基礎代謝|検査値早わかりガイド
看護師のための検査値の解説書『検査値早わかりガイド』より。
今回は、基礎代謝について解説します。
江口正信
公立福生病院部長
基礎代謝の基準値
- BMR±10%
〈目次〉
基礎代謝の定義
空腹、絶対安静状態における新陳代謝のことで、生命維持に必要な最小限度の動作、すなわち心臓を動かす、呼吸をする、体温を保つのに使われるエネルギーをつくるための代謝量のことである。
一般に基礎代謝は、同性、同年齢の標準基礎代謝量に対する比率(基礎代謝率、basal metabolic rate:BMR)で表される。
基礎代謝の異常とその原因
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高 |
図1甲状腺腫大
図2甲状腺機能亢進症における甲状腺組織像
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基準値 | BMR±10% 成人男子:1kcal/kg/時(25kcal/kg/日) 成人女子:男子より10〜15%低い 小 児:成人より高い |
低 |
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基礎代謝の検査の進め方
検査の前日は過労を避けて適度な食事を摂取し、夕食後の間食も避ける。
当日は絶飲絶食とし、少なくとも検査前30 分より測定台上に安静臥床させ、測定を行う。
測定は、空腹安静時における酸素消費量を測定し、発生熱量を計算し、基礎代謝率を求める。
基礎代謝の検査に影響を及ぼす要因
増加
妊娠、授乳、運動、食事、精神的興奮、高い室温、カフェイン、アドレナリン
減少
睡眠、気圧低下、抗甲状腺薬、モルヒネ、バルビタール
基礎代謝に関わる検査のポイント
検査時の留意点
- ①検査の必要性を十分に説明し、不安と緊張を除去する。
- ②発熱や月経時は、検査値が変動するので、できるだけ避ける。
- ③検査前のタバコ、コーヒーなども検査値に影響することを説明し、禁止する。
- ④患者の身長、体重は検査値の重要な要因となるので、正確に測定する。
- ⑤前日の夕食後から検査終了まで禁飲食とし、排泄を済ませたあとは安静にする。
- ⑥身体を臥床させ、同室者との談話を禁じ、与薬も中止し、患者の衣服をゆるめ、移送は車いすとする。
- ⑦室温20〜25℃、湿度60%程度の快適な環境を整える。
本記事は株式会社サイオ出版の提供により掲載しています。
[出典] 『新訂版 検査値早わかりガイド 第2版』 (編著)江口正信/2014年3月刊行/ サイオ出版