患者さんとのコミュニケーション|鎮痛・鎮静管理時に注意すべき看護ケア

『基礎からはじめる鎮痛・鎮静管理マスター講座』より転載。
今回は、鎮痛・鎮静管理における患者さんとのコミュニケーションについて解説します。

 

患者さんとのコミュニケーション

1)鎮痛・鎮静管理におけるコミュニケーションの必要性

看護師は,鎮静薬による鎮静を行う前に,鎮静薬を用いないで解決できることはないか,鎮静薬を減らすために何ができるか,考えなければなりません.

 

快適性を維持するようなリラクセーション,適切な鎮痛,頻繁なオリエンテーション,正常な睡眠が得られるような環境調整,心が落ち着く音楽や,気分を変えるためにベッドの位置を変えるなど,鎮静薬以外に不安や興奮を和らげる介入が必要です.

 

これらの介入において重要になるのがコミュニケーションです.

 

なぜなら,患者さんが何を求めているのか,何がしたいのか,患者さんのニードを知ることで,苦痛や不安・ストレスの緩和につなげられるからです.

 

2)人工呼吸管理中の患者さんとのコミュニケーションの方法

人工呼吸管理中の患者さんは気管挿管されており,声は出せませんが,筆談,文字ボードなどを用いれば意思を表現することができます.これらを用いて,患者さんの意思やニードを明らかにします.

 

図1文字ボード

文字ボード

 

筆談や文字ボードの使用は患者さんの治療上の阻害になりませんし,病状を悪化させるような侵襲的なものでもありませんので,積極的に行いましょう.

 

3)コミュニケーション時の注意点

患者さんの理解度に合わせて,現状の説明やケアの説明を行い,理解を促します.

 

気管チューブの違和感がある場合は鎮痛薬により軽減できることや,人工呼吸器に同調しない時は換気設定を調節することができることを説明します.また,安静による苦痛は,看護師が体位を適宜調整することでリラックスできることを伝えます.

 

鎮静薬の種類によってはコミュニケーションに悪影響をもたらします.

 

たとえば,ベンゾジアゼピン系の鎮静薬は健忘を起こし,すぐ前に説明したことを忘れたり,記憶力が下がったり,せん妄の原因にもなります.投与されている鎮静薬の特徴を把握しておくことが重要です.

 

コミュニケーションが取れるには,浅い鎮静状態である必要があります.RASSなどの鎮静スケールを使用し,RASS -2 ~ 0 くらいの鎮静状態となるよう鎮静薬の投与量を調整します.

 


[引用・参考文献]

 

  • 1)パトリシア・ベナー著,井部俊子監訳:ベナー看護論,新訳版,医学書院,p.56,2010
  • 2)福田友秀ほか:集中治療室入室を経験した患者の記憶と体験の実態と看護支援に関する研究.日クリティカルケア看会誌 9(1):29-38,2013
  • 3)卯野木 健ほか:ICU 退室後の神経精神障害―外傷後ストレス障害と認知機能障害. 日集中医誌 17(2):145-154,2010

 


[Profile]
嶋田 一光 (しまだ いっこう)
日本医科大学付属病院救命救急センター

 

剱持 雄二 (けんもつ ゆうじ)
東海大学医学部付属八王子病院ICU・CCU
集中ケア認定看護師

 

*所属は掲載時のものです。

 


本記事は株式会社南江堂の提供により掲載しています。

 

[出典]『基礎からはじめる鎮痛・鎮静管理マスター講座~せん妄予防と早期離床のために~』(監修)道又元裕、(編集)剱持雄二/2015年2月刊行

 

基礎からはじめる鎮痛・鎮静管理マスター講座~せん妄予防と早期離床のために~

 

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