せん妄を誘発・エスカレートさせるコミュニケーションとはどのようなものですか?

『せん妄のスタンダードケア Q&A100』より転載。
今回は、せん妄発症時の患者さんとのコミュニケーションについて解説します。

 

せん妄を誘発・エスカレートさせるコミュニケーションとはどのようなものですか?

 

患者さんの言動を制止する,一度にたくさんのことを質問するなど,患者さんにとってストレスとなる医療者や家族のかかわりがせん妄を誘発エスカレートさせてしまいます.
患者さんの安心を保証するコミュニケーションが重要です.

 

〈目次〉

現実の見当をつけやすくすることで安心を保証する

「今日は何月何日?」「ここはどこなのか言ってみて!」「さっき教えたのにもう忘れちゃったの!」など現実の見当がついているかを患者さんに確認することは,正確に答えられない場合に医療者や家族から否定や修正をされることにつながるので,患者さんにとって大きなストレスになり,せん妄を誘発・エスカレートさせるコミュニケーションとなってしまいます.

 

確認ではなく,医療者から「今日は○月○日ですよ.今日はご家族が午後2 時にいらっしゃいますね.楽しみですね」「ここは病院なんですよ.病気が治るようお手伝いをします」などと現実をわかりやすく伝え,患者さんが心地よさや楽しさを感じられるようにすることが重要です.

 

勘違いは,周囲に影響がなければ訂正しない

患者さんが時間や場所,人物を勘違いしている場合,逐一訂正してしまうと,せん妄を誘発・エスカレートさせてしまいます.

 

勘違いしていても周囲に害を及ぼさないのであれば,そのまま訂正しないほうが患者さんは安心を保つことができます.

 

コミュニケーション場面で失敗させない

患者さんにとってわかりやすい言葉を用いて語りかけます.

 

回答を求めるときは1度に1つの内容を問いかけます.「はい/ いいえ」で答えられるように問いかけ方を工夫することも有効です.

 

自分に語りかけていると患者さんが理解しやすいように,医療者の身体の向き,態勢や表情の豊かさにも配慮が必要です.

 

患者さんが誇りに思っていること,楽しい思い出,趣味の話についての情報を得ておくことは重要です.

 

その話を患者さんとすることで心地よさをもたらすことができます.

 

患者さんの感情を思いやる

とくに,過活動型のせん妄を発症している患者さんは,恐怖や不安,怒りを強く感じています.

 

病室に小さな虫がたくさんいるなどの幻視がある場合,医療者や家族は「そんなものはいません」とまず否定しがちですが,「小さな虫がたくさんいて怖いですね」と患者さんの感情に焦点を当て共感することで,患者さんに安心をもたらします.

 


[Profile]
諏訪さゆり (すわ さゆり)
千葉大学大学院看護学研究科

 

*所属は掲載時のものです。

 


本記事は株式会社南江堂の提供により掲載しています。

 

[出典]『“どうすればよいか?”に答える せん妄のスタンダードケア Q&A100』(編集)酒井郁子、渡邉博幸/2014年3月刊行

 

“どうすればよいか?”に答える せん妄のスタンダードケア Q&A100

 

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