ベテラン看護師の態度にモヤモヤ
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2015年10月15日
【INDEX】
「血圧の薬を朝に飲むか、それとも、寝る前に飲むか?」
糖尿病薬のように「時間薬」としてあまり認識されていない血圧の薬は、医師から1日1回薬を飲みましょうと言われた場合、日本とアメリカでは以下のように処方箋の指示が若干異なります。
自身の経験上、アメリカでは“1日1回ならどちらでもよさそう”と朝食後に他の薬と一緒に飲む患者さんが圧倒的に多いように思います。
今回、血圧の薬を飲むタイミングが数年後の健康状態に大きな違いをもたらす可能性があるという研究が、今年9月欧州糖尿病学会の医学誌「Diabetologia」で発表されました。
糖尿病を持たない高血圧症患者2000人以上を対象に、朝に薬を飲むグループと寝る前に薬を飲むグループに分け、6年間追跡調査した研究で、以下の検証結果が発表されました。
・脳卒中・心筋梗塞や腎硬化症などの合併症を起こしやすいnon-dipper型高血圧症(夜間の血圧が下がらない高血圧)の発症率が、朝に薬を飲むグループが52%だったのに対し、寝る前に薬を飲むグループは32%に抑えられた。
・血圧の薬を寝る前に飲んだグループは朝に薬を飲んだグループに比べて、糖尿病併発のリスクが57%軽減した。
研究者たちは、
「夜の間に何かが起こっている。高血圧の薬を寝る前に飲むことは、睡眠時の血圧コントロールの改善や新たに糖尿病を併発するリスクを軽減することは明らかであり、血圧治療の理想的な時間帯は夜である」
と結論付けています。
血圧の薬のタイミングがなぜ糖尿病併発に影響するのでしょうか?そのメカニズムには、ある「ホルモン」が関与しているようです。
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬・ACE阻害薬・β遮断薬などの高血圧薬は、血管を収縮させ血圧を上げるホルモン「アンジオテンシン」をターゲットとしています。「アンジオテンシン」は、他にも肝臓から分泌されるグルコースを上昇させ、インスリンの効き具合を下げてしまう作用があります。
つまり、アンジオテンシンを阻害し血圧をコントロールすることは、同時に体内の血糖値を安定させることにつながり、寝ている間のコントロールが重要なタイミングであると述べています。
ただし、夜間トイレに起きる場合、血圧が下がり過ぎてフラフラするなどの症状が起こることも考えられます。24時間携帯型自動血圧測定(ABPM)などで血圧の日内変動などを把握し、血圧の薬のタイミングは医師と相談して決めることをお勧めします。
入院や外来の記録でよく目にする「onset」を紹介します。「onset」は「発症」という意味です。「病気のスイッチをオンにセットする」=「発症」というイメージです。
例えば、突然の腰痛が発症した場合には「sudden onset of back pain」、徐々に発症した場合には「gradual onset of back pain」といいます。
今回紹介したニュース原文で、「onset」を含むsentenceを紹介しましょう。
Lowering sleep-time blood pressure could be a novel method for reducing the risk of new-onset diabetes.
(睡眠時間の血圧を低く保つことは、糖尿病の発症リスクを抑える今までにない新しい方法となるかもしれない)
【Sources】
Timing Your Blood Pressure Meds Right Might Prevent Diabetes
Blood pressure medication before bed could lower risk of diabetes
【筆者】佐藤まりこ
2001年旭川医科大学医学部看護科を卒業。2010年California RN Licenseを取得後、LAでRN(Registered Nurse)として活躍中。
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