《循環器疾患と大きな関連のある疾患》睡眠時無呼吸症候群(SAS)

『本当に大切なことが1冊でわかる循環器』より転載。
今回は睡眠時無呼吸症候群(SAS)について解説します。

 

森田康昭
新東京病院看護部

 

〈目次〉

 

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)はどんな疾患?

呼吸とは、10秒以上の呼吸停止をいいます。睡眠中(一晩7時間)に30回以上の無呼吸、もしくは1時間あたりに無呼吸回数が5回以上で、睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome;SAS)とみなされます(図1)。

 

図1睡眠時無呼吸症候群の分類

睡眠時無呼吸症候群の分類

 

※1 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea syndrome;OSAS)
※2 中枢性睡眠時無呼吸症候群(central sleep apnea syndrome;CSAS)

 

睡眠1時間あたりの無呼吸と低呼吸の合計回数を、無呼吸低呼吸指数(apnea hypopnea index;AHI)と呼び、この指数によって重症度が分類できます(表1)。

 

低呼吸とは、10秒以上の気流の30%以上の振幅の減少に、SpO2の4%以上の低下を伴うものをいいます。

 

表1AHI からみた重症度分類

AHI からみた重症度分類

 

 

なぜ睡眠時無呼吸症候群が関連するの?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)だけだと疾患としては無視されやすく、みつかりにくいですが、放置することによって高血圧、糖尿病などの生活習慣病が悪化し、いずれ心不全になるリスクが高まります。また、原因不明の高血圧糖尿病の悪化は、SASの可能性もあり、早期発見して治療することが大切です。

 

心不全

SASは心不全悪化の要因となります。気道が閉塞することで胸腔内が陰圧となって心筋が伸展すること、さらに静脈還流量が増加することで心臓への血流が増え、心負荷が増強するためです。

 

浮腫が出現していると、覚醒時は体液が重力によっておもに下肢に貯留しますが、睡眠時に臥位になることで、体液が頭側へと移動し、気道浮腫を引き起こします。それにより、気道が狭くなり、SASが起こりやすくなります。加えて、肥満などがあると気道閉塞がさらに助長され、心不全増悪する要因となります。

 

不整脈

SASは呼吸停止と低呼吸を繰り返すため、低酸素状態になります。そのため、体内に酸素を多く取り入れようとし、過呼吸となります。

 

過呼吸になると交感神経が緊張し、頻脈になります。無呼吸期には気道が閉塞しているため、肺が大きく広がった状態になることがあります。

 

一定以上に肺が広がると迷走反射神経がはたらくため、徐脈になります。睡眠時無呼吸の持続中、頻脈と徐脈が繰り返されることにより、心臓に負担をかけ、不整脈の原因となります。

 

高血圧

低酸素血症やの覚醒によって交感神経が緊張すると胸腔内が陰圧になり、血流が増加し、高血圧の要因になります。SASの患者さんは肥満を合併していることが多く、これも高血圧の悪化因子となります。

 

糖尿病

肥満はSASの要因となります。また、交感神経が亢進することでホルモンバランスが崩れます。そのため、糖尿病のリスクとなります。

 

狭心症

SASにより、心臓へ血流が増えることで心負荷がかかります。それによって利尿作用がはたらき、循環血流量が減少します。

 

低酸素状態になることで、赤血球の産生が亢進します。赤血球は酸素を全身に運搬しますが、必要以上に増加すると多血症になります。多血症になると血栓形成を起こしやすくなります。高血圧や糖尿病は動脈硬化の原因であり、狭心症の要因になりますが、多血症による血栓形成も重なり狭心症を起こす可能性を高めるためです。

 

 

どんな治療を行う?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療は、表2のようなものがあります。

 

表2睡眠時無呼吸症候群のおもな治療

睡眠時無呼吸症候群のおもな治療

 

経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)

AHI(表1)が40以上でのSASでは、経的持続陽圧呼吸療法(CPAP)が標準的治療となります。20<AHI<40の場合は、睡眠ポリグラフ検査(PSG)再検後、効果があれば導入します。

 

CPAPは、持続的に空気を送ることで狭くなっている気道を広げる治療法です(図2)。一定の陽圧を加えて呼吸を補助します。

 

おもに閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の患者さんに使用します。

 

図2CPAPの原理

CPAPの原理

 

BIPAP療法

心不全に伴う中枢性睡眠時無呼吸(CSA)の治療に、BIPAP療法を行います。

 

BIPAPは、呼吸状態に合わせて高めの圧を出し吸気を助け、呼気のときは圧が低くなることで呼吸を補助します(吸気圧>呼気圧)。

 

 

看護師は何に注意する?

いびきのアセスメントが重要です。夜勤帯などのラウンド時にいびきの有無、同室者の訴えなどがあります。また、いびきだけでなく、無呼吸低呼吸の有無も観察する必要があります。

 

心負荷がかかることで、生体防御反応として利尿作用がはたらきます。そのため、夜間の頻尿も観察しましょう。

 

呼吸停止が繰り返されることにより、脳や身体も断続的に覚醒状態となっています。そのため、日中に眠気、倦怠感、集中力低下を訴えることが多いです。
 

 


文献

 


本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 循環器 第2版』 編集/新東京病院看護部/2020年2月刊行/ 照林社

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