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2015年09月14日

2016診療報酬改定|「重症度、医療・看護必要度」は見直しの方向

【日経メディカルAナーシング Pick up】

 

中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」(会長:国際医療福祉大大学院教授・武藤正樹氏)は8月26日、これまでの検討結果を整理した中間とりまとめ案をおおむね了承した。9月の中医協診療報酬基本問題小委員会に報告し、2016年度診療報酬改定に向けてさらに議論を深める。

(二羽はるな=日経ヘルスケア)

 

中医協の診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」

 

中間取りまとめ案には、2014年度の「入院医療等における実態調査」を踏まえ、急性期入院医療、短期滞在手術等基本料、総合入院体制加算、有床診療所入院基本料、地域包括ケア病棟入院料、慢性期入院医療─などの課題について議論した結果が盛り込まれた。

 

 

急性期入院医療では、医師による頻回の指示の見直しなどが必要な患者像をより適正に評価するよう、「重症度、医療・看護必要度」を見直す方向性が示された。

 

例えば、7対1一般病棟入院基本料の算定病棟では現在、「A項目2点以上かつB項目3点以上を満たす入院患者の割合が15%以上」という重症度、医療・看護必要度の要件が課されている。

だが、この基準を満たさない患者の中にも、医師による指示の見直しや看護師による看護が頻回にわたって必要な患者が一定数いるとし、医学的な処置の必要性を評価するA項目のみの基準の追加を求める意見が上がっていた(関連記事:医学的処置の必要性をより反映した基準に)。

 

そこで、厚生労働省はDPC対象病院の患者を対象とした調査結果を基に、「A項目3点以上」「A項目2点以上かつB項目3点以上」「それ以外」の三つの患者グループに関して医師による指示の見直し頻度などを分析(関連記事:重症患者の評価指標に「無菌室管理」導入へ)。

結果、「A項目3点以上」と「A項目2点以上かつB項目3点以上」ではおおむね同じか、「A項目3点以上」の方がやや多かったことが分かり、中間とりまとめ案に盛り込まれた。

 

このほか、現行の基準には含まれないものの、医師の指示の見直しが頻回で、急性期の医療の必要性が高い状態として「無菌治療室での管理等」が挙げられた。こうした項目がA項目の指標に追加される可能性もありそうだ。

 

 

日常生活機能を判定するB項目では、認知症、せん妄などでの看護提供頻度が高い病態や状態を評価することも検討された。これらの病態や状態と関係の強い項目として「他者への意思の伝達」「診療・療養上の指示が通じる」「危険行動」の3項目が挙げられた。

 

一方で、現在のB項目にある「寝たきり」「起き上がり」「座位保持」の3項目には極めて高い相関が見られ、「起き上がり」「座位保持」の項目を除いても該当患者割合への影響は小さかった。

このため、B項目のうち「起き上がり」「座位保持」を除き、代わりに「診療・療養上の指示が通じる」「危険行動」の2項目を加えた7項目とすると、認知症やせん妄の患者がより高く評価できることが、中間とりまとめ案に記された。7対1入院基本料を算定している病棟で試算した場合、点数の分布や、3点以上となる患者の割合は、現行と大きな差がなかった。

 

 

地域包括ケア病棟の手術料や麻酔料の扱いについては、「引き続き包括とすべき」という意見と、「包括外も選択肢として考えられる」という意見の両論が併記された。地域包括ケア病棟は検査や画像診断、処置、手術などの大半が入院料に包括されている。

調査によると、地域包括ケア病棟では手術はほとんど行われておらず、行われた手術で多かったのは創傷処理や皮膚切開、胃瘻造設術などだった。ただ、自宅からの受け入れ患者などに幅広い医療を提供する機能を拡充する観点から、手術料や麻酔料を包括外としてはという意見が出ていた。

一方、現状で手術の実施が極めて少ないことなどから、引き続き手術料も包括とすべきという声もあった。

 

 

慢性期医療では、療養病棟入院基本料2の要件として、医療区分2または3の患者割合を新設することや、「うつ状態」「頻回の血糖検査」といった医療区分の評価項目の扱いについて検討する方向性が示された。うつ状態や頻回の血糖検査を行う患者は医療区分2に該当するが、医師による指示の見直しがほとんど必要ない患者が半数以上いたことから、評価項目として適切かどうかを今後議論していく。

 

さらに、障害者施設等入院基本料や特殊疾患病棟入院料を算定する病棟において、意識障害のある脳卒中患者など、療養病棟の対象患者と状態像が重複している患者が一定程度入院していることが指摘された。

 

障害者病棟は処置などを出来高で算定でき、特殊疾患病棟も療養病棟に比べて医療の必要性が高い患者の受け入れを前提とした評価がなされている。だが、実態調査では、脳梗塞や脳内出血などの脳卒中患者のうち、医療区分1の患者が、療養病棟入院基本料2を算定する病棟で44%、障害者病棟で64%、特殊疾患病棟で31%いることが分かった(図1)。

 

図1 脳卒中(脳梗塞、脳内出血など)の患者の医療区分

医療区分1の患者は療養病棟入院基本料2を算定する病棟で44%、障害者病棟で64%、特殊疾患病棟で31%いることが分かった。

第8回診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」資料

(出典)第8回診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」資料

 

こうした結果を踏まえ、障害者病棟や特殊疾患病棟に入院し、意識障害を有する脳卒中患者の多くは、これらの病棟への入院が想定される状態像とは異なり、引き続き入院対象とすることには課題があるとの考えが記された。

 

 

<掲載元>

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  • 1.夜間に十分な睡眠ができるように長時間作用型の睡眠薬を投与する。
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  • 3.夜間は一人で動くと危ないので身体抑制を行ってもよいか、本人とご家族に尋ねる。
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