終末期にはどのようなせん妄ケアを行えばよいですか?

『せん妄のスタンダードケア Q&A100』より転載。
今回は、終末期のせん妄ケアについて解説します。

 

終末期にはどのようなせん妄ケアを行えばよいですか?

 

終末期のせん妄は,多くの患者さんに起きるとされています.
複数の要因があることが多く,治療抵抗性で耐えがたい苦痛となる場合には鎮静の対象となることもあります.家族への十分な説明とケアが重要です.

 

〈目次〉

終末期のせん妄の原因

終末期のせん妄の原因として,薬剤(オピオイド,睡眠薬,抗不安薬,副腎皮質ステロイド,H2ブロッカーなど)のほか,腎機能・肝機能含む全身状態の低下,低アルブミン血症,貧血脱水電解質異常(低ナトリウム血症,高カルシウム血症など),感染症サイトカインプロスタグランジンなどの生理活性物質の分泌,腎機能・肝機能低下,疼痛,便秘などがあります.

 

これらが重なって原因となっていることも多く,対処可能な原因,回復の可能性,患者さんの苦痛とのバランスなどを査定し,対処方法を検討していくことが必要となります.

 

終末期だからどうしようもない,ということではなく,アセスメントをしっかり行い,患者さんの苦痛を和らげるためにできることを最大限行う姿勢も重要となります.

 

患者さんと家族が安心して過ごせるように

それまでの患者さんとのかかわりや家族の情報から,その人となりを知り,何をいやがっているのか,どのようなことが心地よいのか推察して,不快を取り除き,より安心して過ごせるような環境づくりが重要となります.

 

家族が患者さんへ穏やかにかかわれるように,あらかじめせん妄が起こりうることを説明しておくことや,原因や行っている治療について説明すること,家族の気持ちに共感すること,患者さんの発言を否定せずに安心感を与えられるようかかわることなどを家族に伝えていくことも大切です.

 

終末期のせん妄における鎮静の考え方

終末期のせん妄は,鎮静の対象になり得ます.

 

ただし,その適応の判断は,患者さんにとって耐えがたい苦痛があることや十分な評価や治療を行ってもその苦痛が治療抵抗性のものであることという点を検討すること,患者さんや家族の意思を確認することなどが必要とされています.

 

それらを正確に,総合的に評価,判断するために,家族や医療チーム内での十分な話し合いが不可欠となります.

 


[文献]

  • 1)特定非営利活動法人日本緩和医療学会緩和医療ガイドライン作成委員会編集:苦痛緩和のための鎮静に関するガイドライン2010 年版,金原出版,2010

 


[Profile]
藤澤 陽子 (ふじさわ ようこ)
千葉大学医学部附属病院看護部

 

*所属は掲載時のものです。

 


本記事は株式会社南江堂の提供により掲載しています。

 

[出典]『“どうすればよいか?”に答える せん妄のスタンダードケア Q&A100』(編集)酒井郁子、渡邉博幸/2014年3月刊行

 

“どうすればよいか?”に答える せん妄のスタンダードケア Q&A100

 

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