1. 看護roo!>
  2. ステキナース研究所>
  3. 看護師の疲労が呼ぶヒヤリハットを減らすには?アメリカの看護ジャーナルから学ぶ

2015年02月28日

看護師の疲労が呼ぶヒヤリハットを減らすには?アメリカの看護ジャーナルから学ぶ

白衣の天使といわれるナース。

ところが、実際の看護師の仕事は、そんな穏やかな言葉の響きとは相反するものがあります。

時には過酷な、また時には危険を伴う職務のなかで、大きな疲労感やプレッシャーによりヒヤリとした経験がある看護師は少なくないはずです。

 

そんな看護師という仕事の、大きな責任と疲労について、今回はアメリカの看護ジャーナル『AJN (American Journal of Nursing)』の記事を元に述べていきたいと思います。

 

看護師の疲労が呼ぶヒヤリハットを減らすには?アメリカの看護ジャーナルから学ぶ|看護師専用Webマガジン【ステキナース研究所】

 

疲れすぎてバイタル測定中に居眠り・・・ショーン・ケネディさんの経験

看護誌『AJN』のチーフエディター、ショーン・ケネディさんは準夜勤で16時~0時の勤務を1週間続けた直後に、そのまま0時~翌朝8時の夜勤を行なった経験があるそうです。

 

彼女はとても疲れ、患者さんのベッドサイドでバイタル測定中に眠りに落ちる自分に気づきました。

直前に測定した血圧も忘れてしまうほど疲れきっていて、とても危険な状態でした。薬の投与についてはダブルチェックをしていたので間違いはなかったそうですが、それはただの幸運だったともいえるでしょう。

 

ANA(アメリカ看護師協会)の見解

看護師の疲労により、患者さんへ危険が及ぶことはもちろんですが、それだけではありません。

『AJN』では、ANA会長の次の言葉を掲載しています。

 

「看護師の疲労は、患者さんへの処置におけるミスだけでなく、看護師自身の健康へも害を及ぼす」

 

このANAの声明では、疲労した看護師が居眠り運転などで命の危険にさらされることもあると訴えています。

 

ANAの推奨事項

このような疲労による危険な事故を防ぐため、ANAは看護師の勤務について次の推奨事項(概略)を掲げています。

 

  • ● 看護師の勤務時間は、1週間のうち時間外勤務も含め40時間を超えないこと
  •  
  • ● 雇用者は、24時間のなかでの看護師のシフトを最長12時間とすること(これには、通常の労働時間に限らず、オンコール待機・必須の研修・会議の時間も含む)
  •  
  • ● 雇用者は、看護師が自己の疲労によるリスクを回避すべきと判断した際に勤務を拒否する権利を、就業規則のなかで認める

 

また、ANAでは1998年に「看護師人員配置原則」を制定していますが、そのなかにも、看護師の勤務環境の改善につながる事項があります。例えば、経験豊かな看護師が経験不足の看護師を常にサポートすべきこと、組織の方針を決める際には看護師のニーズも認識すべきこと、などが定められています。

 

看護師の勤務環境がこのようなかたちで整ってくれば、大きなリスクを避けられると思いますが、実現するのはかなり難しいかもしれませんね。

 

日本看護協会による夜勤・交代制勤務に関するガイドライン

日本でも看護協会による夜勤・交代制勤務に関するガイドラインがあります。簡単に記すと以下のとおりです。

 

  • 【1】 勤務と勤務の間は11時間以上あける。
  • 【2】 勤務の拘束時間は13時間以内とする。
  • 【3】 夜勤回数は3交代では8回以内を基本とし、それ以外では労働時間などに応じた回数とする。
  • 【4】 夜勤は連続2回までとする。
  • 【5】 連続勤務日数は5日以内とする。
  • 【6】 休憩時間は夜勤で1時間以上、日勤では労働時間と労働負荷に応じた時間数を確保する。
  • 【7】 夜勤中は連続した仮眠時間を設定する。
  • 【8】 夜勤2回連続後は48時間以上の休息を確保し、1回の夜勤後も24時間以上の休息を確保することが望ましい。
  • 【9】 月に1度は土曜・日曜共に前後に夜勤がない休日をつくる。
  • 【10】 交代の方向は正循環の交代周期とする。
  • 【11】 夜勤・交代制勤務者の早出の始業時刻は7時より前を避ける。

 

このガイドラインが発表されたのは2013年3月ですが、まだ多くの病院で実施されていないものもあり、依然として厳しい労働環境で働く看護師も少なくないようです。

 

原因はさまざまですが、例えば看護師の一極集中現象がそのひとつとして挙げられます。

 

日本の看護師一極集中現象

日本では医療法により、入院患者1人に対する看護師の人数に応じて、看護師の配置基準が「15対1」「13対1」「10対1」「7対1」と4つに区分に分けられています。

2006年に導入された7対1の病院が最も看護師の離職率が低く、高い入院基本料を得られるため大きな病院で積極的に取り入れています。「7対1」の病院は看護師にも人気が高く、そのような病院への一極集中現象が起きてしまっているのです。

 

そのため他の病院の看護師不足は改善されず、看護師の過疎化により1人の負担が大きくなってしまいます。離職率が高くなるだけでなく、そこで働く看護師の疲労は深刻な問題となるでしょう。

