急性期の病棟で生活リズムを整えるコツはありますか?|せん妄ケア

『せん妄のスタンダードケア Q&A100』より転載。
今回は、急性期の病棟で生活リズムを整えるコツについて解説します。

 

急性期の病棟で生活リズムを整えるコツはありますか?

 

生活リズムを整えるためには,その患者さんの生活背景を把握し,できるだけ自宅に近い生活習慣と環境をつくり,治療計画に応じ行動を見守り,寄り添ったケアをしていくことが大切です.

 

〈目次〉

急性期病院での生活リズム調整のコツ

睡眠覚醒リズムが崩れている患者さんでは,朝日を浴びることができるベッド配置にする,日中は適度に生活音が聞こえる状況におくなど,昼夜を感じやすい環境にし,夜間の点滴時間を調整するなど,夜間の刺激を減らす工夫をすると効果があります.

 

加えて,患者さんは,入院前の自宅環境から,入院環境におかれることで,生活のリズムが崩れやすいので,病院の業務リズムに合わせるのではなく,患者さんの入院前の生活リズムを少しでも取り戻すことが重要です.

 

生活リズムのアセスメント

患者本人や家族から,患者さんが自宅でどのように1日を過ごし活動をしてきたか,どのような役割をもっていたか,大切にしているものや事柄など,入院前の生活リズムについて情報収集します.そして,入院してからの生活リズムをアセスメントし,入院前との違いを確認します.

 

生活リズムのアセスメントを基に,たとえば,食事の時間を可能な限り自宅での生活リズムに合わせて変更する,入浴の代わりに習慣であった寝る前の足浴や手浴を行う,患者さんが大切にしている物品を療養環境に置くなどによって,生活リズムが改善します.

 

原因となる生活リズムの違いを探る

上記のように工夫しながら,評価スケールなどを用いて混乱やせん妄の経過を確認します.

 

少しでも「ちょっと変だな」と感じたりせん妄の症状がみられたりしたときには,どのようなときに症状が出現するのか,自宅での生活リズムとの違いが原因かをアセスメントし,環境調整にフィードバックします.

 

【事例】夜間遅くまで起きていて早朝から活動する患者さんへのケアの改善事例

「消灯過ぎたのになぜ寝ないのか」「昼夜逆転になってしまい治療ができない」など,看護師の対応に困難感が出てきました.

 

まず個人の生活パターンとしてとらえ,睡眠を強要せず活動を見守る対応と,夜間の点滴や処置は避けることにしました.

 

自宅では布団の生活であったことから,個室に畳を敷き座卓を準備し,障害物となる物は撤去し自室内を自由に活動できるようにしました.照明の工夫,枕や毛布,時計など自宅で身の回りにある物を使用することや,暖かいお茶を飲んだり,入浴の代わりに足浴をするなど,入院前の寝る前の習慣行動を取り入れました.

 

すると,睡眠を強いられる患者さんのストレスも,寝ない患者さんに対する看護師のストレスも軽減し,結果的に睡眠障害はなくなり,治療の継続が可能となりました.

 


[Profile]
石川 芳子 (いしかわ よしこ)
NTT東日本伊豆病院看護部

 

塩田美佐代 (しおた みさよ)
NTT東日本伊豆病院看護部

 

*所属は掲載時のものです。

 


本記事は株式会社南江堂の提供により掲載しています。

 

[出典]『“どうすればよいか?”に答える せん妄のスタンダードケア Q&A100』(編集)酒井郁子、渡邉博幸/2014年3月刊行

 

“どうすればよいか?”に答える せん妄のスタンダードケア Q&A100

 

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