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2015年09月21日

人が辞めていく病院と不登校が多い学校の共通点

【日経メディカルAナーシング Pick up】

 

記者の眼―人が辞めていく病院と不登校が多い学校の共通点

(友吉由紀子=編集委員)

 

医療・介護業界では、相変わらず人手不足が深刻で、病院や介護施設などの現場では日々、看護師や介護スタッフの採用に追われているのが実情だ。

 

介護労働安定センター「2014年介護労働実態調査」によると、介護従業者(介護職と訪問介護職)の離職率は平均16.5%。離職率が10%未満の介護事業所が約半数を占める一方で、離職率が30%以上のところが約2割存在している。

介護従業者が職場を辞める理由のトップは、「職場の人間関係に問題があった」(26.6%)。

 

人手不足は看護師も同様だ。2013年度の常勤看護職員の離職率は11.0%(「2014年病院における看護職員需給状況調査」)。

看護師が現在の施設で働き続けたい理由もトップの「通勤に便利」(51.9%)に次ぎ、「人間関係が良いから」(39.2%)が第2位となっている(厚生労働省「2010年看護職員就業状況等実態調査」)。

 

医療・介護関連の職場で働く人たちは、次の転職先を見つけやすいこともあり、ちょっとした人間関係への不満や職場の雰囲気などを理由に離職してしまう傾向があるようだ。

 

「看護師が辞めていく病院、いじめや不登校が多い学校、倒産する会社……。問題のある組織には共通点がある」と話すのは、人材育成のコンサルティングを行う(株)原田教育研究所代表取締役社長の原田隆史だ。

 

「組織のトップに明確な目標がなく、リーダーシップを発揮していない場合が多い。職員はやりがいを感じることができず、不安で元気がない」と説明する。

 

職場の今の問題点を知るための2つの指標

では、職員一人ひとりが生き生きと働く組織にするためにはどうしたらよいのか。目に見えない職場の問題点を明らかにするために、原田氏が注目するのは、「存在感」と「不安感」という2つの指標だ。

 

「存在感」とは、自尊心が満たされているかどうかの度合いを表した指標で、自分の存在が認められて「働きがい、やりがい」を感じるほど強くなる。「不安感」は、職場の秩序が保たれていない馴れ合いの状況で感じる不安の強さを示した指標だ。不安感が低いほど「働きやすい」と感じ、不安感が強いと仕事や職場がつらくなる。

 

部署内の職員の「不安感」と「存在感」を把握するには、それぞれ5点満点で10個の質問に答えてもらい、合計点数(10~50点)を算出。「存在感」の点数を縦軸に、「不安感」の点数を横軸にグラフにプロットすると、その人の心理状態を視覚的に把握できる(図1)。 

 

個人の心理状態を表す4つの群

図1 個人の心理状態を表す4つの群

 

「『不安感』が弱く、『存在感』が強いほど仕事に誇りを持ち意欲的な状態(満足群)だが、『不安感』が強く『存在感』が弱いと、職場に適応できず、つらい状態(成長群)だ」と原田氏は言う。

 

 

さらにグラフ上に部署全員の点数をプロットすると、職場の状態を一目で把握することができる。

 

「不安感」が弱く「存在感」が強い職員が多いのが理想型の職場だ(図2)。

 

「理想型」の職場

図2 「理想型」の職場

 

人間関係も良好で、職員の定着率も高い。「職員は皆、職場のルールを尊重し、お互いに認め合う雰囲気があり、生き生きと活動している。患者や利用者に対し、心の込もった対応ができる」と原田氏は説明する。原田氏がこれまでに収集したデータを分類すると、理想型も併せて、主に5つの職場のタイプがあるという(『日経ヘルスケア』9月号参照)。

 

その中で、病院などの職場で多く見られるのが「荒れ始め型」(図3)。

 

「荒れ始め型」の職場

図3 「荒れ始め型」の職場

 

満足している人とそうでない人が二極化していて、つらい思いをしている職員も少なからずいる状態だ。「様々な職種の人が一緒に働いているため、職場全体のルールがあまり定着していないのが特徴」と原田氏は説明する。 

 

 

こうした「荒れ始め型」の病院を理想型に導くには、例えば、以下の取り組みが効果的だという。

  • ・挨拶などの職場全体のルールを明確にし、職員の「不安感」を軽減する
  • ・朝礼などで異なる職種の人たちみんなが発言する機会を作る
  • ・部下の話をよく聞き、風通しを良くする
  • ・不安感の強い職員をよく観察し、面談を行う
  • ・表彰などで、部下を褒める機会を増やす

 

結局、不安感をなくし存在感を高めることは、「働きやすさ」と「働きがい」を生み出すことにつながる。「経営者がリーダーシップを取り、職員の『存在感』を高める取り組みを行えば、組織はまだまだ変えられる」と原田氏は話している。

 

 

<掲載元>

日経メディカルAナーシング

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コメント一覧(3)

3匿名2015年09月24日 19時23分

納得・・・

2匿名2015年09月23日 10時30分

確かに働きやすかった職場は記事の通りでした。働きにくい職場は人間関係も医療も最悪でした。

1匿名2015年09月21日 18時22分

わかります

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