1. 看護roo!>
  2. ステキナース研究所>
  3. 海外ニュース>
  4. 認知症に有効な非薬物療法は?看護師のコミュニケーションスキルが鍵

2015年06月18日

認知症に有効な非薬物療法は?看護師のコミュニケーションスキルが鍵

認知症の治療には薬物療法と非薬物療法があります。認知症の中核症状である記憶障害や見当識障害にはドネぺジルなどが投与されていますが、行動・心理症状に対しては、厚生労働省のガイドラインでは、非薬物的介入が原則となっています。

しかし、認知症にはどんな非薬物的介入が有効なのか、まだ明確なエビデンスは得られていないのが現状です。

 

 

焦燥性興奮に的を絞り調査

そんな中、英国ロンドン大学のジル・リビングストン教授らが、認知症の行動症状である焦燥性興奮を抑えるのに有効な非薬物療法について報告しました。

 

焦燥性興奮は、大声で叫ぶ、暴言を吐く、暴力をふるう、徘徊するなど、認知症の患者さんによく見られる厄介な症状です。患者さんの家族もどうしていいのか分からず、患者さんに怒ったり、無力感を感じたりします。

 

リビングストン教授らは、認知症の非薬物療法に関するランダム化比較試験(RCT)のシステマチックレビューを実施、33件のRCTを選び解析を行いました。どのRCTも参加者の数は45人以上でした。また、どのRCTも介護施設で実施されていました。

 

解析の結果、

焦燥性興奮に有効性を示したのは:

・介護者に対するパーソン・センタード・ケアとコミュニケーションスキルの訓練、認知症ケアマッピングの採用

即効性を示しただけでなく、3カ月から6カ月の長期効果も示しました。

 

・訓練されたセラピストによる音楽療法

よく知っている歌を聴くことからはじめて、次第に一緒に歌ってもらいました。即効性はありますが、長期効果のエビデンスはほとんどなく、重度の焦燥性興奮には有効性を示していません。

 

・セラピューティックタッチ

有意な有効性を示しましたが、普通のマッサージや薬物療法と比べると有意ではありませんでした。

 

 

焦燥性興奮に有効性を示さなかったのは:

・高照度光療法

焦燥性興奮の有意な改善を示さなかったばかりか、悪化すら認められました。リビングストン教授は「患者さんの中には明るい照明を不快に感じる人もいるのではないか」と述べています。

 

・アロマセラピー

非盲検RCTでは有意な改善を示しましたが、大規模盲検RCTでは有効性は示されていません。リビングストン教授は「アルツハイマー病の患者は臭覚が低下しているため」と説明しています。

 

・運動療法

有効性を示す十分なエビデンスはありませんでした。

 

パーソン・センタード・ケアと良好なコミュニケーションが鍵

・患者さんとうまくコミュニケーションをとり、患者さんが何を望んでいるのかを把握し、患者さんを一人の人間として扱うこと。

・上記ができるよう、介護者・看護者を訓練すること。

・そして認知症ケアマッピングという認知症患者の観察・記録を実施すること。

 

リビングストン教授らの研究では、この3点セットが焦燥性興奮に対するもっとも有効な非薬物療法でした。

この結果について、リビングストン教授は「介護スタッフや看護師と認知症の患者さんが互いに理解し合うなら、患者さんはたいてい気分がよく、寂しさを感じにくく、腹立たしいことも少ないだろう」と述べています。

 

 

【Sourses】

Non-pharmacological interventions for agitation in dementia: systematic review of randomised controlled trials(BJPsych)

 


【筆者】中岡ひさ子

看護師。徳島大学卒業後、13年間看護師として勤務。その後海外論文の翻訳に携わり、医学・看護論文の翻訳者、ライターとして活動中。

 

この連載

もっと見る

コメントを投稿する

コメント入力
(100文字以内)
ニックネーム
(12文字以内)

コメント一覧(2)

2匿名2015年09月24日 19時34分

患者さんが何を望んでいるのかを把握。どんな患者さんも大切。

1匿名2015年06月18日 13時15分

難しい

関連記事

いちおし記事

モジャ先生との優しい時間|マンガ・ママナースもも子の今日もバタバタ日誌(104)

「相談したいことがある」とモジャ先生を食事に誘ったもも子は… [ 記事を読む ]

リフィーディング現象ってなんだっけ?

場合によっては不整脈や心不全を引き起こすことも…! [ 記事を読む ]

人気トピック

看護師みんなのアンケート

思わずほっこりした「ナースコール」はある?

投票数:
1296
実施期間:
2019年09月27日 2019年10月18日

他の病院事情、一番知りたいことは?

投票数:
1311
実施期間:
2019年10月01日 2019年10月22日

「タピオカの次に流行ってほしい」って思うもの、ある?

投票数:
1189
実施期間:
2019年10月04日 2019年10月25日

参考書や解説書で見かけるけど、実はよくわかってない用語ってある?

投票数:
1051
実施期間:
2019年10月08日 2019年10月29日

「患者さんを怒らせてしまった言葉」ってある?

投票数:
924
実施期間:
2019年10月11日 2019年11月01日

丸めたティッシュの中から意外なモノを見つけた経験ある?

投票数:
570
実施期間:
2019年10月15日 2019年11月05日
もっと見る

今日の看護クイズ 挑戦者6523

◆皮膚ケアの問題◆80歳代男性Aさん。右大腿骨頸部骨折のため入院となりました。観血的整復固定術が行われ、現在のADLは、体動はゆっくりではありますが、介助があれば車いすへの移動が可能です。ベッド上での自力での体位変換は不十分な状態です。Aさんの褥瘡予防ケアについて、適正なケアはどれでしょうか?

  • 1.手術後よりリスクアセスメント・スケールを用いて、褥瘡の評価を行った。
  • 2.現在もベッド上での自力での体位変換が不十分なため、体圧分散寝具の使用や体位変換介助を継続した。
  • 3.車いすに乗るときは、円座(ドーナッツ状クッション)を使用するよう伝えた。
  • 4.仙骨部などの骨突出部にマッサージを行った。
今日のクイズに挑戦!