病態別にとらえた患者の鎮痛・鎮静管理

『基礎からはじめる鎮痛・鎮静管理マスター講座』より転載。
今回は、病態別にとらえた患者の鎮痛・鎮静管理について解説します。

 

〈目次〉

侵襲という側面から鎮痛・鎮静の目的を理解する

ICUにおける不安,疼痛,せん妄は,原疾患による侵襲や侵襲的な治療・看護介入,ICUの環境,患者さんの病態,人工呼吸器を含む医療機器などにより生じると考えられます.

 

それらに対して除去できる問題であれば原因の除去,鎮痛薬や鎮静薬あるいは向精神薬の投与が行われ,その結果,患者さんにおいて,覚醒状態,不穏,深い鎮静などの形として表れてきます.

 

侵襲は,臓器・代謝の変化といった生体反応を引き起こします.そして,侵襲からの回復の遅延は人工呼吸器の使用期間の延長,ICU滞在日数の延長,微小循環障害,低栄養,免疫機能低下を引き起こし,多臓器障害への原因となることもあります.

 

鎮痛・鎮静をICUにおける特殊な病態や治療の面から考えると,鎮痛・鎮静の目的は,これらの侵襲によって引き起こされる過剰な生体反応を抑制し,酸素消費量や基礎代謝の減少,人工呼吸器装着の際は換気の改善や圧外傷の減少,結果として患者さんを保護すること,患者さんの人工呼吸管理における快適性(同調性を得ること)や安全性(圧外傷防ぐこと)を確保することになります.

 

病態が違っても鎮痛・鎮静管理の基本は同じ

ただし,鎮静管理において,患者さんが眠っていること,眠らせることが主な目的であるかのような,過度に鎮静を深くすることは,さまざまな影響があり避けるべきです.

 

鎮静薬を投与する前に,患者さんの快適さを維持する,十分な鎮痛薬を投与する,正常な睡眠が確保されるように環境を最適に整えるといったことが必要になります.そのためには,鎮痛鎮静の基礎をまず基盤の知識として習得しましょう.

 

そして,PADガイドラインABCDEバンドルといった資源を活用しケアを行うことが,さまざまな病態において大切になってきます.

 


[Profile]
嶋田 一光 (しまだ いっこう)
日本医科大学付属病院救命救急センター

 

*所属は掲載時のものです。

 


本記事は株式会社南江堂の提供により掲載しています。

 

[出典]『基礎からはじめる鎮痛・鎮静管理マスター講座~せん妄予防と早期離床のために~』(監修)道又元裕、(編集)剱持雄二/2015年2月刊行

 

基礎からはじめる鎮痛・鎮静管理マスター講座~せん妄予防と早期離床のために~

 

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