NPPV管理中の患者の鎮痛・鎮静管理

『基礎からはじめる鎮痛・鎮静管理マスター講座』より転載。
今回は、NPPV管理中の患者の鎮痛・鎮静管理について解説します。

 

〈目次〉

NPPV管理中になぜ鎮痛・鎮静が必要か

非侵襲的陽圧換気(NPPV:noninvasive positive pressure ventilation)は,気管チューブなどの侵襲的エアウェイを使用せずに,・口あるいは顔を覆うマスクを用いて呼吸補助をする人工呼吸の方法です.

NPPV

 

気管挿管など侵襲的人工換気に伴うさまざまな合併症を回避することができます(表1).

 

表1NPPVのメリット(気管挿管と比較して)

 

  • 鎮静の必要性が減少する
  • 反射や嚥下機能を維持できる
  • 上気道の損傷を回避できる
  • 副鼻腔炎や肺炎の発生が減少する
  • 不快感が少ない
  • ICU入室期間および入院期間が短縮する
  • 生存率が改善する

 

NPPVは,酸素化能の改善,換気異常の改善,呼吸仕事量の軽減を目的として行われます.

 

NPPVが適応となる患者さんは,意識レベルがしっかりしていること,気道確保がされており,自発呼吸があること,排痰ができること,マスクを装着することに理解が得られること,などが条件となります.

 

NPPVを行う患者さんは意識が保たれていることが多く,呼吸困難・不安・恐怖を感じることや,陽圧換気による圧迫感や不快感を訴えることがあります.これらの患者さんの苦痛を考えながら,必要に応じて鎮痛,鎮静のコントロールを実施していきます.

 

NPPV管理中の鎮痛・鎮静管理の注意点

鎮静薬を使用するのであれば,呼吸抑制の少ない薬剤(デクスメデトミジンなど)を選択し,深鎮静にならないような鎮痛・鎮静管理をしなければなりません.

 

NPPV管理中の鎮痛・鎮静のアセスメントの視点

鎮痛・鎮静は慎重に行い,十分なモニタリングを行う必要があります.

 

NPPV導入後は,酸素化は維持できているか,適切な換気は得られているか,呼吸困難感が軽減し呼吸仕事量は減ったか,意識レベルの低下は認めていないか,バイタルサインは落ち着いているかを評価します.

 

また,不穏・せん妄がある場合は,NPPVの継続が困難になることがありますので,せん妄のアセスメントも必要です.

 

NPPVの継続が困難な場合には,すみやかに侵襲的人工換気に移行しなければなりません.気管挿管が必要な状況が発生していないかの評価を繰り返し行うことが重要です.

 

NPPV管理中のケアと鎮痛・鎮静

NPPVの成功の可否を決める大事な要素として,患者さんの受け入れと適切な鎮痛・鎮静レベルを保つことが挙げられます.

 

マスクを装着することへの不安を取り除くためにも,しっかり患者さんに説明をしてから導入し,導入直後は患者さんのそばに寄り添い,早くマスク装着と陽圧換気に慣れることができるように声かけしていくことがポイントです.

 

鎮痛薬・鎮静薬を使用することによって,気道確保が困難になったり,呼吸抑制をきたしたり,気道分泌物のクリアランスを保てなくなることがありますので,不安感を除去するための,薬物使用以外でできるケアを行ったうえで,鎮痛薬・鎮静薬について考慮します.

 


[Profile]
池谷 まゆ (いけや まゆ)
日本赤十字看護大学大学院 看護学専攻
成人看護学領域 修士課程

 

*所属は掲載時のものです。

 


本記事は株式会社南江堂の提供により掲載しています。

 

[出典]『基礎からはじめる鎮痛・鎮静管理マスター講座~せん妄予防と早期離床のために~』(監修)道又元裕、(編集)剱持雄二/2015年2月刊行

 

基礎からはじめる鎮痛・鎮静管理マスター講座~せん妄予防と早期離床のために~

 

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