 

また現在、2025年問題(その年には65歳以上が3500万人に)への対策として、在宅医療へのシフトが推進されていますが、このことも、看護師の配置に大きな変化をもたらすでしょう。「7対1」の要件を満たせず収入が減り、人員の削減が必要になった病院が、看護師に在宅医療サービスへ移ることを勧めるようになるからです。

 

しかし、在宅の患者さんは、訪問医療のサービスに対し、「24時間対応」や「病状が重くなっても対応してくれること」などを望んでいるようです。そのような希望に応えつつ看護師の労働環境を整えるということはなかなか難しい課題です。

 

患者さんが安心出来る環境を目指して

多くの患者さんは不安を抱えています。そんな患者さんの不安を少しでも払拭し、安心して過ごせる環境づくりを行うことも看護師の仕事のひとつです。看護師の働く環境を整えることがケアの質を向上させ、患者さんの安心に繋がることは間違いありません。

 

病棟の人員不足は深刻ですが、サポートし合いながら業務をすることで、自分自身を守っていくことを忘れてはならないのです。

 

(文)川越麻実

 

(参考)

Too Tired to Nurse | Off the Charts AJN

安全な人員配置は命を救う(日本看護協会)

コメントを投稿する

コメント入力
(100文字以内)
ニックネーム
(12文字以内)

コメント一覧(30)

30にか2018年03月05日 01時35分

看護師ってなんなんだろう…みんな夢を持って学校を出たはずなのに…
今じゃ使える所まで使ってやろう、同じ運命に引っ張りこんでやろうって感情を持った人達にしか見えない…

29makotta2017年12月31日 15時32分

昔に比べたらかんかの働きはよくやなってきてますが、まだまだ…結局は看護師ら馬車馬…

28匿名2015年10月05日 18時08分

バイタル測定中に眠りに落ちる自分。。。こわいわ。。。

27おばん2015年07月26日 00時01分

やっと出したガイドライン。看護協会はあてになりません!有言実行してくださいよ!働く環境はずっと改善されてません

26匿名2015年03月18日 06時44分

看護協会はほんと。。。どうやったら変えられるんだろう?。。

25匿名2015年03月03日 19時04分

疲れが原因なのいっぱいある

24匿名2015年03月02日 18時56分

なかなか改善されない

23匿名2015年03月02日 16時03分

臨床の看護師の声を政府はもっと聞いてほしい。看護協会はあてにならない

22かこ2015年03月02日 14時39分

初夜勤の朝は眠くて空きベッドでくたーってなった記憶が〓初めて勤務した病院は仮眠をとる習慣がなくてそれが当たり前だと思っていたけど違うんだなぁ。

21匿名2015年03月02日 14時23分

休ませて

20匿名2015年03月01日 16時50分

どうすりゃいいのか

19匿名2015年03月01日 15時15分

十分な休息をください!

18匿名2015年03月01日 13時34分

全然改善されない

17匿名2015年03月01日 13時02分

危険が伴うのに、休みも給料も。。。

16匿名2015年03月01日 08時13分

働かないと生きていけないけど〓つらい

15匿名2015年03月01日 07時17分

協会のガイドラインが守られる環境の施設はどれくらいあるんだろう?

14匿名2015年03月01日 07時04分

早くなんとかして

13匿名2015年02月28日 22時45分

この労働環境・・・ ほんと、たのんますよ。

12匿名2015年02月28日 21時34分

つらいね

11匿名2015年02月28日 20時41分

政府に潜在看護師が働きに出やすい環境整備をしてほしい

関連記事

いちおし記事

同期との関係~新人ナース~|マンガ・病院珍百景

友達?ライバル?仲間?…同期との距離感ってどのくらい? [ 記事を読む ]

SaO2低下でも酸素濃度を上げてはいけないのは、どんなとき?

振戦、痙攣など中枢神経障害が起こることも…! [ 記事を読む ]

人気トピック

もっと見る

看護師みんなのアンケート

あなたのハマっている沼は何?

投票数:
1438
実施期間:
2019年09月03日 2019年09月24日

旅行のおすすめスポットある?

投票数:
1323
実施期間:
2019年09月06日 2019年09月27日

学生時代の実習、国試勉強との両立はうまくできた?

投票数:
1198
実施期間:
2019年09月10日 2019年10月01日

SNSで嫌な気分になったことある?

投票数:
1122
実施期間:
2019年09月13日 2019年10月04日

あなたの職場ならではの「隠語」ってある?

投票数:
369
実施期間:
2019年09月20日 2019年10月11日

ナースの現場、気が利くで賞!

投票数:
907
実施期間:
2019年09月17日 2019年10月15日
もっと見る

今日の看護クイズ 挑戦者1163

筋肉注射についての説明で、正しいものは以下のうちどれでしょうか?

  • 1.急速に薬効を期待する場合には静脈注射や皮内注射ではなく、筋肉注射を選択する。
  • 2.繰り返し筋肉注射で薬剤を投与する場合、もっとも筋層が厚い大腿部を用いることが推奨される。
  • 3.注射部位に三角筋を選択する場合は、45~90度の刺入角度で注射する。
  • 4.薬液は1秒/mLで速やかに注入し、刺入部は1~2分程度マッサージを行う。
今日のクイズに挑戦!