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2015年05月02日

尊厳死を選択するということは―ある女性の死から考える

末期がんの患者さんを前にしたとき、あなたは看護師として何を思いますか?

治癒の難しい病と、どこまで闘うべきなのか。医師、看護師、患者本人、そして、その家族……それぞれの立場で意見も変わってくることでしょう。

 

人生の最期を、希望通りの形で迎えたい。そんな尊厳ある死を求める声に応えるべきか、反対するべきか、いま世界各地で慎重に議論が繰り返されています。

 

尊厳死を選択するということは―ある女性の死から考える

 

1人の女性の死がもたらしたカリフォルニア州の新法案

2015年1月21日、米国カリフォルニア州で新たな法案が発表されました。それは、患者の死を早める薬の処方を医師に許可するというもの。

つまり、これが可決した場合、死という選択肢が患者に認められることになります。

 

この法案の発表に多大な影響を与えたのが、末期の脳腫瘍を抱えたひとりの若い女性です。

 

ブリタニー・メイナードさん、享年29歳。2014年11月、彼女の死は世界的に注目されました。

その理由は、彼女が尊厳死を希望していることをメディアに発表し、それを叶えるために尊厳死が合法となっているオレゴン州へ引越したからです。

 

故郷であるカリフォルニア州で、尊厳死が認められること。今回の法案の発表に立ち会ったブリタニーさんの夫と母親は、それが彼女の最後の願いだったと言います。

 

少しずつ進む尊厳死の議論―アメリカでは3州で合法

アメリカで初めて尊厳死を認める法律が施行されたのは、1997年。ブリタニーさんが引越し先に選んだオレゴン州がその第1号でした。その後、2009年にワシントン州で、そして2013年にはバーモント州で合法となっています。また、モンタナ州とニューメキシコ州では、医師の自殺ほう助は違法ではないとされた判例があります。

 

このように、現在のところ尊厳死が合法となっている州は少数です。なにしろ、人の命が絡んだ法律ですから、賛成意見と同じくらい反対意見も存在します。

 

患者に尊厳死のための薬を処方する医師の立場や宗教的な観点など、さまざまな要素が複雑に絡み合っており、簡単に答えが出る問題ではありません。カリフォルニア州でも尊厳死についての法案が過去に2度持ち上がりましたが、可決にはいたりませんでした。

 

それでも、今回のブリタニーさんの件のほか、尊厳死の合法化を求める声がアメリカ各地で上がっているという現状があります。

 

尊厳死を選択した女性の「死への向かい方」

「私は、家の2階で死ぬの。寝室のベッドで、彼に看取られて」

 

そう穏やかに語るブリタニーさんは、世界中で注目されました。彼女が尊厳死支援団体を通して発表した、動画の中の一場面です。

 

必ずやってくるとわかっている苦しみから解放され、彼女は人生の最期を幸せかつ有意義に過ごすことができたでしょうか。せめて、そうであったと信じたいものです。

 

 

来るべき日をじっと待つのではなく、残されたわずかな命を生き抜く力を与えてくれる。

 

ブリタニーさんの母親は、娘が選んだ尊厳死という選択についてそんな風に述べています。ただ、彼女の娘の場合は、その代償に自分の家を捨てなければなりませんでした。それが母親としての心残りでもあったようです。

 

 

2014年春、取り除くことのできない巨大な脳腫瘍を抱え、ブリタニーさんは故郷を捨てる決断をしました。引越し先は、尊厳死が合法化されて久しいオレゴン州のポートランドです。

 

夫のダンさんと2人、穏やかな生活を送る彼女には笑顔が戻ります。

そして、同年11月1日、彼女は自らの命を自宅のベッドの上で終了させました。

 

「ブリタニーが『薬』を飲んでから、5分くらい話をしました……彼女が、静かに眠りにつくまで。それから30分ほどで、呼吸がすごくゆっくりになって……。妻は、逝ってしまったんです」

 

ブリタニーさんの死後3ヶ月にも満たないころ、ダンさんは初めてメディアに彼女の死について語りました。穏やかに眠るようであったとはいえ、妻の死を受け入れることはとても難しいと言います。

 

 

日本でもしばしばメディアに取り上げられる問題ですが、今回の一件がきっかけとなり、また多くの人々がこのことについて考えさせられることとなりました。

尊厳死をめぐる議論は、今後どのような一途をたどるのでしょうか。

 

 

(参考)

Maynard's husband works to get 'Death with Dignity' in Calif.|KATU.COM

California lawmakers will push death-with-dignity measure|LA Times

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コメント一覧(7)

7オールドナース2015年10月14日 13時06分

今後の苦しみから逃れたいから尊厳死を選ぶ。なら、その苦しみに向かう恐怖に打ち勝つ方法があればおのずと尊厳死を選ぶ必要がなくなります

6匿名2015年05月17日 00時30分

大賛成。死ぬしかなくて辛い思いするなら早く楽にしてもらいたい。
家族の負担も大きいなぁ。

5匿名2015年05月03日 13時00分

むずかしい

4匿名2015年05月03日 11時01分

難しい問題です。尊厳死を許してしまうと自殺者が増えてしまう心配もありますね。

3匿名2015年05月02日 08時46分

難しい問題ですね。

2匿名2015年05月02日 07時37分

選択肢あってもいいのかも。でも日本ならアメリカ以上に意見割れるだろうなあ。

1匿名2015年05月02日 07時19分

生きる権利が有るなら、穏やかに死ぬ権利も有るのかも。
苦しんで死ぬのは本人も周囲も辛い〓色々な考え方を尊重し受け入れられる様に日本でも法的に認めても良いかも。

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