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2015年07月18日

がん診断に、もう血液検査や生検はいらない?ニオイでがんを嗅ぎ分ける「がん探知犬」

犬が、人間の尿や呼気から「がん」を嗅ぎとることができる、という話を聞いたことがありますか? より正確ながん早期診断法の確立を目指して、世界各地で行われている研究についてご紹介します。

 

犬の嗅覚能力を調べる嗅ぎ分け実験

2014年、イタリアのリサーチセンター(Humanitas Clinical and Research Centre)から、犬のがん探知能力についての新しい調査結果が発表されました。

 

行われた実験は、900人分の人間の尿サンプル(前立腺がんにかかっている患者さん360人分と、かかっていない540人分の尿)のニオイを、2頭のジャーマンシェパードに嗅がせるというもの。実験内容はいたってシンプルですが、その結果はすばらしく、1頭目のシェパードは98.7%、2頭目は97.6%の確率で「前立腺がん患者の尿」を嗅ぎ当てたのです。

 

 

悪性腫瘍が発する「ニオイ」を識別?

犬はいったいどうやって、人間のがんを探知するのでしょうか。それには、悪性の細胞が産生する、ある種の揮発性有機化合物が関係していると考えられています。

 

がん細胞が成長する過程で、細胞内のたんぱく質が一部変質し、細胞膜の成分に過酸化反応が起こることによって、そこからある種の揮発性の有機化合物が産生されることが解明されています。

そして、このがん細胞由来の化合物が、発病早期の段階から尿中や呼気内に排出されるということも、数々の研究結果が示してきました。

 

犬がこの揮発性有機化合物をどのように探知するのか、詳しいメカニズムはまだ解明されていません。ただし、がん細胞が発するこの物質の「ニオイ」と彼らの鋭い嗅覚が、密接に関係していることはわかっています。

 

各国で行われている犬のがん探知能力調査

この類まれなる能力を生かして、前立腺がん・肺がん・乳がんなどさまざまながんをより早期に、正確に診断する技術を開発するため、日本を含めいくつもの国で「がん探知犬」の育成・研究が行われています。

 

イギリスにあるMedical Detection Dogs(メディカル・ディテクション・ドッグス)という団体もそのひとつ。この団体が過去に行った実験では、犬が人間の膀胱がん・前立腺がんを93%の確実性で探知できることが証明されました。Medical Detection Dogsの設立者の1人、クレアー・ゲスト博士は、今回のイタリアでの最新実験結果についてこのように述べています。

 

「この実験は、犬が人間のがんを探知する能力があるということを、さらに深く証明してくれました。また、がんのなかでも、特に前立腺がんにおいて高い確実性を得られたのは非常にうれしいことです」

 

現在イギリスでは、前立腺がんの診断は、医師の診察と血液検査、生検など複数の方法を併せて行われますが、「それらは残念なことに、あまり信用できるものではありません」とゲストさんは話します。

 

「従来の検査の信頼性を高めるため、長年にわたり多額の資金を使って研究が行われてきました。でも、いまだに目立った進歩は見られないのです」

 

イギリスでは、毎年4万人以上が前立腺がんと診断され、男性に最も多いがんとなっています。

 

精度の高い「がん探知犬」を臨床に

正確に早くがんを診断できるということは、それだけ早期に治療を始められる可能性が高くなるということです。その結果、患者さんの予後に大きく影響を与えるでしょう。でも現時点では、ほとんどの診断検査に何かしらの不便や苦痛が伴うため、検査そのものに抵抗を感じる人も少なくありません。

侵襲性がなく低コストで、迅速・正確にがんを早期診断できる、そんなパーフェクトな診断法となる可能性を秘めた「がん探知犬」。白衣をまとった、凛々しい犬たちが病院で働くようになるのも、遠い未来の話ではないかもしれませんね。

 

(文)MYKO

(参考)

New Study Reveals Dogs Can Detect Cancer With 98% Accuracy - UNILAD

Medical Detection Dogs

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コメント一覧(4)

4もーりん2015年07月23日 21時06分

93%の確立はすごい。日本では千葉県の方でがん探知犬を育ててる施設があったはず。だけど育成費用やら犬の寿命やら考えると中々一般の病院まで普及するのは難しそう。

3特定2015年07月20日 21時40分

すご

2匿名2015年07月20日 08時25分

前立腺以外はどうなのかのほうが、女の私は気になる!!!

1匿名2015年07月18日 23時56分

すごい時代だ

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