乳房MRI|産婦人科の検査

『看護に生かす検査マニュアル』より転載。
今回は、乳房MRI検査について解説します。

 

高木 康
昭和大学医学部教授

 

〈目次〉

乳房MRI検査とはどんな検査か

MRIで乳房を撮像し、病変の質的診断や広がり診断を行う。現在では乳癌(図1)の画像診断に必要不可欠な検査である。

 

図1乳癌のMRI画像

乳癌のMRI画像

 

a:ダイナミックスタディ2分後。不整な形態で辺縁微細鋸歯状の腫瘤(矢印)があり、辺縁が強く濃染し、いわゆるperipheral rimサインを示している。
b:拡散強調画像 乳癌(矢印)は高信号を呈している。
c:maximum intensity projection(MIP)画像、三次元画像表示である。乳頭方向への乳管内進展(矢印)がみられる。
d:MR spectroscopy 乳癌にほぼ特異的なcholineのピーク(矢印)がみられる。

 

造影乳腺MRI導入後(1990年代)、乳癌画像診断で最も高い診断能を有する。マンモグラフィ(MMG)、乳腺超音波検査と比較して病変の形態のみでなく、造影検査による血行動態の情報も得られるが、MMG、乳腺超音波検査に代わるものではない。

 

乳房MRI検査の目的

乳房MRIの適応は、欧州乳房画像診断学会ガイドライン※によると、従来の画像診断法における所見が不確定な場合、術前の病期診断、原発不明癌、術前化学療法の治療効果判定、温存療法後の乳房画像、MRIスクリーニング、人工物の画像、MRガイド下生検および病変の局在と多いが、実際の臨床では術前の乳癌の広がり診断、乳癌の術前化学療法の治療効果判定に行われることが多い。

 

乳房MRI検査の実際

造影剤の使用は必須である。閉経前の乳房組織は造影剤の取り込みが生理周期で変わる(黄体期、分泌期には乳腺組織の造影剤の取り込みが亢進する)。乳腺があまり造影されない生理開始後5~10日目くらいが検査の最適時期である。

 

検査は造影のための血管確保後に、腹臥位で乳房専用コイル(図2)に両側乳房を入れて行う。

 

図2乳房専用コイル

乳房専用コイル

 

腹臥位でコイル内の二つの穴(矢印)に乳房を入れて垂らした状態で検査を行う。

 

T₂強調画像、拡散強調画像、造影ダイナッミックスタディ、MR spectoroscopyなど多くのシーケンスで撮像を行うので検査時間は長く、通常30分~1時間かかる。

 

乳房MRI検査前後の看護の手順

患者の姓名を確認し、MRI禁忌およびガドリニウム造影剤禁忌でないことを確認するための問診を行う。

 

MRI検査用の検査着に着替えた後、金属探知機で金属類のないことを確認後、血管を確保し検査室に案内する。そして検査の流れを説明する。検査時間が長いこと、動くと良い画像が得られないことを十分説明し、乳腺コイルを置いた検査台に臥位で寝てもらう。このとき患者が痛みや無理な体位で検査中動かないよう、楽な体位でなおかつ乳房がコイル内に正しい位置で入るよう十分に注意することが必要である。検査中は患者の状態に注意をはらう。

 

検査終了後は、更衣室に案内し、私物を返却する。

 

乳房MRI検査において注意すべきこと

MRI検査自体は他の部位の検査と同様であるが、臥位で乳房専用コイルに乳房を入れての長時間の検査のため、患者に苦痛のない体勢をとってもらうことが重要である。

 

多くのシーケンス撮像後に造影剤を急速静注しダイナッミックスタディを行うので、造影剤漏出のないよう留置針が動かない部位を選び、血管確保にも注意が必要である。

 


本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。

 

[出典] 『新訂版 看護に生かす検査マニュアル 第2版』 (編著)高木康/2015年3月刊行/ サイオ出版

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