せん妄が発症するとき,身体に何が起こっているのですか?

『せん妄のスタンダードケア Q&A100』より転載。
今回は、せん妄発症時の身体状況について解説します。

 

せん妄が発症するとき,身体に何が起こっているのですか?

 

せん妄が発症する際は,身体の中で薬剤による影響や内分泌の代謝異常,低酸素血流障害など,生理学的な変動が起きていることが多くみられます.
また,感染などの炎症反応による神経伝達物質の代謝異常もみられます.

 

〈目次〉

せん妄発症時は生理学的な変動がみられる

せん妄を発症する患者さんの身体の中では,薬剤の影響のほか,内分泌の代謝異常,低酸素,脳血流障害など,生理学的な変動がよくみられます.

 

その背景には,加齢や疾患の影響による予備能の低下が挙げられます.腎機能や肝機能も含め,予備能の低下により,電解質の異常,血糖の変動,体温の変動,睡眠薬の投与などが,たとえわずかであったとしても,その変化に対して補正する力が低下しているため,生理学的な変動が脳に大きな影響を及ぼし,意識の変容をきたすことになります.

 

炎症反応もせん妄発症の原因と考えられる

また,感染,骨折や受傷,あるいは手術後の創傷治癒といった過程で発生する炎症反応により,神経伝達物質の代謝が変化することが報告されています1, 2)

 

そのような神経伝達物質の代謝異常が,意識の混濁や,過剰な興奮の原因ともなります.

 

薬剤による影響でせん妄が発症することもある

薬剤による神経伝達物質への影響では,抑制系のGABA(γアミノ酪酸)が減ってバランスが崩れ,興奮性のドパミンの作用が強くなる状態がつくり出されます.

 


[文献]

  • 1)van der Mast RC et al:Is delirium after cardiac surgery related to plasma amino acids and physical condition? J Neuropsychiatry Clin Neurosci 12(1): 57-63, 2000
  • 2)van der Mast RC et al:Serotonin and amino acids : partners in delirium pathophysiology? Semin Clin Neuropsychiatry 5(2) : 125-131, 2000

 


[Profile]
綿貫 成明 (わたぬき しげあき)
国立看護大学校

 

*所属は掲載時のものです。

 


本記事は株式会社南江堂の提供により掲載しています。

 

[出典]『“どうすればよいか?”に答える せん妄のスタンダードケア Q&A100』(編集)酒井郁子、渡邉博幸/2014年3月刊行

 

“どうすればよいか?”に答える せん妄のスタンダードケア Q&A100

 

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