメント」は?」

 

 

医療関係の職場でモラハラが起こりやすい理由

なぜ、同じ志を抱いているはずの「看護師の上司」が、「ハラスメント」の加害者や被害者となってしまうのでしょうか?

 

フランスの精神科医、マリー=フランス・イルゴイエンヌは著書「モラル・ハラスメントが人も会社もダメにする(紀伊國屋書店)」の中で、モラハラが特に起こりやすい職場として、サービス関係、教育関係とともに「医療関係」をあげています。

 

その理由には、「仕事の内容が一つに決まっておらず、評価の基準も曖昧なので、仕事に関して誰かを非難しようと思えば容易に非難することができるから」と記されています。

つまり看護師は、臨機応変さが求められる業務内容ゆえに、知らず知らずのうちに加害者にあげ足をとられやすい状況になっているようです。

 

モラハラとパワハラの違いとは?

ところで、「ハラスメント」の存在や言葉自体はよくにするものの、実際のところどんな行動が「モラハラ」「パワハラ」にあたるのかについては、いまいちピンときていない方も多いのではないでしょうか。

 

こうした「パワハラ・モラハラの定義」は、過去の「つぶやき掲示板 ナースカタリーナ」でも論議されていました。

 

「モラハラ、パワハラとはよく聞きますが、ハラスメントって言葉に過剰反応していませんか?(要約)」というトピ主さんの意見に対し、数名の人が「もっとハラスメントについて学ぶべき」「ハラスメントは受け取り側次第」という回答をしています。

 

では一体、モラハラ、パワハラの定義とはどういうものなのでしょうか?以下にまとめてみました。

 

【(職場における)モラルハラスメント】

不当な行為(身振り、言葉、態度、行動)を繰り返し、あるいは計画的に行うことによって、ある人の尊厳を傷つけ、心身に損傷を与え、その人の雇用を危険にさらすこと。

(参照)「モラル・ハラスメントが人も会社もダメにする(紀伊國屋書店)」マリー=フランス・イルゴイエンヌ著

 

【(職場における)パワーハラスメント】

同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、又は職場環境を悪化させる行為。

(参照)厚生労働省 明るい職場応援団

 

モラハラとパワハラには重複している部分も多く、広義では「モラハラの中にパワハラが含まれている」と考えることができそうです。

 

ここでちょっと注意したいのが、パワハラは上司から部下に対してだけ行われるわけではないということ。
前述したアンケートでも、「(私は)師長でしたが部下から逆パワハラを受けた(略)」というコメントがありました。コメントには「逆パワハラ」とありますが、部下から師長に行った場合でも、れっきとしたパワハラにあたるのです。

 

パワハラには上司、部下、先輩間、後輩間、同僚、専門知識の有無なども含まれます。あくまで職場内の立場が被害者より優位であれば、加害者になりえるということを認識する必要があるのです。

 

傷つくのは「被害者が弱い」せい?「セカンド・ハラスメント」とは

では、そうしたハラスメントによる「精神的苦痛」と、単なるストレスの違いは何でしょう?

 

たとえば、ある職場で「態度による精神的な暴力」があったと仮定します。しかし同じようなハラスメントを受けても、ある人は強いストレスを受けて休職し、もう一人は多少のストレスは感じたものの、通常通り業務をおこなうことができていたとしたら……。

 

もしかすると周囲は、つい休職した被害者側が「精神的に弱かったから」と考えてしまうかもしれません。

しかし、実は周囲の人が被害者の責任と考え、態度に示したり見過ごしたりすることもハラスメントになりえます。これをセカンド・ハラスメントと言います。

 

セカンド・ハラスメントを防止するには、ハラスメントが職場環境を悪化させ、組織に不利益を生じさせることを皆がしっかりと認識し、職場で起こったハラスメントが他人事ではないという認識を強くもつ必要があります。

 

ハラスメントを防止するには

●加害者にならないために

加害者が上司の場合、業務上必要な指導とハラスメントの線引きは難しいところ。指導や注意は「事柄」を中心に行うことが重要です。個人の「人格」を攻撃しないように注意すべきだということを意識して、指導にあたりましょう。

 

●被害者になっているかも?と思ったら

ハラスメントの被害者は、「自分に原因があるのかも」と思いがち。しかし、仕事の進め方をめぐる疑問や戸惑いがあれば、はっきりとその気持ちを相手に伝える必要があります。また、ハラスメントを防ぐには組織としての働きかけも不可欠です。トップに訴え実情を知ってもらうことで、ハラスメントについて、意見がしやすい職場環境が得られます。

 

どんな職場環境であっても、「看護をする」という目的は一致しているはず。ハラスメントをなくして職場環境を良好にすることは、なにより、患者さんのためであるということを忘れないようにしたいですね。

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