房室ブロック

『本当に大切なことが1冊でわかる循環器』より転載。
今回は房室ブロックについて解説します。

 

渡辺朋美
新東京病院看護部

 

〈目次〉

 

 

房室ブロックはどんな疾患?

房室ブロックとは、心房-心室間の興奮伝導障害のことをいいます。

 

房室ブロックには、I度房室ブロック、II度房室ブロック、高度房室ブロック、III度房室ブロックがあります。

 

I度房室ブロック

I度房室ブロックは、PQ時間が0.20秒以上に延長するものです。正常よりも心房-心室の興奮伝導に時間がかかります図1)。

 

図1I度房室ブロックの心電図波形

I度房室ブロックの心電図波形

 

II度房室ブロック

II度房室ブロックは、心房-興奮の一部が心室へ伝わらない状態です。

 

II度房室ブロックには2種類あり、心房から心室までの伝導時間が徐々に延長したあと伝導が途絶えてしまうWenckebach(ウェンケバッハ)型と、伝導時間は一定のまま突然伝導消失してしまうMobitz(モビッツ)II型に分類されます(図2)。

 

図2II度房室ブロックの心電図波形

II度房室ブロックの心電図波形

 

モビッツII型は、ヒス束以下に病的な伝導能障害があり、場合によってはペースメーカ適応となります。

 

高度房室ブロック

高度房室ブロックは、心房の興奮が2回以上連続で心室に伝導しない状態をいいます。このタイプも、ヒス束以下に伝導能障害があり、完全房室ブロックの一歩手前でありペースメーカ適応となります。

 

III度房室ブロック(完全房室ブロック)

完全房室ブロックは、PP間隔一定、RR間隔一定ですが、PR間隔は不規則です(図3)。ペースメーカ適応となります。

 

図3III度房室ブロックの心電図波形

III度房室ブロックの心電図波形

 

 

患者さんはどんな状態?

注意しなければいけない症状は、徐脈による血行動態の悪化、一過性の心停止による虚血で、眩暈、眼前暗黒感、失神、けいれんが出現します(Adams-Stokes[アダムス・ストークス]症候群)。

 

著明な徐脈の場合、代償性に1回拍出量が増加するため、収縮期高血圧、脈圧の増大が現れます。

 

 

どんな治療を行う?

失神発作や眩暈などの症状があれば、まずアトロピン硫酸塩水和物、非選択式β受容体刺激薬(イソプレナリン塩酸塩)を使用します。

 

I度およびウェンケバッハ型のII度房室ブロックは治療を必要としないことが多いですが、原因となるものがあればその治療を行います。

 

高度房室ブロック、III度房室ブロックは原則として一時的ペースメーカを挿入し、根治療法として恒久的ペースメーカ植込み術を考慮することがあります。

 


文献

  • 1)百村伸一編:心臓病の治療と看護 (NURSING̶Cure and Care Series).南江堂,東京,2006.
  • 2)医療情報科学研究所編:year note 2019.メディックメディア,東京,2018.
  • 3)大八木秀和:まるごと図解 循環器疾患.照林社,東京,2013.

 


本連載は株式会社照林社の提供により掲載しています。

 

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[出典] 『本当に大切なことが1冊でわかる 循環器 第2版』 編集/新東京病院看護部/2020年2月刊行/ 照林社

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