療養の場の違いでせん妄の頻度に違いはありますか?

『せん妄のスタンダードケア Q&A100』より転載。
今回は、療養の場の違いによるせん妄の頻度の違いについて解説します。

 

療養の場の違いでせん妄の頻度に違いはありますか?

 

せん妄は,病院ではICU での人工呼吸管理下,心臓外科手術後,重度熱傷の患者さんや,高齢者認知症の患者さんで高頻度にみられます.
在宅患者さんの場合は,加齢と認知症の有無が大きく影響します.

 

〈目次〉

せん妄の有病率

せん妄の有病率は,調査対象によって大きな差があり,一般住民では10%程度から,救急病棟やICU などでは40〜77%にもなります.最近の文献を表でまとめて提示します.

 

表1さまざまな対象におけるせん妄の有病率

さまざまな対象におけるせん妄の有病率

 

ICUにおけるせん妄

ICU では,身体基礎疾患の重症度,人工呼吸管理などの不慣れで苦痛を生じる医療処置,薬剤使用などが,高頻度になる理由ともいえますが,適切な除痛,不快な処置の軽減によりせん妄の移行を減らすことができることも報告1)されており,医療者の適切なケアや療養環境設定で改善する余地があります.

 

一般住民におけるせん妄

一方,一般住民を対象としたせん妄の有病率について,強調されるのは,加齢と認知症です.たとえば,北欧の708 人の85 歳以上の住民の調査では,85 歳以上は17%,90 歳以上は21%,95 歳以上は39%がせん妄を呈したと報告されています2)

 


[文献]

  • 1)Pandharipande P et al : Prevalence and risk factors for development of delirium in surgical and trauma intensive care unit patients. J Trauma 65(1) : 34-41,2008
  • 2)Mathillas J et al : Thirty-day prevalence of delirium among very old people : a population-based study of very old people living at home and in institutions. Arch Gerontol Geriatr 57(3) : 298-304,2013
  • 3)Agarwal V et al : Prevalence and risk factors for development of delirium in burn intensive care unit patients. J Burn Care Res 31(5) : 706-715,2010
  • 4)de Lange E et al : Prevalence, presentation and prognosis of delirium in older people in the population, at home and in long term care : a review. Int J Geriatr Psychiatry 28(2) : 127-134,2013
  • 5)Sharma A et al : Incidence, prevalence, risk factor and outcome of delirium in intensive care unit : a study from India. Gen Hosp Psychiatry 34(6) : 639-646, 2012

 


[Profile]
長谷川 直 (はせがわ ただし)
千葉大学医学部附属病院精神神経科

 

*所属は掲載時のものです。

 


本記事は株式会社南江堂の提供により掲載しています。

 

[出典]『“どうすればよいか?”に答える せん妄のスタンダードケア Q&A100』(編集)酒井郁子、渡邉博幸/2014年3月刊行

 

“どうすればよいか?”に答える せん妄のスタンダードケア Q&A100

 

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